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(投稿:by 僻地の産科医)
社民党から、こんなのも出ていたのですね。
知りませんでしたo(^-^)o ..。*♡
2008年10月3日
「産科医療補償制度」の中止に関する申し入れ
http://www5.sdp.or.jp/comment/2008/moushiire081003.htm
厚生労働大臣
舛添要一 様
社会民主党全国連合
党首 福島みずほ
来年一月一日から民間損害保険を用いた「産科医療補償制度」が導入される予定である。
同補償制度は、通常の妊娠・分娩にもかかわらず新生児が重い脳性麻痺となった場合のみを対象とし、医師の過失の有無にかかわらず、合計三千万円の補償が支払われる内容である。
分娩機関は補償金支払いによる損害を担保するため、財団法人・日本医療機能評価機構を通して、「産科医療補償責任保険」(民間損害保険会社六社共同運営)に加入する。分娩機関が支払う保険料は一分娩当たり三万円で、妊婦が支払う出産費用に上乗せされるため、厚生労働省は、年内に「出産育児一時金」の支給額三十五万円を三万円引き上げる政令改正を行う方針であるとしている。
「産科医療補償制度」は、脳性麻痺となった子とその家族に対する経済的負担の速やかな補償、医療事故原因の分析と防止、紛争の防止・早期解決などが目的とされている。
しかし、「産科医療補償制度」は、次に列挙する点をはじめ極めて問題が多い。
1,「産科医療補償責任保険」は、分娩機関が加入する保険であるにもかかわらず、その掛け金は、出産する本人に給付される「出産育児一時金」の一部が当てられ、分娩機関の負担はない。
また、「出産育児一時金」を、本人の承諾を得ずに、一方的に掛け金とみなして制度設計が行われている。だれのための、何のための補償制度であるのか、国民の理解を得られない。
2,「出産育児一時金」は、公的医療保険から支出されているにもかかわらず、民間損害保険がその運用を行うことになっている。結果として、財務諸表が公開されず、国民の合意形成や公的な監視、財政の透明性が担保されない。
3,出産する本人に対するインフォームドコンセント(説明と同意)の視点が欠けている。分娩機関や出産する本人に対して、同保険への加入・不加入の選択権が整備されていない。
4,厚労省は、同保険によって余剰金が出ても、制度に加入している分娩機関、出産する本人、いずれにも返還する予定はないとしている。そもそも補償対象者数を500~800人/年間と見積もっている根拠が不明である。また、もしも、余剰金が発生する場合は、脳性麻痺児のトータルケアに使うなどが検討されてよい。
先天的な要因等により補償が受けられない脳性麻痺児と補償の対象となる脳性麻痺児との間に、大きな経済的格差が生じることも大きな問題である。
5,補償金の支払い方法が年金方式ではなく、脳性麻痺児が亡くなっても二〇年間支払う方法であり、モラルハザードが懸念される。この点は、「産科医療補償制度運営組織準備委員会」においても強く指摘されている問題である。
九月一二日の社会保障審議会・医療保険部会においては、複数の委員から、保険料額の根拠、保険料が補償金等の支払いを上回った場合の余剰金の取り扱い、民間損害保険であっても公的医療保険の資金が入ることによる財務の透明性の確保、補償対象の範囲など、制度の根幹にかかわる質問が出されている。しかし、厚生労働省から充分な説明はなされていない。
一方、分娩機関からも、分娩費用の値上げや同補償制度について妊婦に納得のいく説明ができない、補償対象となることを証明するための検査が妊婦や現場の医療スタッフに負担を強いるなど、不安と疑問の声が上がっている。同補償制度は、産科医師不足の要因とされる産科医療訴訟を減らすことを優先して議論が拙速に進められてきたが、このままでは、分娩を取り止めたいという産科医師も出かねず、産科医師不足の歯止めになることは考えにくい状況である。
ついては、社会民主党として以下の通り、申し入れるものである。
記
一、拙速な「産科医療補償制度」の導入は中止し、議論を根本からやり直すこと。「出産育児一時金」は出産する本人に支払われるものであり、本人の承諾なしに保険の掛け金としないこと。民間損害保険を用いる制度設計は中止し、国の制度として制度設計をやり直すこと。
二、医療事故の真相究明と再発防止、医療の質を向上させるために、「医療事故報告システム」(医療事故情報の収集・分析、その結果の共有)、「医療事故調査システム」(病院内と第三者機関の両方に設置)、「医療事故無過失補償制度」を早急に確立すること。
以上
民間の保険会社を使うことにしたのは、確かに「ちょっと早まってる?」と思いました。
でも、こうしないと「1日も早い制度の立ち上げ」はできない。
なんで1日も早く、なのか。
それはこの制度が、本当は無過失補償をされる側(お金をもらう側)でなく、産婦人科医のためのものだからです。
「無過失補償制度は、産科医療崩壊速度を少しでも遅らせるカンフル剤」
私はそう考えています。
違いますか?
