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(投稿:by 僻地の産科医)
日本医事新報 No.4413 2008年11月22日号より。
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なんどもなんども、昭和医大の先生とお話して、
東京都の「スーパー周産期構想」がようやく、
本来なら「over 周産期」つまり
.。
「周産期だけではお手手万歳です(>_<)っ!!!」
疾患のみについて論じられているのを理解しました。
というわけで、みなさま。
スーパー周産期はなんでもかんでも受けるのではなく、
「間接産科死亡」になりそうな疾患を受けてくれる病院
とご理解下さいませ(>▽<)!!!産褥心筋炎とか。
スーパーを守ろう!コンビニ搬送はやめよう!
普通の周産期疾患搬送は、地区の周産期センターへ!
と言うことでよろしくお願いいたします ..。*♡
(現在、日赤医療センターと昭和医大がほぼ決まりのようです。)
でも、そもそも満床にならないって厚労省行政の真逆ですよね????
【潮流2008 キーパーソンに聞く】
ベッドが満床にならない大規模な施設が必要
厚労省「周産期医療と救急医療の確保と
連携に関する懇談会」座長
岡井 崇
(日本医事新報 No.4413 2008年11月22日号 p18-19)
今年10月、都立墨東病院など8病院に受け入れを断られ妊婦が死亡した事例をきっかけに、厚生労働省は周産期医療と救急医療の連携策を検討する「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」を設置した。懇談会座長の岡井崇氏(昭和大産婦人科学主任教授)に、今後必要な施策について聞いた。
墨東病院の事例の原因は何だったのか。
周産期救急の問題はやはり、医師不足が一番の根本にあり、どこの施設もぎりぎりでやっている。これまでも、ベッドが満床であったり、当直医師が対応できないために、受け入れ不能な施設を探していた。見つけるのに30~40分かかることもしばしばあるが、結果的に重篤なことにならずに済んでいたのが現状だ。
また周産期救急は80~90%が胎児・新生児救急。今回は脳出血というそれほど多くない症例と重なったことで、搬送先を見つけるのにより時間がかかってしまった。
一般救急と周産期救急の連携が取り沙汰されている。
今回のケースの直接の原因は、一般救急と周産期救急の間での連絡がどうこうという問題ではない。しかし、この問題を整理するきっかけにはなった。周産期救急の中でも、母体救急と胎児・新生児救急を分けて搬送先を決めた方がいいのではないかという考えが出てきている。
ただ、母体の具合が悪くなった時には、胎児の具合も悪くなることが多い。例えば今回のように、お母さんが脳出血であれば、救急処置をやるような施設に行っても、脳外科の先生がいなければならない。さらに、帝王切開が必要な場合には産科の医師と、生まれた赤ちゃんに対応するために新生児の専門家も必要となる。受け入れ条件が一番厳しい症例だ。それなりの施設でなければ対応できないという問題がある。
地域差の問題が指摘される中、受け入れ体制について懇談会ではどのような議論がなされるのか。
比較的うまくいっているシステムを構築した地域から話を聴き参考にする。ただし、そのような地域でも様々な問題を抱えており、今のところ問題が少ないというレベルで、必ずしも理想的なものではない。
最終的にはその地域の特性にあったシステムを構築することになるが、NICUが絶対的に少ないという問題はひとまず置いて、現在、周産期救急で搬送している思考の病態を分類し、まず先に母体の処置が必要な病態をどのような基準で選び出すか、その人たちをどの施設に搬送するのかという仕組みを考えたい。
現在できることとしてシステムの改良は必要
具体的には、妊娠高血圧症候群や胎盤早期剥離など総合周産期センターで対応できる疾患と、根本的には別の疾患で産科の病気ではないものとは分けて搬送することなどが考えられる。現在あるインフラを最大限に利用し、人手不足の中でも今回亡くなられたような人たちを何とか助けられるようにするシステムの改良をできる限り早くやらなければならない。
