(関連目次)→医療政策 目次 臨床研修制度の問題点
(投稿:by 僻地の産科医)
「初期研修を1年に」-日医がグランドデザイン09
キャリアブレイン 2009年2月19日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/20664.html
日本医師会は2月18日、新医師臨床研修制度の見直しの提言などを盛り込んだ「グランドデザイン2009」を公表した。臨床研修に関しては、初期研修期間を現在の2年間から1年間に短縮するほか、初期研修前に専門科を決めることを提案。また、初期研修医が出身大学のある都道府県の「地域医療研修ネットワーク」に所属し、地域の大学病院や研修病院で基本的な診療能力を身に付ける仕組みも打ち出した。日医の中川俊男常任理事は厚生労働省内で記者会見し、「初期研修医が(医学部教育からの)7年間で、出身大学の都道府県に根付いていただければとの願いを込めている」と説明した。
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グランドデザイン2009は、2007年に公表したグランドデザインに、その後の状況の変化を踏まえて必要な内容を書き加えた。臨床研修制度改革以外に、疾病の発症リスクが高まる75歳以上を対象とする「高齢者のための医療制度」も提案。財源については、医療費の9割を国庫などの公費で賄うよう求めている。
04年度にスタートした新医師臨床研修制度に伴い、専門科を決めない2年間の初期研修が義務化された結果、「約1万5000人の実質的な臨床医が減少した」と指摘する一方、初期研修を1年間に短縮することで供給不足が7500人に減少すると指摘。これらにより、「医師偏在化・医師不足問題の緩和につながるという意味もある」との見方を示している。
都道府県単位の地域医療研修ネットワークには、医師会や大学、臨床研修病院、行政、住民代表が参加。地域社会の理解と合意の中で医師を育成する。
初期研修医は、専門科の指導医と相談して研修内容を決定し、地域医療研修ネットワークが指定した医療機関で研修を受ける。日医では、初期研修前に専門科を決めることで、「自分の位置付けを明確にしながら初期研修に取り組むことができる」としている。
また、▽医学部5年生は大学病院で内科中心の臨床実習▽医学部6年生は大学以外の病院でも臨床実習―を実施するなど、医学教育の在り方についての考え方も示した。
一方、高齢者のための医療制度は都道府県が運営する。給付費の5割を公費で負担する現在の後期高齢者医療制度から、医療費全体の9割を公費負担(主として国費)とする仕組みへの切り替えを求めている。08年度の後期高齢者医療制度の医療費(11.9兆円)で考えると、10.7兆円の公費が必要になる計算で、一般医療保険(0-74歳)への4.8兆円分を含む公費9.9兆円(同年度当初予算ベース)を全額高齢者に投入し、不足分の0.8兆円は消費税などの新たな財源で対応するとしている。
基本研修、1年で修了=医師不足解消へ臨床制度見直し-厚労、文科省
IBTimes 2009年2月19日
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/090218/29678.html
医師不足を招いた一因とされる臨床研修制度の見直しを議論してきた厚生労働、文部科学両省の有識者検討会(座長・高久史麿自治医大学長)は18日、最終報告書をまとめた。必修を7科目から5科目に減らした上で、基本的な診療能力を身に付ける研修は原則1年で終え、2年目は専門診療能力を養成する内容に変更する。
専門分野を従来より早くから学ぶことで、早期に産科や小児科など人手不足の専門医を育成するのが狙い。報告書を受け、両省は省令改正など必要な手続きを行い、2010年度に研修を始める新人医師から新しいプログラムを適用する。新制度では、研修1年目に必修の内科と救急を最短9カ月で実施。これまで必修だった外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科の中から2科目を選択必修として選ぶ。
2年目は、地域医療1科目のみを必修として、最短1カ月で行い、これ以外の研修については、各病院の判断でプログラムを弾力化する。
臨床研修制度見直し 医師不足に一定の改善効果も
MSN産経ニュース 2009年2月19日
(1)http://sankei.jp.msn.com/life/body/090219/bdy0902190106001-n1.htm
