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(投稿:by 僻地の産科医)
なんとなく面白かったのでとりあげてみました(>▽<)!!!
Medical Tribuneアンケート vol.4
医師のライフスタイル
多忙であるが生きがいのある仕事
Medical Tribune 2008年12月11日(VOL.41 NO.50) p.42
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41500421&year=2008
近年,医師の不足や過重労働が問題視されており,医師を取り巻く労働環境の改善,整備などが急務と言われている。
そこで,医師の職場環境やライフスタイル,「医師」という職業に対する意識などを探ることを目的として,2008年10月20〜22日にアンケートを実施した。対象は,MTpro登録医師会員から無作為抽出した1,500人で,有効回答は233人(回収率15.5%)であった。
約4割で長期休暇の取得が不可能
月平均の夜間当直回数は,全体の55.4%が「なし(0回)」,32.6%が「4回以下」と回答したものの,「5回以上」とする回答が12%を占めた(Q1)。50歳代でも4回以下の当直があるとの回答が約3割にのぼった。また,勤務医では当直「なし」が約3割であったのに対し,開業医では9割を占め,当直の有無が両者の大きな差であることが示された。
一般的な会社員の場合,通常はお盆(夏期休暇)と年末年始(冬期休暇)のように1年に2回は1週間程度の休暇が取得可能であると考えられる。では,医師は長期休暇の取得が可能なのか―。
アンケートの結果,「1年間における年末年始,連休,夏期休暇等も含めた長期休暇(1〜2週間)の取得が不可能」との回答が全体の42.5%にのぼり,年に1回が32.6%,2回以上の取得は24.9%にとどまった(Q2)。特に,40歳代(46.5%),50歳代(42.0%)で取得不可能な割合が高く,中堅およびベテランになるほど多忙である実態が浮き彫りとなった。
この結果について,作家で神経内科医の米山公啓氏は「60歳代でも取得不可能とする回答が約4割を占めており,いかに医師が1〜2週間程度の休暇も取得できないほど多忙であるかを示している。フランスでは医師は年に2か月の休暇を取得することができ,諸外国では年に月単位の休暇が取得可能な国もあることから,これは日本人医師の典型的な状況であろう。また,医師の労働環境に対するフォロー体制が整備されていないことを意味している。この1〜2回にはお盆や年末年始も含まれていることから,本当の意味での長期休暇は取得できていない」とし,「勤務医に比べて開業医で長期休暇の取得回数が少ない傾向が見られるが,開業医ではあえて取得しない割合が含まれていると考えられる。開業医では当直はないものの休診できないのが現状であり,これは勤務医と開業医の特徴的な差と言えるだろう」と解説した。
代診が頼めないことが大きな理由
長期休暇が取得できない理由としては「院内制度上,長期休暇は取れない」(病院48.0%,診療所59.6%)との回答が最も多く,次いで「安心できる代診が頼めない」(同46.0%,40.4%),「患者のことが心配」(同20.0%,29.8%)が続いた(Q3)。
米山氏は,医師が休暇を取得できない理由として,代診が手配できないことが大きいと指摘。「医師の雇用には,ここ数年で変化は見られるものの,やはり流動性は少ない。また,簡単に他の人に引き継げる性質の仕事ではないといった医療の特殊性や,医師の派遣システムが十分に機能していないなど,医師の労働環境・条件に余裕がないことが表れている。また,最近の“医局制度の崩壊"の影響も考えられる」と考察した。
では,代診が可能ならば医師は長期休暇の取得を希望しているのだろうか―。アンケートの結果,全体では66.7%が「休暇の取得」を希望しており,勤務医では8割に達していた。一方で,開業医では希望する人は約半数にとどまった(Q4)。同氏は「開業医では,代診には1日に数万円の費用を要するといった金銭的な問題や,地域密着型であるために休診しにくいといった状況も考えられる」と言う。
