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(投稿:by 僻地の産科医)
なんと、すでに謝罪されていました(>▽<)!!!
しかも、あちこちから惨々の状態です。
「軽さ」際立つ首相発言=失言と軌道修正-与野党が批判
時事通信 2008年11月20日
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008112000951
麻生太郎首相の不用意な発言に与野党から批判が相次いでいる。首相は20日、日本医師会(日医)の唐沢祥人会長に、「社会的常識がかなり欠落している人が(医師に)多い」などとした自身の発言を撤回、陳謝したが、与党内からも首相への苦言は続出。政策に関しても前言撤回や軌道修正が目立ち、与党内には首相発言の「軽さ」を懸念する声が強まっている。
「まったく言葉の使い方が不適切だった」。首相は同日午後、「医師常識欠落」発言の抗議に訪れた日医の唐沢会長に頭を下げた。
民主党の菅直人代表代行は同日の記者会見で「常識がないのは首相の方ではないか。本人が非常識だ」と批判した。与党からも「指導者の一言一句に国民の注意が集まる。影響を考えて発言していただきたきたい」(津島雄二元厚相)などと厳しい声が出た。
日医はもともと自民党の有力支持団体だが、茨城県医師連盟が次期衆院選での民主党支持を打ち出すなど、自民離れの動きがある。今回の首相発言で、自民党内には「医師会が自民党を支援しない口実になる」(閣僚経験者)と影響を気にする声もある。
生煮えの政策をぶち上げてしまう首相への不満も政府・与党内には根強い。道路特定財源の一般財源化に伴って地方に配分する1兆円について、首相は19日は地方交付税で配る方針を表明したが、自民党道路族が反発するや、20日は「自由に使えるなら何だっていい」とあっさり軌道修正した。
定額給付金の所得制限の是非をめぐっても、政府・与党決定まで首相の発言が二転三転したのは記憶に新しい。民主党の菅氏は「いろんな発言で迷走している『迷走総理』だ。首相としての資質を欠いている」と指摘した。与党内には「(首相は)トップダウンでアピールしたいのだろうが、やることなすこと全部裏目。このままでは政権は駄目だ」と弱気な声も出始めている。
首相が発言陳謝、医師会会長は抗議文を手渡す
読売新聞 2008年11月20日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081120-OYT1T00637.htm?from=navr
麻生首相は20日、首相官邸で日本医師会(日医)の唐沢祥人会長と会談し、医師の社会的常識が欠けているなどとした自らの発言を撤回、陳謝した。
同席した竹嶋康弘副会長によると、首相は「言葉の使い方が不適切だった」と謝罪したという。会談は日医側が申し入れ、「軽率な発言は、耐え難い環境で医療現場を懸命に守る医師の真摯(しんし)な努力を踏みにじるもの」などとした抗議文を首相に手渡した。
日医は参院比例選の自民党名簿に組織内候補を載せるなど、同党の有力支持団体の一つ。首相の発言が次期衆院選に与える影響について、「かなり出るのではないか。撤回・謝罪で全国の医師会員が納得するとは思っていない」(中川俊男常任理事)との声も出ている。また、救急患者が病院をたらい回しにされた問題で、二階経済産業相が10日に、「医者のモラルの問題。忙しい、人が足りないというのは言い訳」と発言したことにも、「不適切」(竹嶋氏)と反発が出ている。二階氏はその後、「(たらい回し解消のために)専門的な立場から全面的に協力願いたいという気持ちを込めた」と釈明している。
麻生首相:「医師常識欠落」発言 舛添厚労相が苦言
毎日新聞 2008年11月20日
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081120dde007010043000c.html
麻生太郎首相が医師について「社会的常識が欠落した人が多い」と発言したことに対し、舛添要一厚生労働相は20日午前、「現場の勤務医も悲鳴を上げながら頑張っている。そういう方々に勇気をくじく誤解を与えるようなことがあれば残念だ」と述べ、苦言を呈した。東京都内で記者団に語った。これに関連し、河村建夫官房長官は同日午前の記者会見で、「首相自身が謝罪しており、あれこれ言うつもりはない」と述べたうえで、「政府は一丸となって産科、小児科、救急医療の医師を確保しなければいけない」と医師不足対策に取り組む姿勢を強調した。
一方、全国の開業医・歯科医で構成する「全国保険医団体連合会」は同日「深刻な医師不足を解決しようとする姿勢がまったく見えない」などと首相の発言に抗議する声明を発表した。