これを大声で言うとおそらく、「医療ミスをした医者を助けるってどういうことだ?!」ということになるでしょう。
脳性マヒが医療ミス(医療事故でもいいけど)と直結しない、とかいう議論はさしおいて、です。
だから、大声では言わない。
その結果、民間の会社が入る、という「おいしい企画」になってしまって、きまじめを気取る方々につけこまれる。
「脳性マヒ以外に対する補償はしなくていいのか」とか、つっこみどころはいっぱいあります。
とにかく。
脳性マヒへの民事訴訟の金額が大きすぎて産科医をへこたれさせており、それをなんとかお助けできないか、という制度であることを、わからない、わかろうとしないお方はいっぱいいると思う。
みずほちゃんは、そのひとりにすぎない。
「産科医は黙って死ぬまでお産をとれ、子供や母親に何かあったらもちろん訴えて骨の髄までしゃぶってやる」という国民の代表意見であるにすぎません。
投稿情報: suzan | 2008年10 月29日 (水) 16:54
suzan さん
もし医療者なら、あなたはヒポクラテスの誓いをご存じですか?医者であることとはどういうことか理解していますか?
助けられるためでなく助けたいから医者をやっている、そういう理念がないとやれません。
投稿情報: 産婦人科医 | 2008年10 月30日 (木) 20:50
疲れきっているsuzan先生をいじめないで下さい(>▽<) ..。*♡
勤務場所きいたら、誰だってはは~っと頭を下げ、「このような場所で産婦人科医として働いておられるとは!」と尊敬の念を感じ取らずには折られません。
早くお逃げになられることを、心からお祈りし、心が折れないよう、本当に祈っているような場所なのです~。
ヒポクラテスの“ひ”の字だって、そこでは感じられないはずです。
要約すると、
「そんなところで働いていると心が腐ってしまう、逃げて~(>_<)!!!!」です。
先生も緊急医師援助が必要な病院でお働きですか?
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年10 月30日 (木) 22:59
>suzan さん もし医療者なら
・・・スー様を知らないとはモグリですな。
このお方をどなたと心得る!恐れ多くも絶滅危惧種産婦人科医であらせられるぞ!頭が高い!ひかえろぉ!