長期休暇の過ごし方については,「国内旅行」が53.7%と最も多く,「海外旅行」も32.1%であったものの,「休養」が48.5%と約半数にのぼり,休暇が日ごろの仕事の疲労を取ることに費やされていた(Q5)。同氏は「一般的には,医師は経済的に恵まれており,海外旅行にも気軽に出かけるといった世間的なイメージがあるものの,現実は1〜2週間の休暇も取得できず,休日は休養に当てており,かけ離れたギャップがある」と述べた。
経験を積むほど医療の仕事が生きがいに
医師の交友関係については,「医療関係者がほとんど」とする回答が全体の約6割を占めた(Q6)。この傾向は30〜50歳代で共通しているが,60歳代では「医療関係者と関係者以外が半々」との逆転が見られた。また,医療関係者がほとんどとする回答の割合は,開業医よりも勤務医のほうが高かった。
米山氏は「勤務医に比べて,開業医のほうが交友関係が広いという結果が得られており,両者に差が見られたことは興味深い。いずれにせよ,医師の交友範囲は狭いことがうかがえる」と解説した。
また,「医師」という職業に対する意識として,全体の61.8%が「医療は生きがいではあるが,自分の時間や家族と過ごす時間を増やしたい」と回答しており,このプライベートの時間を重視する傾向は年齢層が若いほど高かった。また,「仕方ないと我慢している」との回答は全体の約2割にとどまり,年代別で大きな差は見られなかった(Q7)。
米山氏は「半数以上の人々が,仕事自体はおもしろくて生きがいであるものの,多忙で自分の時間が持てないと考えており,これは医療独特の意識と言えるだろう。高齢になるほど『多忙でも構わない』とする回答の割合が増加しており,経験を積むほど満足度・使命感が上昇し,医療の仕事を生きがいとする意識につながっていると考えられる」と解説。「勤務医と開業医で意識に差が見られないことは意外であった。また,医師自身で労働条件や職場環境の改善,改革を進めるためには,現在の状況を『我慢』と考えている割合が約2割では少なすぎる印象がある。多忙であることが患者のためになり,ひいては自身の生きがいになっている可能性も考えられ,この点にも日本人の労働の特性が強く表れている」と考察した。
子供に医師は勧めないが56.2%
さらに,「自分の子供を医師にさせたいですか」という問に対しては,「はい」の43.8%を「いいえ」の56.2%が上回った(Q8)。
賛成の理由としては,「やりがいのある仕事だから」(72.5%),「人のため,社会のためになる仕事である」(63.7%)との回答が多く,否定の理由としては「仕事内容に見合った収入とは言えない」(51.9%),「家庭や普通の生活を犠牲にせざるをえない面がある」(50.4%),「就労環境が厳しくなってきている」(48.9%)が多く見られた。
米山氏は「否定が肯定を上回ったこの結果は予想外であった。また,勤務医と開業医で意識に差が見られなかったことも興味深い。否定意見の根底には『医師の仕事は多忙なわりに収入が低くて割に合わない』とする意識があるのではないか。また,賛成意見としては,社会的なステータスや高収入よりも,仕事のやりがいや他人のためとする回答が多く,これも世間一般のイメージとは異なる印象がある」と述べ,「『医師の仕事はたいへんで多忙だけれども給料は安い』という認識はあるものの,『やりがいがあって人のためになる仕事である』と考えて従事している人が多いのが現状ではないか。ここで,先の質問で,『我慢している』と回答した割合が低いこととつながるだろう。こうした意識の背景には,医師自身が,労働条件や環境に対する疑問や不平といった意識が薄いことが反映されている。これは,『医は仁術』と言われているように,医師という職業では金銭的な見返りを求めないといった歴史的な根深い意識が広く浸透していることも影響しているだろう」と解説した。
アンケートにご協力いただいた先生方に謝意を表します。
ほんとにやりがいのある何にも変えがたい職業だと思います。
投稿情報: 医師求人 | 2008年12 月23日 (火) 22:31
でも子供には勧めないんですよね(笑)。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年12 月23日 (火) 23:37