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(投稿:by 僻地の産科医)
日医,舛添大臣に看護職員養成の改善を要望
篠原 伸治郎
MTpro 記事 2009年3月30日掲載
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0903/090330.html?add_point
3月25日,日本医師会の記者会見が開催され,舛添要一厚生労働大臣に提出する看護職員養成に関する要望書について報告があった。また,医師の団結に向けた具体的方策や,厚生労働省(厚労省)による「最近の医療費の動向平成20年10月号」に関する見解が示された。
舛添厚労大臣に看護職員養成に関する要望書を提出
日本医師会常任理事の羽生田俊氏は,舛添厚労大臣に提出する「看護職員養成にかかる要望書」の内容について報告した。
現在,地域医療を医師とともに支えている看護職員でも不足が深刻な状況であり,それを理由とした病棟の閉鎖などの問題も起きているという。同氏は,まず看護職員養成所の現状と課題について紹介した。
それによると,
(1)各都道府県で地方財政が厳しいため,各養成所では苦しい運営状況にある
(2)学生も養成所入学後に,家庭や経済的な事情,適正の問題などが生じ,学生が減少する
—などのため,将来的な看護職員の確保,あるいは養成所の運営面に大きな影響を与えているという。また,近年,男子学生については母性・小児看護学実習で,患者の理解が得難く受け入れ困難な面があり,ビデオやITなどの教材を活用した学習でも認めることなどで対応する必要があるとした。
さらに,看護職員養成については,講習会の開催場所が少ないこと,看護師養成所の耐震改修に関する補助金制度がないこと,社会的な雇用不安のなかで准看護師・看護師資格を取得しようとする者に対する助成の必要があること—などを挙げた。
日医では,これらのことから,(1)看護師など養成所運営費補助金の増額および早期交付,(2)養成所入学時の定員の緩和,(3)母性・小児看護学実習の柔軟な対応,(4)看護教員養成講習会の通信教育の再開など,(5)看護師養成所校舎の耐震改修費補助,(6)雇用調整者が准看護師・看護師資格を取得するための支援—の6点に要望をまとめ,舛添厚労大臣に提出する。
医師の団結に向け,日医の具体的方策示す
次に,常任理事を務める内田健夫氏が日医内の委員会で審議してきた「医師の団結に向けた具体的方策」について報告した。
同氏によれば,日本医師会会長の唐澤祥人氏から「勤務医や助成医師の意見が反映される体制作り,医学生,研修医との有機的な関係の構築に向けた具体的な方策や他団体との連携,今後目指すべき医師会のあり方」などを検討することが諮問され,それを受け同委員会で審議を重ねてきたという。その結果,日医としては,今後の取り組みとして6つの柱(表)を掲げ,それらを通じ,より多くの医師の強固な団結に結びつけたいとした。
入院外1施設当たりの医療費,内科のみが前年同期比マイナス
同じく常任理事を務める中川俊男氏は,厚労省が示した「最近の医療費の動向平成20年10月号」の各項目について,日医としての見解を報告した(当日配布資料より一部抜粋)。
2008年4~10月と2009年同時期を比べたところ,医科診療所の入院外1施設当たり医療費は全体で+0.4%であったが,診療科別に見ると内科のみが前年同期比-0.3%であった。これに対し日医としては「今後の動向も踏まえる必要があるが,現時点での内科のマイナスは問題が少なくないと考える。また特に小児科,産婦人科については,TKC全国会(税理士・公認会計士の全国ネットワーク)データも用い,利益面からも検証を続けていきたい」としている。
また,医科入院外受診延べ日数については,2008年10月は前年同月に比べ,70歳未満で-3.1%,70歳以上で-1.5%であり,ここ数年ではもっともマイナス幅が大きかった。この点について同氏は「生活不安などからの受診抑制が現実のものになりつつあるのではないかと懸念される。今後の動向に留意したい」との見解を示した。
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