(関連目次)→医療政策 目次 臨床研修制度の問題点
(投稿:by 僻地の産科医)
。。。状況がよくわからないのですが。。。
川口さまのロハス・メディカルブログにも、
同じようなことが書かれていました。
つまり、告知なしの検討会。
一体何が起こってる(@_@;)?????
MT Proのほうは、前回分の報告です!
【関連ブログ】
明日の臨床研修制度を考えるシンポジウム
ロハス・メディカルブログ 2009年2月5日
(1)http://lohasmedical.jp/news/2009/02/05224454.php
(2)http://lohasmedical.jp/news/2009/02/05224454.php?page=2
(3)http://lohasmedical.jp/news/2009/02/05224454.php?page=3
誰のための医学部教育か―文科省の奇妙な検討会
キャリアブレイン 2009/02/12
熊田梨恵
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/20558.html;jsessionid=38CC9FB4129264D6B67AB83D0CFD0E33
「舛添要一厚生労働相に事前報告しないとは、担当の新木(一弘・文部科学省高等教育局医学教育)課長が一体何を考えているのか分からない」―。臨床研修制度の見直しに伴って医学部教育内容の改善を図るため、文科省の「医学教育カリキュラム検討会」の初会合が2月2日に開かれた。しかし、この会合は公開にもかかわらず開催についてはほとんど周知されておらず、会合発足のきっかけとなった「臨床研修制度のあり方に関する検討会」を主導する舛添要一厚労相にも事前に知らされていないなど、奇妙な点が目立つ。4月をめどに中間報告を取りまとめる予定だが、医学生からは「たった2か月の議論で、自分たちが受ける医学教育について、何の結論が出るのだろう」といぶかる声が上がっている。
【省庁の検討会の関連記事】
ER型救急は「ペペロンチーノ」(上)
審議会は「アリバイ」づくりか
【医学部教育に関する関連記事】
医学部教育見直しの議論開始―文科省
臨床研修期間、2年制を維持へ
臨床研修制度見直し案で意見交換
医師の研修短縮「医療過誤招く」が約7割
初会合を傍聴した東大医学部3年の竹内麻里子さんは、「それぞれの委員がいろいろなことを言っていて、一体誰のための教育なのか、議論の共通目標が見えなかった。皆、議論の目標は分かっているのだろうか」と語る。
この医学教育カリキュラム検討会は、現在厚労省と文部科学省が合同で進めている「臨床研修制度のあり方に関する検討会」報告書のたたき台を受けて発足した会合だ。医学部教育の見直しをめぐっては昨年、医師の養成数を将来的に1.5倍にまで増やす方針が、舛添厚労相が主導する検討会で決まったが、委員から「現状のまま数だけ増やしては意味がない」との指摘があり、医師養成の在り方自体を見直そうと、「臨床研修制度のあり方に関する検討会」が両省の合同開催で昨年に始まった。臨床研修検討会から、医学部教育の見直しを求める報告書のたたき台が出されたため、この会合が開催される運びになった。
事務局は検討会の設置趣旨として、▽基本的な診療能力を確実に習得できる、卒前臨床実習など医学教育の強化▽医師不足解消の観点から、地域の診療科に必要な医師を確保するため、医学教育上で必要な方策の検討―の2点を示した。具体的な検討事項としては、▽臨床研修の見直しを踏まえた医学教育の改善・充実方策▽医師として必要な臨床能力の確実な習得を確保する方策▽地域や診療科に必要な医師を養成・確保するための方策―を挙げている。
■なぜこっそりと開催?