って助さんの気持ちになりました。
投稿情報: げ〜げ〜 | 2008年10 月31日 (金) 00:09
それならお辞めになればいい。医者として何ができるか?それだけが最後の砦なのです。愚痴としてなら結構ですが。
もし本当にヒポクラテスの意味を知らないならすぐに学んでください。私の言っている意味がわかるようになります。
投稿情報: 産婦人科医 | 2008年10 月31日 (金) 03:08
みなさん、応援コメントありがとうございます。
でも、私に「ヒポクラテスの誓いを知らないのか?!」とおっしゃったお方は、きっと本気だと思うので、多分、まだお若くてひどい目に遭ったり身近な人がそうなったりしたのを知らないか、すごく上の先生で、患者さんが医者を大事にしてくれた記憶がバリバリあるのだろう、と思うのです。
私が書いたことは、確かに医者の風上にもおけません。
でも、自分のミスではないことまで「お前が悪い」と民事訴訟で決められて数億のお金をふんだくられる時代に、お産をとること自体が間違い、と他科のドクターが本気でおっしゃるのが今の時代です。
何か心の支えになることがなければ、お産をとる医者は近いうちに絶滅するでしょう。
わたくしにコメントくださった「産婦人科医」さんはきっと死ぬまで最前線でお産をとるおつもりでしょうから、日本全国でひとりの産婦人科医は最低でも残る計算ですが、おひとりでは、さぞつらいことだろうと思います。
投稿情報: suzan | 2008年10 月31日 (金) 16:23
産婦人科医さま
申し訳ないのですが、私には、あなたのコメントは許容しかねます。
貴方が本物の臨床医であるのかどうか、すこし「ヒポクラテス」をいい続けている時点で疑問もあるのですが、この産科の首がしまるようなひどい惨憺たる状態の職場環境で、それを認められずに「辞めればいい」と簡単に言い放ってしまえるような貴方のコメントは、私は認めません。
suzan先生は私(ブログ主)にとって大切な友人であり、投げやりになっている時だったとしても受入れる存在です。そして体力があるときもない時も、彼女はこのブログの共同経営者でもあるのです。
(このブログの主投稿者は私ですが、皆さんに手伝っていただいてやっているのです。)
私の投げやりな時、つらいときも励ましあってやってまいりました。いまもみんなつらい中にいます。他人の言動が自分の主張にあわないからといって、頑張る人間に簡単にやめればいいなど無責任きわまる言動です!貴方は幼稚園児ですか?
申し訳ありませんが、それ以上の書き込みをなさってもこちらではコメントをお受付しませんので、ご了承ください。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年11 月 1日 (土) 01:02
ヒポクラテスの誓い(原文:小川鼎三訳)
『医神アポロン、アスクレピオス、ヒギエイア、パナケイアおよびすべての男神と女神に誓う、私の能力と判断にしたがってこの誓いと約束を守ることを。この術を私に教えた人をわが親のごとく敬い、わが財を分かって、その必要あるとき助ける。その子孫を私自身の兄弟のごとくみて、彼らが学ぶことを欲すれば報酬なしにこの術を教える。そして書きものや講義その他あらゆる方法で私の持つ医術の知識をわが息子、わが師の息子、また医の規則にもとずき約束と誓いで結ばれている弟子どもに分かち与え、それ以外の誰にも与えない。○私は能力と判断の限り患者に利益すると思う養生法をとり、悪くて有害と知る方法を決してとらない。○頼まれても死に導くような薬を与えない。それを覚らせることもしない。同様に婦人を流産に導く道具を与えない。○純粋と神聖をもってわが生涯を貫き、わが術を行う。○結石を切りだすことは神かけてしない。それを業とするものに委せる。○いかなる患家を訪れるときもそれはただ病者を利益するためであり、あらゆる勝手な戯れや堕落の行いを避ける。女と男、自由人と奴隷のちがいを考慮しない。○医に関すると否とにかかわらず他人の生活について秘密を守る。○この誓いを守りつづける限り、私は、いつも医術の実施を楽しみつつ生きてすべての人から尊敬されるであろう。もしこの誓いを破るならばその反対の運命をたまわりたい。』
「ヒポクラテスの誓い」をご存じない一般のお方のために引用しました。
わたくしは、この誓いを完全に守っております。
ほとんどの医者はそうだと思います。
でも訴えられ、数億の金をふんだくられている医者仲間がいる。
この矛盾を矛盾とも思わない臨床医が、今の日本にいるとは、とても思えないのです。
投稿情報: suzan | 2008年11 月 3日 (月) 10:06
小川鼎三とは、とても渋い所をおだしになりましたねo(^-^)o ..。*♡
『婦人の堕胎』についてのみは、道具は与えていないけれど、ちょっと自信がありません、くらいかな。
中絶は嫌な仕事ですね。。。(特に中期!!)
