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(投稿:by 僻地の産科医)
脳死移植/議論を再集約しなくては
河北新報 2009/03/16
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2009/03/20090316s02.htm
「命のかかった法律なのに国会は放置し続けている。非常に憤りを感じる」
臓器移植患者団体連絡会の代表が先日、臓器移植法改正案の早期成立を求める要望書を日本移植学会とともに衆参両院議長に提出した後、こう話した。移植法(1997年施行)に基づく脳死移植が99年2月、国内で初めて実施されてから10年が過ぎた。この間の実施例は81件。「これでは少なすぎる」「いや、やむを得ない」。意見はなお2つに分かれている。「少なすぎる」と見る人たちには、移植を認める要件が厳しいからだと映る。早急な法改正が必要だと国会審議の促進を求めてきた。
施行から3年の段階で見直しをすることが決まっていた。機運が高まらなかったのは、脳死の判定ミスが相次いだせいもあるが、やはりもともとの反対論が根強かったからだろう。10年を経て今はどうか。社会のその後の意識の変化を検証し、あらためて議論を再集約する必要がある。国際社会が日本の現状をどう見ているか。その視点も忘れたくない。
国会は現在、3つの改正案を抱えている。うち二案は臓器提供の年齢を15歳以上から12歳以上に変えるなど要件を緩和する案で、2006年に提出された。残りの1つは実施要件をさらに厳しくする内容だ。内閣府が昨年11月集計した世論調査によると、脳死移植に肯定的な「臓器提供したい」「どちらかといえば提供したい」は計43%。10年前の31%から10ポイント以上多くなった。
15歳未満の子どもからの提供を「できるようにするべきだ」は69%。生前に提供の意思表示をしていない人の場合、「家族の判断に委ねるべきだ」が54%で初めて5割を超えた。その一方で、臓器提供意思表示カードの所持率は8%にとどまっている。現状をもっと踏み込んで分析する必要がある。
提供と移植希望の数のアンバランスが生んだのが、「渡航移植」の増加だ。厚生労働省の調査では06年までに522人が海外で心臓や肝臓、腎臓の提供を受けた。渡航移植に対しては国際社会の批判が強まっている。臓器売買の誘因になるからだ。
世界保健機関(WHO)と国際移植学会は昨年5月、臓器移植は自国で行うよう努力すべきだとの勧告を出した。日本小児科学会は先月、「時期尚早」としていた子どもの移植を再検討する委員会を発足させた。
議論の再集約を急ぎたい。患者、家族の切実さに応えるためにだけではない。命にかかわる国の内と外の議論に対して、わたしたち一人一人の認識を一層深めるためにである。
臓器移植法改正、医師会「採決を」
読売新聞 2009年3月15日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090315-OYT8T00314.htm
日本医師会と日本移植学会など24学会・研究会で作る「臓器移植関連学会協議会」は14日、東京都内で記者会見し、15歳未満の脳死下での臓器提供を可能にする臓器移植法改正案を、今国会中に採決するよう訴えた。近く全国会議員に要望書を送付する。
日本医師会の宮崎秀樹参与は、「国の世論調査では過半数の国民が、『小児からの臓器提供を認めるべきだ』と考えている。法改正の条件は整っている」と強調した。患者団体も4月14日、国会議員に同法改正を訴える集会を都内で開く予定。
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