しかし、同検討会にはいつくか奇妙な点がある。
この日の初会合は、臨床研修検討会の第5回会合が終了して15分後に、同じ文科省内で開かれた。しかし、医学教育カリキュラム検討会発足のきっかけとなった臨床研修検討会では、この日の初会合についての報告は、事務局から一切なかった。また、通常は会合の開催案内が掲載されている文科省のホームページでも案内は出ておらず、厚労省関係の記者クラブにも開催案内は来ていなかった。このため、医学教育カリキュラム検討会の傍聴者は、臨床研修検討会に比べて約4分の1程度と少なかった。
■舛添厚労相に報告なし
通常、“親会”の臨床研修検討会の下に新たな検討会が発足するならば、“親会”を主導する厚労相に報告される。しかし、医学教育カリキュラム検討会を担当する文科省高等教育局医学教育課から、舛添厚労相へ事前に会合を開催するという報告はなかった。医学教育カリキュラム検討会が終了してから厚労相の耳に入ったため、翌日に医学教育カリキュラム検討会事務局の新木課長が厚労相に詳細を報告している。一方で、臨床研修検討会の事務局の厚労省医政局医事課には初会合の連絡が入っており、外口崇医政局長は「いつだったかはっきり思い出せないが、会合が開催されるということは事前に聞いていた。詳しい内容を知らされたのは当日」と話している。両省の関係者は、「こういう場合、通常なら舛添大臣に報告するのは当然。なぜ新木課長がこのような事をしているのかが全く分からない。大臣に上げるほどの話ではないから、医政局内で止めたというシナリオにしているのだろうか。新木課長は、医学部定員を増やさないように各大学に触れまわって大臣の逆鱗に触れてしまった三浦(公嗣・前医学教育課長、現医政局指導)課長と違ってまだ大臣からのペナルティがついていない状態だから【省庁の検討会の関連記事参照】、動きやすいのかもしれない」と話している。新木課長は、昨年7月の人事で厚労省医政局研究振興開発課長から、現職に就任している。
■報告書案の審議は非公開
また、この会合は公開されているが、公開範囲が限定されている。初会合当日に配布された資料「医学教育カリキュラム検討会の公開について(案)」には次のような記載がある。「1.会議は、次に掲げる場合を除き、公開して行う。(1)座長の選任その他人事に関する事項を議決する場合(2)報告案その他の案を審議する場合」「5. 座長は、1. に掲げる場合を除き、会議において配布した資料の全部または一部を公開することができる」。このまま読むと、検討会がまとめる報告書案が議論される場には、傍聴者や報道関係者が入れないということだ。加えて、報告書案も公開されない。つまり、この検討会が出す医学部教育に関する報告書は、国民に見えない“密室”で決まっていくことになる。厚労省が開く通常の審議会や検討会は、行政処分について審議する医道審議会などを除いてほとんど公開されており、公開されている会議の中で報告書案の審議の場合だけ非公開にされるということはほとんどない。
■「医学教育を議論できる委員がいない」
この検討会の委員は、2005-07年に医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂や入学者選抜の改善など医学教育の見直しを行った「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」にかかわっていたメンバーが多い。17人の委員のうち、12人が協力者会議にかかわっていたという「顔なじみ」だ。委員の顔ぶれについて、臨床研修検討会の委員を務める嘉山孝正山形大医学部長は「カリキュラムについて検討できても、医学教育全体を見渡して議論できる人がいない。協力者会議の座長だった高久(史麿・自治医科大学長)先生が委員に入っていないのもおかしな話。わたしも呼ばれておらず、まるで、ビジョン会議のメンバーを外したようだ」と語る。高久氏は、舛添厚労相が主導した「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会の座長や、臨床研修検討会の座長も務め、嘉山氏も同様に委員を務めている。また、新医師臨床研修制度を創設した当時の篠崎英夫医政局長が院長を務める国立保健医療科学院から、石川雅彦委員が参加している。
これらの点について、医学教育カリキュラム検討会事務局を担う文部科学省高等医学局医学教育課の担当者は、「時間的な余裕がなかったので、記者クラブへの案内やホームページでの周知ができなかった。舛添厚労相についても、内容の詳細が固まったのが直前だったので上げられない状態だった」と説明する。また、審議の公開状況については、「報告書の内容によって流動的だが、基本的には非公開と考えている。『歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議』でも同様のやり方で実施している」。高久氏については、「この医学教育カリキュラム検討会は作業部会のようなイメージ。高久先生は現在進行中の『モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会』で委員をされているので、そちらに報告を上げていきたい」と話している。
■「たった2か月で議論できるか」