日本医師会「衆院選への影響避けられない」 首相の不適切発言で
MSN産経ニュース 2008年11月20日
(1)http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081120/plc0811201926009-n1.htm
(2)http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081120/plc0811201926009-n2.htm
麻生太郎首相は20日、全国知事会議で「医師は社会常識がかなり欠落している人が多い」と発言したことについて、日本医師会(日医)の唐沢祥人会長と首相官邸で会談し、自身の発言を謝罪し撤回した。ただ、全国の日医会員からは日医執行部に対して「自民党支持をやめるべきだ」との抗議が続々と寄せられており、日医側は同日の記者会見で、次期衆院選への影響は避けられないとの見方を示した。
会談で、唐沢氏が提出した抗議文によると、首相発言について「特定の職業を名指しして、根拠なしに差別するものであり、激しい憤りを禁じ得ない」と厳しく批判。10日に二階俊博経済産業相が医師不足の原因を「医師のモラルの問題」と発言したことに続き、麻生首相が同趣旨の発言をしたことに対しては「奈落の底に突き落とされた思い」とした。これに対し、首相は「不適切な言葉の使い方だった」と陳謝した。
会談後、厚生労働省で会見した日医の竹嶋康弘副会長は、首相の謝罪に対し「しっかりした返事だった」と一定の理解を示したが、次期衆院選への影響について中川俊男常任理事は「謝罪があったからといって全国の会員が納得するとは全く思わない。(影響が)少なくないどころか、かなり出るのではないか」と指摘した。日医では、19日の首相発言後、全国の会員から数十件の抗議メールが執行部に届いており、今後、現場レベルで自民党離れが進む可能性が出ている。
麻生首相:「医師は常識欠落」発言撤回 言葉不適切と謝罪
毎日新聞 2008年11月20日
http://mainichi.jp/select/science/news/20081121k0000m010034000c.html
麻生太郎首相は20日、「(医師は)社会的常識がかなり欠落している人が多い」などとした自らの発言について、首相官邸に抗議に訪れた日本医師会の唐沢祥人会長に「言葉の使い方が不適切だった」と伝え、発言を撤回したうえで謝罪した。
同席した日医の竹嶋康弘副会長によると、唐沢会長は「特定の職業を名指しし、根拠なしに差別するもので、激しい憤りを禁じ得ない」などとした抗議文を読み上げて首相に手渡した。首相は「医師の価値観が(一般の人と)違うことを強調した流れで、『社会的常識が欠落』という言葉を使ってしまった。撤回し、謝罪いたします」と答えたという。
日医をめぐっては、後期高齢者医療制度を批判する茨城県医師会の政治団体が次期衆院選での民主党候補推薦を決めるなど混乱が続いている。首相発言には全国の会員から抗議のメールが多数寄せられているという。衆院選への影響について、記者会見した中川俊男常任理事は「現場の気持ちを踏みにじった発言で、かなりの影響があるのではないか」と語った。
◇野党からも批判
麻生太郎首相の「医師は社会的常識が欠落した人が多い」発言に対して、民主党の菅直人代表代行は20日、会見で「今の医師不足には、勤務医の過重労働や医療事故の問題などといった大きな背景がある」と指摘し、「一人一人の医師の常識に原因があるとは、言っているご本人の方が非常識だ」と批判した。
また、共産党の志位和夫委員長は会見で「医師の側に責任があるかのような発言は許しがたい。政治の責任をしっかり受け止め、打開しようという立場が全くないと感じざるを得ない」と述べた。
首相の医師批判発言、与党からも疑問の声
MSN産経ニュース 2008年11月20日
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081120/stt0811201925008-n1.htm
麻生太郎首相の医師批判発言に対しては、自民、公明両党からも疑問の声があがった。
20日の衆院総務委員会では自民党の若手、橋本岳氏が取り上げ、首相と親しい鳩山邦夫総務相に対し「愕然(がくぜん)とした。社会的常識が欠落する人が多いから医師不足が起こったとの認識を首相や政府がしているなら、正してもらわないといけない。厳重に抗議したい」と迫った。
自民党津島派の総会では、鴨下一郎元環境相が「医師会の執行部も組織をいかに防衛するか努力している。自民党を(選挙で)支援しない口実を作らないように慎重に言葉を選んでほしい。『自分で常識があるというヤツは常識がない』といわれた」と首相に苦言を呈した。