(2)http://sankei.jp.msn.com/life/body/090219/bdy0902190106001-n2.htm
厚生労働、文部科学両省の検討会が18日、医師不足の一因と指摘されている「臨床研修制度」の見直しの提言をまとめた。研修医の受け入れ上限枠の設置や、早くから専門科目を積ませることで、戦力となる医師の現場投入を早めることを柱とした。慢性的な医師不足に歯止めをかけることができるか注目される中で、関係者らの反応はさまざまだ。
東京慈恵会医科大の栗原敏学長は「研修医とは本来、勉強する立場の人のこと。戦力として期待するのは本来の研修目的から外れている」と指摘する。また、「(上限枠の影響で)優秀な指導医がいない所に派遣された研修医が、本当に有意義な研修を積めるかという問題も出てくる。研修施設の基準をきちんと整備する必要もある」とも話す。
医学生からは、早くも「人によって研修格差と不平等が生まれないようにしてもらいたい」(群馬大医学部4年)といった注文も聞かれる。一方で、厚労省の担当者や検討会の一部の委員らは「研修医はそれぞれの研修先でも貴重な戦力になると思う」と期待する。
厚労省では、民間病院に流れている研修医を、大学病院に結びつけることで、大学病院の医師不足が解消することにも期待を寄せる。現在は、医師不足に陥った地方の大学病院が、地域の関連病院からOB・OG医師を引き揚げてしまい、それが地方病院の存続を困難にするという悪循環ができているからだ。省内には「中堅クラスの医師が、(現在は崩壊している)地域医療を立て直す形が生まれる可能性もある」という声もある。
ただ、医師不足は複雑な要因が絡み合って引き起こされている。「今回の見直しは一定の改善効果に寄与しそうだが『特効薬』とはなり得ない」というのが、厚労省も含めて広く関係者に共通する認識だ。提言でも「医師不足問題への対応は研修制度の見直しだけでは不十分」と結んでいる。
国ではすでに、医学部定員の増加や育児などで医療現場を離れた医師の現場復帰支援策の検討といった対応策に手をつけている。さらには若手医師が働きたいと思う病院の職場作りを整備するとともに、招いた医師を地元に定着してもらうような環境づくりも必要だ。医師不足で困るのは地域住民の生活だ。今回の提言の内容にとどまらない、2の矢、3の矢を次々と放っていくことが求められる。
■臨床研修制度
免許取得後の医師に病院での研修(2年間)を義務づける制度。平成16年度に始まった。それまでは出身大学での研修が通例だったが、制度変更後、研修医は厚生労働省指定の病院や大学病院の中から研修先を自由に選べるようになった。専門分野に偏らず、各診療科で研修することで幅広い知識、診療能力を習得させるのが目的。
臨床研修医、都市部集中の解消目指す 10年に新制度
日本経済新聞 2009年2月19日
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090219AT1G1803T18022009.html
医師不足を招いた一因と指摘される「臨床研修制度」について、厚生労働、文部科学両省は18日、見直し案をまとめた。必修科目を現行の7つから3つに減らすことや、都道府県ごとに研修医の募集定員の上限を設けることが柱。専門的な診療能力を養う期間を増やすことで、研修医を即戦力として活用するとともに、研修医が都市部に集中するのを防ぐ。
両省の検討会が同日、見直し案を大筋で了承した。厚労省の医道審議会で詳細を詰め、2010年度から新制度を実施する方針だが、医療現場には実効性を疑問視する声も根強い。
現行制度では、研修医は2年間の研修期間のうち、7つの必修科目を1年4カ月かけて回り、最後の8カ月間に将来、専門としたい診療科で研修を受ける。見直し案は、全体の研修期間は変えないが、必修科目を内科(6カ月以上)、救急(3カ月以上)、地域医療(1カ月以上)の3つに絞り、希望する診療科の研修期間を5カ月程度増やすという。
臨床研修制度見直しの最終報告書まとまる
日テレNEWS24 2009年2月19日
http://www.ntv.co.jp/news/129428.html
厚労省と文科省の検討会は、医師不足の一因とされている臨床研修制度の見直しについて最終報告書をまとめた。
報告書では、研修医の都市部への集中を避けるため、都道府県ごとに研修医の数の上限を定めるとしている。また、産科や小児科などの専門分野を早くから研修できるようにするため、必修の診療科を減らすことなども盛り込まれた。2010年度から導入される予定。
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