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(投稿:by 僻地の産科医)
「産科医療補償制度」が始まります
~大切な赤ちゃんを守るために~
政府広報 2008年12月2日
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/200812/3.html
お産の現場では、予期せぬできごとが起こってしまうことがあります。「産科医療補償制度」は、お産をしたときになんらかの理由で重度の障害を抱えた赤ちゃんとそのご家族のことを考えた新しい仕組みです。
平成21年1月から新しい制度がスタート
産科医療補償制度では、
(1)通常の妊娠・分娩にもかかわらず、分娩に関連して重度脳性まひになった赤ちゃんが速やかに補償を受けられ、
(2)重度脳性まひの発症原因が分析され、再発防止に役立てられることによって、
産科医療の質の向上が図られ、安心して赤ちゃんを産める環境が整備されることを目指しています。この制度は、分娩機関(分娩を取り扱う病院、診療所や助産所)が加入する制度です。また、この制度は、民間の保険を活用しながら、(財)日本医療機能評価機構が運営するもので、平成21年1月からスタートします。
看護・介護費用としての補償金が3,000万円
平成21年1月1日以降に、この制度に加入している分娩機関において生まれた赤ちゃんで、次の条件をすべて満たす場合に、補償の対象となります。
・出生体重が2,000グラム以上かつ妊娠33週以上のお産で生まれた赤ちゃん(帝王切開の場合も対象となります。)
・重度の脳性まひになった赤ちゃん(身体障害者障害程度等級1、2級相当)
・また、「出生体重2,000グラム以上」や「妊娠33週以上」という基準を下回る場合でも、妊娠28週以上で所定の要件に該当した場合は補償の対象となります。
・なお、先天性の要因等については、この制度では補償の対象外になります。
この制度の補償対象に認定されると、看護・介護のため、一時金600万円と分割金総額2,400万円(20年にわたり毎年120万円)、計3,000万円が補償金として支払われます。
分娩機関が加入しているかの確認を
この制度では、お産一件ごとに分娩機関が3万円の掛金を負担することになっています。制度の適用を受けるためには、お産をする分娩機関が制度に加入していることが必要となります。
また、この制度の開始に伴い、掛金相当分の分娩費の上昇が見込まれることから、健康保険から給付される出産育児一時金も平成21年1月から3万円引き上げられます。
平成20年12月1日現在で加入率は97.5%となっています。加入している分娩機関では、「産科医療補償制度」のシンボルマークを院内に掲示していますので、受診の際の参考にしてください。また、加入している分娩機関は、(財)日本医療機能評価機構ウェブサイトの「産科医療補償制度運営事業」でも公表されています。
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「産科医療補償制度」のマーク
「登録証」は大切に保管を
この制度に加入している分娩機関から妊産婦の皆さんに交付される「登録証」は、補償対象の認定審査に必要となるため、出産後も大切に保管してください。
産科医療補償制度 登録証
補償の請求は、原則として、脳性まひの正確な診断が可能な満1歳の誕生日から、満5歳の誕生日までの間に申請することができます。また、診断が可能な場合は、生後6か月以降でも、申請を行うことができます。
事故原因を分析し、再発防止のための情報を提供
補償対象の認定、補償金の支払手続などは、(財)日本医療機能評価機構において行われます。また、医学的な観点から、重度脳性まひの発症原因を分析し、その結果をご家族及び分娩機関にお知らせします。さらに、分析の結果を再発防止に役立て、産科医療の質の向上を図っていきます。
なお、この制度では、早期救済の観点から、過失の有無にかかわらず、まずは速やかに補償金が支払われますが、分娩機関に損害賠償責任がある場合は、補償金と損害賠償金の調整が行われることになります。
産科医療補償制度の仕組み
産科医療補償制度について詳しく知りたい方は、かかりつけの病院、診療所、助産所または財団法人日本医療機能評価機構までお問い合わせください。
産科医療補償制度についてのお問い合わせ
財団法人 日本医療機能評価機構 産科医療補償制度運営部
電話:03-5800-2231
受付時間:午前9時~午後5時(土日、祝日を除く)
加入分娩機関などの情報
ホームページ:http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/index.html
【お役立ちリンク】
(財)日本医療機能評価機構(厚生労働省所管)「産科医療補償制度」
http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/
「お役立ち記事」では、国の行政施策の中から暮らしにかかわりの深いテーマ、暮らしに役立つ情報をピックアップし、分かりやすくまとめて提供しています。
裁判激増したりしないんですかねえ。
投稿情報: reservoir | 2008年12 月 4日 (木) 18:55
どうでしょうねぇ。
でもなんか、さらっと例のごとく
大事なことが書いてあるあたり。。。。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年12 月 4日 (木) 19:28
新生児の脳性麻痺を年間300-500程度に設定しているようですが,それだけの数の症例を誰がどんなふうに判定するつもりでしょうか?
単純に考えても1日1例以上の判定ペースが保てるつもりでしょうか?
全く絵に描いた餅になりそうです。
投稿情報: 周産期科医師 | 2008年12 月 4日 (木) 22:08
この保証制度、脳性マヒの赤ちゃん本人が亡くなっても親に支給さ続けるそうですね。
一ヶ月にして10万円というお金、脳性マヒの子をかかえた家にはすずめの涙ほどでしかないけど、その子がいなくなったら、結構まとまったお金に…
とか考える親が出てきたら、どうするんですかね?
投稿情報: suzan | 2008年12 月 5日 (金) 13:23