そういえばヒポクラテスの誓い。
大学入試の面接5分前にポンと渡されて、「何か質問されるかもっ!これ全文暗記か?」とドキドキしながら全文頭から暗記したのに、何も聴かれなかったという苦い思い出が。。。
その時に(医学生を目指す高校生ですから)
「献体したい」みたいなことを言ったら、
大学の教授(面接官)がひどくお怒りになって、
「貴方に解剖の何が分かるっていうんですか!?家族は許しているのですか?身体を何だと思っているのですか?」
と怒られました。
副面接官の教授が
「まぁまぁ、まだお若いのですし、怒ることないじゃないですか」
みたいなことを仰って、その場が収まりましたが、今考えれば、とても無神経なことを言いました。
その時には、(自分の大学だけかもしれませんが)大学教授の全員が、解剖実習の献体者として献体する決まりになっていることを、知らなかったのです。お歳を召せばやっぱり死生観は変わりますし、ね。
(私はそれほど解剖をおえた現在でも考えは変わっておりません。というと、みんな変わってるというけれど!
他の方に学ばせていただいた、あのような現場(実習)に楽しく私も打ち解けさせていただき、最後の楽しみとしたいと思っています。若者の元気さと無責任さ、傍若無人さと未来を許しながら。)
っていうか、私、小さい頃になぜか(親がキリスト教でもなんでもないのに)日曜学校に通わされていたのですが、どうもこの記述を見ると、自分の中にキリスト教が刷り込まれているニオイを今自覚してしまいましたw。だからダメなんだ。ブログも産科もしんどくって自分の首を絞めているのに、やめられないのかも。
別の話になってしまいました。
でも家族は嫌がるかもしれませんね。たしかに(笑)。
他の子は別の都道府県から来た子で、
「なんでこちらに?」「それは、○○プロ野球球団が大好きだからです!」
で盛り上がったって話を聴いて、なんやったんや~と思いましたが、あの面接そのものは病的な人が混じっていないかどうかのチェックだっただけだそうでしたので、たしかにそれでいいのか。。。と後から納得しましたです。
今はどうだかわかりませんが、医学部の入試にはどこの大学も大抵面接ついてましたよね~。最近ないところの方が断然多いと聞きますが、面倒でもやったほうがいいのかもな~とおもってます。
>産婦人科医さま
途中に表示していないコメント(これは了承されましたようで、ありがたく存じます)がありますが、私は他人に私自身の考えを押付ける気はさらさらないのです。
すべての人生は、その人の選択です。そして「もう、そんな仕事やめなさい」は私自身も周囲、しかも私の家族から言われ続け、「みているのが痛々しいからお願いだからやめて!せめてブログとかの社会運動はやめて!」とまで懇願されつつ、それで続けている身としては、「やめて!」の一言がどのようにその本人に負担になるかということも、わかっているつもりです。
産婦人科医さまにそれがわからないということは、誰にも「やめて」と懇願されないのですね?お気の毒といえばお気の毒な境遇ですね。同情申しあげます。
やめる人は、自分で納得して、それでやっと辞められるのですから。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年11 月 3日 (月) 11:42
僻地の産科医先生!ブログをやめることなく、ご自身の負担のない範囲でお続けなさってください。
以前、先生がある事情でブログを一時的に中断なさったことがありましたが、すぐに復活されました。
先生のブログはとてもためになります。
社会的貢献度大です。
先生がブログを続けられることは、使命ではなく、きっと天命なのでしょう。
このブログがあったお陰で、産科医療の大変さを他科のドクターも再認識できましたし、なんと言っても、あの大野病院裁判が無罪判決を迎えたのも先生のブログの貢献があったからに他なりません。
私は、自分のブログを持たずに、いつも他人様の家の軒下で商売をする=他の先生方のブログで自分の主張のコメントをするばかりですので、申しわけなく思ってあります。
投稿情報: 鶴亀松五郎 | 2008年11 月 3日 (月) 21:17
大丈夫ですよ~o(^-^)o ..。*♡かな?
とりあえず、今のところは大丈夫です!
この3日間で生まれたのは3人だけだし!
入院も2人しかさせてないし!(陣発者除く)
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年11 月 3日 (月) 21:46