初会合当日のフリーディスカッションでは、臨床実習やモデル・コア・カリキュラムの見直し、地域の医師不足に配慮した医学教育のあり方、医師の倫理教育、教員の待遇改善のほか、文科省の管轄ではない国家試験にまで話が及ぶなど、議論は多岐にわたった。中には、「協力者会議でいろんな話がされていたので、今回の会議については、にわかにはどういうことが焦点になるかあまりよく分からなかった。協力者会議をしていたころと比べて現状は改善した部分もあるだろうが、医療が社会でいまだ大問題という現状がある。これに対して医学教育の部分から対応していくと理解した」(南砂委員・読売新聞東京本社編集委員)と、会合の在り方に困惑を示す委員もいた。
この会合は、臨床研修検討会での検討内容が2010年度から始まることに歩調を合わせ、医学教育も同じタイミングで対応できるよう、4月をめどに中間取りまとめを行う予定だ。
厚労省の「医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医(医師後期臨床研修制度)のあり方に関する研究班」のヒアリングにも参加するなど、医学生の立場から医学教育について提言している「医師のキャリアパスを考える医学生の会」事務局の森田知宏さん(東大医学部3年)はこの会合について、「医学部教育については、2年前(協力者会議)でも相当時間をかけて議論していたのに、たった2か月で中間まとめを出そうとするのはおかしいのでは。誰のための医学部教育かと思う」と話している。
■ ■ ■
医療崩壊が進む中、医師不足の現状を打開しようと決まった医学部定員増。ただ人数を増やすのではなく、充実した教育が必要だとの指摘を受け、いくつかの検討会が立ち上がっている。議論のプロセスを完全に公開している会合もある一方で、この医学教育カリキュラム検討会の報告書審議の過程については、われわれ一般国民は知ることができない。これでは、国民の意見を広く聞くことを目的に設置されている、行政の検討会の意味をなさないのではないだろうか。また、不十分な事前周知など、会設置に至る過程にも奇妙で不透明な点が多い。
今後の医療界を担う医学生への教育方針が、こうした“密室議論”のようなプロセスで決定されていいのだろうか。
臨床研修制度の評価認識に委員で差,膠着続く
第5回「臨床研修制度のあり方に関する検討会」
MTpro 記事 2009年2月5日掲載
篠原 伸治郎
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0902/090204.html
2月2日,厚生労働省(厚労省)と文部科学省(文科省)の第5回「臨床研修制度のあり方に関する検討会」(座長=高久史麿氏・自治医科大学学長)が開催された。今までの検討会における,新しい臨床研修制度の課題,見直しの基本的な考え方,方向,実際の項目などの議論を現段階でまとめる形で「まとめの骨子(たたき台)」が示された。
しかし,この臨床研修制度の評価や導入でもたらされた影響といった,制度改善の前提となる部分で,委員の間の認識に差があり,カリキュラムの弾力化,臨床研修制度の最終到達点などの検討を困難にしている。
見直しは「研修医へのあめ玉」?
「地域の医師不足」への対策?
「まとめの骨子」で示された課題「臨床研修制度の導入から約5年が経過した今日,以下のような課題が見られるのではないか」のなかで示された6点について,各記述のとらえ方をめぐって議論が起きた。新しい臨床研修制度が現在の勤務医不足,地域・診療科の偏在へ与えた影響については,国際医療福祉大学大学院教授の大熊由紀子氏から「日本の医師はそもそも少なかったが,閣議決定された医師数抑制策が続いたことが真の原因だ」との見解が示された。
これを受け座長代理の小川秀興氏(順天堂理事長)や山形大学医学部長の嘉山孝正氏は「この臨床研修制度は,それを顕在化させるきっかけとなった。この制度の導入をきっかけに,大学病院の医師派遣機能が低下し,地域の医師不足を招いたことは事実だ」と指摘した。
また,ローテーション方式の導入が与えた研修医への影響について座長の高久氏から「研修医からは,興味のないところもコア・カリキュラムとしてローテ-ションをしなければならないことについて,意欲を損ねているという意見も聞いている」との報告があった。
この点について大熊氏からは「この臨床研修制度は,臓器を診て人を診ないというような問題点をなんとかしようとして始まっている。最初から特定の臓器のことだけをやりたいというような人こそ,ローテーションすることで幅広い診療能力を身につける意義がある」との指摘があった。さらにNPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の辻本好子氏からは「議論のうえで作った研修の制度を,運用開始から5年で,そうした不満をいう若い医師にあめ玉を与えるように変更をすることは疑問」という批判があった。
一方で,初期臨床研修期間中の2年間で医師免許取得後の医師1万5,000人が実際の診療のバックアップの力にカウントされなくなっているという指摘もある。
岩手医科大学学長の小川彰氏は先述のような意見に対し「地域医療の現場の状況がお判りになっていないのでないか」と反論,高久氏も「大学病院において臨床研修を受ける医師が大幅に減少し,地域医療を担ってきた医師派遣機能が崩壊したことは事実」とこの制度を変更する意義について見解を示した。
本来の到達目標
「プライマリ・ケアの基本的な診療能力」の獲得は?
