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(投稿:by 僻地の産科医)
大学に入るなら、はしかの予防接種を
主要校8割感染対策求める
読売新聞 2009年1月31日
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20090131-OYT8T00508.htm
大学生のはしか流行が問題になっているが、全国の主な大学の8割が、来年度の入学予定者に対し、入学前の感染予防対策を求めることが日本小児科医会などの調査でわかった。予防接種済み証明書などの提出を義務づける大学もある。国は今年度から高校3年生全員に、はしかワクチンの追加接種を始めたが、接種率は5割未満と低迷。受験シーズンを迎え、同医会では「接種率の向上につながるのでは」と期待している。
調査は昨年末、同医会、京都小児科医会、京都市学校医会が、一学年の定員が2000人以上の総合大学と医学部のある全国の大学計112校に行い、93校から回答を得た(回答率83%)。「入学前にはしか対策を行う」と答えた大学は72校(77%)にのぼった。うち、「予防接種を受けるよう指導する」大学は51校(55%)、「感染や予防接種歴の調査を行う」大学は41校(44%)だった。接種指導など「入学後に行う」とした20校(22%)を合わせると、ほとんどの大学が対策を予定。はしかの免疫があることを教育実習や病院・介護実習などの参加条件にする大学も48校(52%)あった。
はしかの予防接種は従来、1回接種だったが、予防効果が不十分なことから、2006年度から1歳と小学校入学前の2回接種に変更された。“1回接種世代”の若者に対し、国は今年度から5年間に限り、高校3年生と中学1年生での追加接種を実施している。厚生労働省によると、昨年9月末時点で、高3のはしかワクチンの接種率は48%と低迷。特に、東京、大阪、神奈川、埼玉、京都など都市部で低い傾向がある。
神戸大、全員に証明義務
20歳前後の若者へのはしかの流行は2007年に、関東や近畿を中心に約80大学が1週間~2週間程度の休講を余儀なくされるなど、近年、問題になっている。一昨年、昨年と2年連続で、はしか流行のため休講措置を取った神戸大では、来年度の入学者全員に対し、予防接種済み証明書か、抗体検査で免疫があることを証明する書類などの提出を義務づけることを決めた。
「予防接種を受けてから免疫ができるには2週間程度かかる」として、北海道大は、現役合格者には入学式の2週間前までに接種を受けるよう通知。「浪人生には大学の費用負担で検査や予防接種をすることなどを検討中」という。東大は募集要項に「予防接種自己申告書」を入れ、発病歴がない場合は入学までに追加接種を「極力完了しておくこと」と、太字で注意喚起した。また九州大は昨年から、入学前に予防接種歴などを調べる調査票と、注意喚起を行う文書を配布。入学後に回収しているが「かなり効果が上がった」と話している。
はしかの予防接種
日本では、はしかの予防接種は努力義務との位置づけで、接種率は06年度の1歳児で約80%。流行を抑えるのに必要とされる接種率95%に達していない。昨年の患者数は約1万1000人に上り、国際的には「はしか大国」との汚名も着せられている。一方、米国では、ほとんどの小学校で入学前にはしかの2回接種を義務づけられており、2006年の患者数はわずか66人だった。
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