頭が痛いと訴える患者は、今回のような重症例以外でも多くいる。その患者がどれだけ重症かを判断するのは医師の診断能力や実力だが、現状では若い先生も当直しており、そのような先生に「君の診断が遅かった」とか「判断を間違った」と言うと辞めてしまう。そのようなことにならないよう、基準はきちんと作らなければならない。
理想的な受け入れ体制をつくるために行政が取り組まなければならないことは何か。
施設の数よりも規模が問題。
例えば東京には九つの総合周産期センターがあるが、理想的な姿からはどこも小さい。規模が小さいということはベッドがすぐにいっぱいになってしまうということ。そもそも日本の病院はどこも規模が小さすぎる。
救急でいつでも患者を受け入れられる体制をとるためには、ベッドが満床にならないぐらいの余裕を持たせなければいけない。当然、重症の患者が重なった時でも対応できるだけの医師数も必要だ。
例えば東京であれば、このような施設は3ヵ所もあれば対応できると思う。そのような意味で集約化は必要。
ただし、このような施設は一般の病院経営の面から保険点数をどうこう言っても絶対に赤字になる。公的な資金で経営していくということをやらないと不可能だ。普通の病院にわずかな補助金を出して「何とかやってください」と言っても病院経営の面からどこも引き受けたがらない。
その場しのぎではない救急医療の体制整備を
これまでもNICUの増床や、医師不足解消のことは行政に要望してきた。効果が出るのは相当先のことだが、医師不足に関しては今年になってようやく全体の医師数を増やそうという方針を政府が決めた。あとは病院の規模と配置。これが全部整ってようやく日本の救急医療体制が整備されることになる。そこまでやらないと意味がない。
行政には私たちが考えているシステムの改良点にとどまらず、病院の規模や配置、人員の配置を本気で考えて、一歩ずつでもいい形に向かって救急医療の体制を整備するための政策に本気で取り組んでほしい。
今回のケースのように、当直を周りの病院でカバーするのはその場しのぎでしかなく、現場が疲弊するだけだ。「総合周産期センターの看板を返上したい」という施設も出てきている。
医療体制の根本的な問題を解決するために、「このような地域にはこのような規模・機能を持った救急施設が必要」という計画を立て、将来に向けてその姿を実現させていかなければならない。これは絶対忘れないでやってもらいたい。根本的な解決をしなければ、似たようなことがいつでも、どこでも起こるだろう。
おかい たかし
1947年生まれ。73年東大卒。東大助教授、愛育病院副院長などを経て、2000年昭和大産婦人科主任教授。日本産科婦人科学会常務理事。東京都周産期医療協議会会長など。
>産褥心筋炎とか
Post-Partum Cardiomyopathyのことでしょうか?
遺残心機能にもよりますが、カテコラミンサポートで維持できない重症例は、すみやかにPCPS(経皮心肺補助)に接続することが唯一の救命法です。
またPCPSは36時間を越えた運用は難しいので、次のステップとしてLVAS(補助人工心臓)に乗せ変えて、自己心機能の回復を待ちます(心移植という選択肢もありますが日本国内では困難)。
数日~数ヶ月間のICU管理の後に、自己心機能の回復を待ってLVAS離脱術を行います。
それにしても、岡井教授は上記の処置にどのぐらいの費用と他科専門医のマンパワーを要するか、わかっててスーパーセンターに名乗りを上げてるんでしょうか?
また、麻酔科・心外・循内・脳外の了解は得てるんでしょうか?かえって、他科兆散の引き金にならないとよいのですが。普通の麻酔科医は、こんな症例をしょっちゅう当てられたら、速攻で辞表を出しかねませんぞ。
投稿情報: clonidine | 2008年12 月 9日 (火) 23:56
大丈夫!
その前にスーパー産婦人科医逃散すると思います(>▽<)!!!
あは。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年12 月10日 (水) 00:13