(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
あんまり追ってなかったのですけれど、
このような勉強会も始まっているようです(>▽<)!!!
院内事故調の問題は大事ですものね。
アレコレ迷走しているみたいです ..。*♡
参考ブログ再掲ですけれど、載っけときますね(>▽<)!!
【参考ブログ】
医療事故調の地方説明会in仙台
ロハス・メディカルブログ 2009年1月25日
(1)http://lohasmedical.jp/news/2009/01/25201637.php?page=1
(2)http://lohasmedical.jp/news/2009/01/25201637.php?page=2
(3)http://lohasmedical.jp/news/2009/01/25201637.php?page=3
(4)http://lohasmedical.jp/news/2009/01/25201637.php?page=4
(5)http://lohasmedical.jp/news/2009/01/25201637.php?page=5
混迷する”医療事故調”の行方◆Vol.24
“院内事故調”の厚労省研究班、中間報告が「個人案」
調査委員会に外部委員を入れるか否かで意見対立、取りまとめに至らず
m3.com 2009年1月27日 橋本佳子編集長
http://www.m3.com/iryoIshin/article/90457/
厚生労働科学研究「院内事故調査委員会の運営指針の開発に関する研究」の中間成果報告会が1月24日、都内で開催されたが、研究代表の相馬孝博氏(名古屋大学医学部付属病院 医療の質・安全管理部准教授)は、「研究班として一つの案としてまとめることができなかった」と断った上で、相馬氏の「個人案」を中間報告として公表した。同時に、研究分担者で弁護士の加藤良夫氏が対案を出し、班員間での意見調整が難航していることが浮き彫りになった。
本研究は2008年4月から2カ年計画の予定でスタート。厚労省は現在、診療関連死の死因究明などを行う第三者機関である、医療安全調査委員会(仮称)の設置に向けた議論を進めている。その過程で、医療機関内の事故調査委員会の重要性を指摘する声が上がったことなどから、本研究が始まった。同省は、医療安全調査委員会に関する第三次試案および大綱案に対するパブリックコメントに対する考えとして、「医療機関内の事故調査委員会の具体的な運営の在り方については、平成20年度の厚生労働科学研究においても研究課題としている」と述べている(厚労省資料7ページ、PDF:595KB)。
最初は院内スタッフのみか、外部を入れて実施か
「相馬案」は、一般的な事例を調査する「通常型委員会」と、重大な事例などで外部の視点から分析する必要がある場合に設置する「特別型委員会」の二つを設置する案(PDF:1644KB)。「通常型委員会」は原則医療機関の職員4~9人で構成し、必要に応じて外部の医療の専門家などを入れることを想定。「特別型委員会」は委員長を含む3~6人の外部委員、1~2人の内部委員で構成するとしている。
委員会を二つに分けた理由として、「本研究班では、医療者と法曹の方を交えて検討しているが、医療者としては相当広い範囲の事例を検討しないと、どこから医療事故として調査を行うのかが難しいと考える。現場ではその線引きは容易ではない。したがって、アウトカム評価は日頃から実施しなければならず、院内事故調査はその一つの究極という形で実施していくのがいいと現時点では私は考えている」と相馬氏は説明する。
加藤氏が反対しているのは、この点であり、二つの委員会を一本化して内部委員と外部委員がほぼ同数から成る委員会を作るべきとしている。この案は、日本弁護士連合会が2008年10月に開催した「第51回人権擁護大会シンポジウム」で、同シンポジウムの第2分科会実行委員会が示した「院内事故調査ガイドライン」だ(PDF:1660KB)。加藤氏は同実行委員会の委員長を務めた。
この日の中間成果報告会を欠席した加藤氏は、「意見」として次のような趣旨の文書を提出した。「『特別型委員会』は、構成メンバーから見ても外部委員主導の委員会であり、院内事故調査委員会という印象を持ちにくい。医療機関としての自律性を失い、外部へ『丸投げ』し『お任せ』となる危険性も感じられる。したがって、委員会を二つに分ける考え方は大いに疑問。私のこれまでの経験からも、最初から院内の委員と共同して調査した方がはるかにやりやすい」(加藤氏)。
医療事故の定義や事故調査の目的が相違の根底に
こうした意見の相違が生じるのは、
(1)医療事故の定義が可能か
(2)事故調査の目的が何か
といった点に起因すると考えられる。相馬氏は医療事故の定義が難しい故に、院内調査から外部委員を交えた調査まで、段階的な調査の枠組みを想定。一方、加藤氏が支持する「院内事故調査ガイドライン」は、一定の基準を満たした事例はすべて、外部委員を交えた院内事故調査委員会に諮るべきとしている。
また調査の目的は、両者とも事故の原因究明と再発防止という点では共通だが、「院内事故調査ガイドライン」では、患者側への説明、患者救済という視点も重要視。外部委員として、当該医療分野の専門家や医療問題に関わっている弁護士・有識者を入れるべきとし、その上で患者・家族が推薦した人の選任も検討すべきとしている(医療機関の顧問弁護士がその立場で入る場合は、内部委員の扱い)。仮に患者側弁護士を入れた場合、院内事故調査委員会の委員として守秘義務を負う立場と、患者側代理人としての立場の両立が可能なのかなどの問題があり、検討すべき課題は多い。
そもそも、この厚労省の研究班の成り立ち、目的から考えると、より幅広い視点からディスカッションし、多くの人の意見を求める必要があるだろう。その意味では、中間成果報告会で対立する2案が公表された意義はある。前述のように、本研究班は2カ年だが、「今年度末に何らかの取りまとめを行う」(相馬氏)予定になっている。
交通事故による死亡は減ったのに医療事故は…?
