(投稿:by 僻地の産科医)
「第35回 日本産婦人科医会学術集会」
教育講演からですo(^-^)o ..。*♡
私、実は不育症というか習慣流産に興味があって、
どうしてかというと、なんだか結局「わからない」から。
漫然と低容量アスピリンを飲ませてればいいのか、
いったいどうしたらいいかわからない。
で、とても勉強になるのでつい目が行きます。
不育症の診断と治療
公立大学法人名古屋市立大学大学院
医学研究科産科婦人科学教授
杉浦 真弓
(第35回 日本産婦人科医会学術集会抄録 p16-17)
<抄録>
不育症については標準的検査、治療法がないのが現状である。一般臨床病院でどこまで検査を行うべきかについては、日本産科婦人科学会ガイドラインにも示されているが、エビデンスレベルの高い研究が少ないのが実情である。
不育症は繰り返す流死産によって生児を得られない状態であり、習慣流産は3回以上連続する流産と定義されている。1回の流産は約15%、習慣流産は1~2%、不育往は5%程度の頻度と推定されている。既往流産回数、女性の加齢によって流産率診上昇する。
原因は母体側に存在する場合と胎児異常に分類できる。母体側原因としては抗リン脂質抗体症候群5~15%、子宮奇形3%は明らかである。黄体機能不全23%、糖尿病1%、甲状腺機能低下10%などの内分泌異常がみられるが、黄体機能不全に対するホルモン補充の有効率は意外にも確証が得られていない。また、免疫異常、炎症、遺伝子多型、凝固異常、精神的ストレスなどはまだ研究的である。本邦で長い間行われてきた夫リンパ球免疫療法は、その意義は否定的であり、FDAは研究目的以外では実施しないことを勧めている。
一方、胎児側原因として夫婦染色体転座、胎児染色体数的異常診明らかである。胎児染色体数的異常は1回の流産の約70%に見られるが、偶然起こることであり、不育症の原因としては考えられてこなかった。しかし名古屋市立大学では不育症患者においても約50%に異常部みられることを2000年に報告し、胎児染色体異常は不育症においても重要な原因のひとつであることを明らかにした。単純計算でも2回続く確率は49%、3回では35%であり、他のどの原因よりも高い頻度てあることが理解できるであろう。最近、マイクロアレイCGH法を用いた染色体分析ではG-band法で判明しなかった微細な構造異常部存在することが明らかとなった。その報告によれば胎児染色休異常は80%以上にみられるという。つまり、既往流産3回の患者の51%が胎児の先天異常と考えられる。遺伝子多望、エビケノム異常を含めればさらに胎児側の異常は高頻度であろう。名古屋市立大学での検討で薬物投与せすに2回流産なら76%(444/582)、3回70%(83/118)、4回79%(19/24)、5回50%(3/6)が生児獲得できている。
特に胎児染色休異常部確認された場合の次回妊娠成功率が高いことも証明している。不育症患者の85%が累積成功しており、流産を繰り返しても出産可能であることを説明し、精神的ケアをすることが最も重要と考えている。
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