(関連目次)→病院の赤字・倒産 地域医療をまもる取組み
(投稿:by 僻地の産科医)
公立病院の傾きは、ここ10年ほどの間で起きてきていることです。
どうしてだろう???
ということを昨日、家族で話していたのですが、
昔は
「赤字でも、公立病院で不採算の病気を地域住民のために治す。
だから税金で補填してもらうのは当たり前だ」
と医師たちは考えていました。
そして売り上げにもうるさくなかった。
赤字だったのが当たり前だったからです。
しかし地方財政にお金が回らなくなってきたころからでしょうか?
病院財政が公にされるようになってきました。
「病院の赤字?」
「なんでそんなの埋めなきゃならない???」
と何も知らなかった地域の人たちは思うようになりました。
お金は徐々に補填されなくなっていきました。
そして、公的病院は「売り上げ」にうるさくなっていきました。
当然、「赤字」になる、それでも地域の人のために必要な医療も
切捨てられるようになっていきました。
もちろん民間病院が引き受けるはずもありません。
だって、赤字だもん。
そんなの公的病院が責任持つべきじゃない?
当然ながら、倒産する可能性のある「民間病院」の考え方です。
公的病院の赤字は、
必ずしも運営が悪いとは限りません。
分娩費用を踏み倒しそうな方々も当然のように、
どこの地域でも公的病院が引き受けています。
ICU入院、その他、高度で人手のかかる医療も、
同じ疾患でも何度も再発を繰り返す治療困難な、なかなか治らなくて
人より多くの薬を必要とする方々も、公的病院に送られてきます。
赤字になるからです。
民間病院が、公立病院の代わりとなりうるでしょうか?
民間病院、6倍の200拠点に 公立に代わる地域医療、厚労省育成策
日本経済新聞 2009年2月26日
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2009022510803h1
政府は地域医療の中核となる民間病院の育成策を固めた。産科や小児救急などを備え、公共性の高い民間病院を経営する「社会医療法人」を増やすため、税制優遇を拡充するのが柱。来年度から固定資産税を非課税にして同法人の経営を支援し、公立病院に代わる地域医療の中核に育てる。2013年度には法人数を今の6倍の200に増やす計画。医師不足が深刻な地域の産科や小児科を確保する狙いもある。
社会医療法人は07年4月から始まった制度。救急、災害、へき地、周産期、小児救急の5つの医療分野のいずれかで一定の実績があることや透明性の高い経営体制などを条件に都道府県が認定する。地域医療で中心的な役割を担ってもらう狙いがある。認定されると一般の民間医療法人より法人税が軽減されるほか、公募債の発行による資金調達を認められるといった優遇措置がある。
民間病院の過半数「運転資金が不足」 153病院回答
朝日新聞 2009年2月28日
http://www.asahi.com/business/update/0228/TKY200902270414.html
民間の病院団体が加盟病院を対象に実施した緊急の経営状況調査で、54%の病院が運転資金は不足していると回答したことがわかった。日本病院会などは「経済状況の悪化が悪影響を及ぼしている」として国に対策を求めている。
同会が全日本病院協会、東京都病院協会と合同で1月に調べた。対象とした全国670病院のうち153病院から回答を得た。 運転資金に関する質問では、「大幅に不足」が18%、「不足気味」が36%だった。不足と答えた病院に運転資金の使途を尋ねたところ、人件費が半分を占めていた。「新規借り入れが難しくなっている」と答えたのは48%。63%が資金繰りに苦しんだ経験があった。ただ、患者数は1年前とほぼ同じだった。
東京都に限ると、62%が運転資金の不足を訴えた。都病院協会の河北博文会長は「診療報酬が全国一律なのに対し、東京は人件費などが高額で経営を圧迫する。地域医療に悪影響を与えかねない」としている。
>民間病院が、公立病院の代わりとなりうるでしょうか?
なりましぇ〜ん
亀田のような既存の大規模病院を認定してくれれば、多少は税金面で助かるでしょうけど。
投稿情報: げ〜げ〜 | 2009年3 月 2日 (月) 01:05