So-net M3 2009年01月28日
橋本佳子
http://mrkun.m3.com/mrq/message/ADM0000000/200901280737033219/view.htm?msgSortBy=date&pageNo=
「1999年以来、医療界は変わったというが、本当にそうなのか。嘉山先生が言うほど、大学病院もしっかりしていない。交通事故による年間死亡者数は99年当時は約9000人だったが、2008年は約5100人まで減少した。一方、医療事故死はそのデータすらない。医療の不確実性は理解できるが、少しでも安全な医療を提供できるよう努力すべきではないか。医療事故に遭遇した被害者・遺族の願いは、真実を知りたい、二度と同様なことが起こらないようにしてほしいということ。しかし、いまだに医療界には密室性があり、隠蔽体質も見られる。医療者が『中立・公正な医療事故調査委員会が不要』と言うのは理解できない。早期の設立を期待する。刑事免責がない限り、“医療事故調”を作らないというのも市民感覚では理解できない」
このように語り、厚生労働省が進める医療安全調査委員会(“医療事故調”)の設置を強く求めたのは、永井裕之氏。1月25日に宮城県仙台市で開催された“医療事故調”の「地方説明会」での発言です。1月13日の当コーナーでご紹介しましたが、厚生労働省は“医療事故調”の第三次試案・大綱案について広く関係者の理解を深めるため、全国各地で地方説明会を開催しています。
永井氏は「医療の良心を守る市民の会」代表であり、1999年に東京都立広尾病院で起きた医療事故で奥様を亡くされています。永井氏の発言は、山形大学医学部長の嘉山孝正氏の発言の後に行われたもの。嘉山氏は次のように医療現場、特に大学病院では医療安全に取り組んでいる現状を紹介した上で、“医療事故調”の厚労省案を強く批判しました。
「医療事故の原因究明と再発防止、責任追及、患者救済は分けて実施することが必要。これらを切り分けて実施するのが、WHOに基づく世界標準だが、“医療事故調”の厚労省案はカテゴリーが違うものを一緒にやろうとしているので、大きな問題がある。厚労省の発想は“野蛮”とも言え、責任追及と連動する仕組みにすると、医療者は何も言えなくなり、正確な事故調査は期待できない。既に日本医療機能評価機構が医療事故の情報収集・分析をやっているのに、なぜ新たな仕組みを作るのか。また大学病院では医療安全への取り組みが義務付けされるなど、情報開示にも取り組んでおり、われわれ医療側は大きく変わっている」
この日の説明会は、嘉山氏と永井氏、厚労省医政局総務課長の深田修氏ら、計5人のパネリストによる発言とディスカッションから成り、約3時間に及びました。同日に開催されていた医療者向けの東北ブロックの「医療安全に関するワークショップ」の一環として開催されたことから、参加者は600人を超えたようです(うち9割以上は医療関係者)。
これだけの参加者に対して、厚労省担当者が40分間の説明を行い、各パネリストがそれぞれの立場から発言したのですから、“医療事故調”への関係者の関心が高まったものと思われます。しかし、フロアからの発言を受け付けることはなく、消化不良に終わった感は否めません。医療者と患者の現状認識や見解の相違が大きいことが、参加者に印象付けられた会とも言えます。嘉山氏と永井氏の間では、以下のようなやり取りもありました。
「今は医療と患者の信頼関係を構築するチャンスだが、大学が医療安全に取り組んでいないなど、間違った情報を言っており、かえって信頼関係を壊す発言している。今はお互いが情報を出し合って、本当にいい“医療事故調”とは何かを議論すべきではないか」(嘉山氏)
「大学病院などには医療安全室があるが、取り組みは不十分であり、形だけのところも多い。病院長が医療安全への意識を持ち、取り組んでいるケースはまだ少ない。被害者を連れてくるので、話を聞く場を作ってほしい」(永井氏)
“医療事故調”をめぐっては、様々な意見があり、厚労省案への反対意見も数多く出されています。最近、“医療事故調”関連のシンポジウムなどに参加すると、「患者側」「医療者側」という対立軸が強調される場面が増えているようにも感じています。
一口に「医療者」、あるいは「患者」といっても、その価値観は多様であり、嘉山氏と永井氏がそれぞれの立場の意見をすべて代表しているわけではありません。こうした地方説明会を開催しても、“医療事故調”についての合意形成にはおのずから限界があります。政治の場などを借りて幅広い議論を行い、広く国民に意見を問うことをしないと、一種、膠着常態にある“医療事故調”論議は次なるステップに進まない……。そう感じた地方説明会でした。なお、“医療事故調”との関連で指摘されるのが、医療機関内の院内調査の重要性です。この点については1月24日に厚労省の研究班による報告会がありましたが、この件でも意見の対立があります。
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