公明党の北側一雄幹事長も同日の記者会見で「言葉自体だけを取り上げれば不適切と言わざるを得ませんね。でも、どういう前後の話の中でそうなったか分からないのでコメントしようがない」と語った。
首相発言は不適切と官房長官=医師不足問題、自民・大島氏も苦言
時事通信 2008年11月20日
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008112000382&j1
河村建夫官房長官は20日午前の記者会見で、医師不足問題に関連して「社会的常識がかなり欠落している人(医師)が多い」とした麻生太郎首相の発言について「医師不足、特に周産期医療で不幸な事例も起きた責めをすべて医師団に(負わせる)という問題でもない」と述べ、首相発言は不適切だとの認識を示した。
河村長官は「(首相自身が)謝罪したので、あれこれ言うつもりはない」としつつも、「政府は一丸となって、産科・小児科、救急医療の医師を確保しなきゃいけない。勤務医環境の改善が必要だ」と強調した。
また、自民党の大島理森国対委員長も同日午前の党正副国対委員長会議で、「昨日から首相のいろいろな発言があったが、首相に対して『言葉は大切である』と申し上げなければならないこともある」と述べ、首相は発言に注意を払うべきだと強調した。大島氏は総裁選で首相を支持するなど盟友関係にあり、異例の苦言を呈した形だ。
首相は19日の全国知事会議で「社会的常識の欠落」に言及したほか、「これだけ(不足が)激しくなってくれば、責任は医者の(方にある)話じゃないか」などと発言。その後、記者団に「まともな医者が不快な思いをしたというのであれば申し訳ない」と釈明した。
社説:「医師は常識欠落」 麻生さん「失言」では済まない
毎日新聞 2008年11月21日
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081121k0000m070166000c.html
全国都道府県知事会議で医師不足への対応を問われた麻生太郎首相が「自分で病院を経営しているから言うわけではないが、医者の確保は大変だ。(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い」と述べた。地方の医師不足の原因が医師側にあることを指摘したかったとみられるが、乱暴な発言だと言わざるを得ない。これには医師の団体だけでなく、首相を支える政府・与党からも批判や苦言が相次いだ。異例のことである。麻生首相はさらに「(医師不足が)激しくなれば、責任はお宅ら(医師)の話ではないのか。お医者さんを『減らせ、減らせ』と言ったのは、どなたでしたかという話も申し上げた」と追い打ちをかけた。
医師の団体が医師抑制を働きかけたことは事実だが、それを後押ししたのは自民党だった。医師不足を医師側の責任と主張するのなら、客観的な事実を示すべきだ。自らの病院経営の中で感じたことを話したのだとすれば説得力がない。首相発言は医師不足の現状を打開する手がかりになるどころか、混乱をもたらすだけだ。こういう発言こそ「社会的常識」を欠いたものと指摘せざるをえない。
麻生首相は同知事会議の後、記者団に「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば、申し訳ありません」と釈明、発言の翌日、首相官邸を訪れた日本医師会の唐沢祥人会長に対し「言葉遣いが不適切であり、撤回したい」と陳謝した。一日で撤回に追い込まれるような発言は二度とすべきではない。言わなくてもいいことを軽々に口にし、医師不足にどう対応するのかという、国民が一番聞きたいことを言わないというのは、おかしい。これでは医療に対する国民の不安を取り除くことはできない。
医師不足を招いた歴史的な経過を踏まえて原因を分析し、具体的な解消策を示すのが政府の仕事である。麻生首相には発言を改めて謝罪し、医師不足対策の先頭に立ってもらいたい。妊婦が受け入れを断られて死亡した問題が起きるなど、医師不足の解消は直ちに取り組むべき問題だからだ。
人手不足で過重な勤務をしながら、現場で患者のために日夜働いている医師はたくさんいる。こうした医師らの努力を麻生発言が無にしてしまうことにならないか、心配だ。「失言」だと釈明して済む問題ではない。医師不足という「未曽有の危機」を麻生首相はどこまで理解しているのだろうか、と言いたくなる。
医師不足対策は緊急の課題である。国、都道府県、そして病院や診療所の医師らが足並みをそろえて動き出さないと、問題は解決しない。医師の理解と協力が何よりも必要なときに、あえて神経を逆なでするような不用意な言葉を投げつけてしまった責任は重い。
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