—総合医的な診療能力は後期臨床研修で養成も
ローテーションを行う診療科については1年目の内科(6か月以上),救急(3か月以上)を必修とし,従来必修とされてきた外科,麻酔科,小児科,産婦人科,精神科については,その後の研修医が進む専門なども考慮し選択とするなど,カリキュラムの弾力化が提案された(当日配付資料・関係団体からの意見参照)。
ローテーションする診療科を必修と選択に分けることが提案されるなか,選択必修とする診療科を1科にするのか,2科,3科にするのか,期間はどうするのか,選択基準はどうするか,などが議論された。
研修期間で多くの診療科をまわることについては「各診療科のシステムやスタッフ,習慣などを覚えるのに精一杯で,研修した診療科の診療を多少でも行えるようになるわけでもなく意義が薄い」という声が挙がっている一方で,「旧制度に比べ新制度では,臨床能力が上がり,終了した研修医の満足度が高い」という評価もある。
カリキュラムの弾力化に対する数々の意見を受け聖路加国際病院長の福井次矢氏は「段階を踏んだ議論になっていないので判断の仕様がない。初期研修のカリキュラムを弾力化するならば,どうした医師を作るのかという制度の到達目標自体を踏まえた議論が必要。カリキュラムを変えるならば,到達目標自体を変える必要がある」と述べた。
高久氏はこれに対し「到達目標を変えないなら,カリキュラムの弾力化は実質上不可能になるが」と厚労省の担当者に質問したところ「変更が可能かについては,みなさんの議論で」との回答が示された。この点に関連して,嘉山氏は「初期研修で最も求められているのは,救急の鑑別診断能力では。実際の治療は各専門医が行っている現状がある。地域医療で総合的に診療できる能力は初期研修の2年間で身につくような簡単なものではない」との見解を示した。
高久氏は「プライマリ・ケアの基本的な診療能力という部分については内科と救急(必修部分)が基本となると思う。いろいろな診療科でいろいろな患者さんを診てコミュニケーションを取ることは大切で,そうした意味を含めた内容となっている。総合医的な能力は別な問題で,後期臨床研修などで養成されていくべき」との意見を述べている。
舛添大臣は「試行錯誤しながら進めていかないといけないのでは」
癌研有明病院名誉院長の武藤徹一郎氏は初期研修の意義について「救急における鑑別診断ができるようになることが重要で,救急の必修期間を6か月にすれば外科,麻酔科(今回必修科から外すことが提案されている)などの研修部分も実質的に含まれることになるのでは」との見解を示している。
初期臨床研修の2年という期間については,その期間を有効に使うという観点になっており勤務医不足という観点でかつて舛添要一厚生労働大臣が提案したような1年間の期間短縮による医師7,500人の緊急的な増員などにはつながっていない。一方で,研修医が将来進むことを考えていない,あるいは進路と関連しない診療科についてもローテーションを行っていた現状については,弾力化によって専門領域や関連領域の研修に実質的に1年程度早く入るという選択も可能になるようだ。また,マッチング制度の導入により医局の医師派遣システムが機能しなくなり勤務地の偏在化を招いたことも大きな問題とされていたが,この点については都道府県別の適正配分を図る形で受入病院の募集定員や基準を見直すことになっている。
制度導入によって顕在化した勤務医の地域・診療科偏在など,研修医の意識やニーズに関与する部分の改善が提案されれば,一方で現在,制度の到達目標自体の好評もあるなかで制度を変えることへの疑問も示されるなど,全員が納得する形での結論に至るのは難しい状況だ。
同大臣は「制度の見直しについて朝令暮改という批判もあるだろうが,問題があれば見直していかないといけない。ただし,医療の提供側,享受側,双方の意見を考慮した総合的な視点が必要だ。さまざまな論点があるなかで完璧な案を今作るのは難しいと思うが,だいたいのコンセンサスに基づいて試行錯誤しながら進めていかないといけないのでは」との見解を示している。
次回は2月18日に開催される予定。
検討会出席者(2009年2月2日の検討会座席表より)
舛添要一厚生労働大臣
座長・高久史麿氏(自治医科大学学長)
座長代理・小川秀興氏(学校法人順天堂理事長)
飯沼雅朗氏(蒲郡深志病院長)
大熊由紀子氏(国際医療福祉大学大学院教授)
小川彰氏(岩手医科大学学長)
嘉山孝正氏(山形大学医学部長)
齋藤英彦氏(名古屋セントラル病院長)
辻本好子氏(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)
永井雅巳氏(徳島県立中央病院長)
西澤寛俊氏(特別医療法人恵和会西岡病院理事長)
福井次矢氏(聖路加国際病院長)
武藤徹一郎氏(癌研有明病院名誉院長)
矢崎義雄氏(独立行政法人国立病院機構理事長)
吉村博邦氏(社団法人地域医療振興協会顧問)
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