(投稿:by 僻地の産科医)
日経ヘルスケア10月号!
とっても内容がいいそうですo(^-^)o ..。*♡
私も届くのを待っているところです!
今日は日経メディカルオンラインから!
患者からの評判が悪い看護師
うまく辞めさせたいのだが
日経ヘルスケア 2008.10.8
(1)http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200810/508096.html
(2)http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200810/508096_2.html
【質問】
患者からのクレームが多い看護師がいて困っています。看護師としての意識があまり高くないようで、「言葉遣いが荒い」「注射が下手」といった不満が度々寄せられ、これまでに何回かトラブルになりました。私ともうまが合わない気がします。うまく辞めてもらう方法はないでしょうか。(整形外科、48歳)
【回答】
患者クレームを記録に残し自己都合での退職を促す (回答者◎宗和メディカルオフィス代表取締役 原田 宗記)
一般に、経営者が労働者を解雇したいと思っても、そう簡単にはできない。労働基準法によって、労働者保護のための様々なルールが設けられているからだ。正当な理由なしに職員を解雇すると、解雇権の濫用ととらえられ、労働基準監督署から解雇を無効と判断される恐れがある。また、職員とのトラブルが公になれば、診療所のイメージダウンにつながりかねない。そのため、職員本人による自己都合退職を促す手段を考えるのが、第一選択肢となる。
プライドを傷つけない配慮を
相談の事例のような患者からのクレームが、解雇の正当な理由として認められるかどうかの線引きは難しい。私の場合、こういったケースでは、院長に「本当の理由に加え、当人の職務姿勢が医院に合わない旨を相手にわかるように伝えて、自己都合退職を促してください」とアドバイスしている。
相談事例と似たケースを挙げて、具体的に説明しよう。ある内科診療所で看護師を採用した。それまで病院で働いており、技術的にも問題ないと当初は考えていたが、その看護師に対して患者から、「採血が下手」「注射が痛い」などのクレームが寄せられるようになった。何度か注意して指導したが、当の看護師は頑固な性格で改善が見られないため、辞めてもらった方がいいだろうという結論になった。採用から2カ月後の話である。
こういった場合、看護師に「患者からあなたの注射が下手だというクレームが多いので、辞めてほしい」とストレートに言うと、怒ったり、意固地になって辞めるのに抵抗しがちだ。
感情のしこりを残さずに辞めてもらうため、院長はその看護師に、「あなたに非があるかどうかはわからないが、患者から『注射が痛い』との苦情が寄せられた」「どうもうちの雰囲気になじみにくい」「他の看護師と呼吸が合っていないようだ」などと理由を付け、「このままではクリニックの運営に支障が出る可能性がありそうです」と伝えた。その結果、看護師は「わかりました」と自ら退職した。なお、退職勧奨は試用期間中のほうが望ましい。どこの診療所でも、職員採用に当たっては1~3カ月程度の試用期間を設けているだろう。本採用に至る前の方が、話がこじれにくいからだ。
上記ケースでは退職勧奨がうまくいったが、必ずしもいつも丸く収まるとは限らない。同意が得られなくても、場合によっては解雇せざるを得ないが、その際のトラブルを防ぐ上で、まず就業規則などで解雇理由や就業ルールを明示しておくことが大切となる。
例えば試用期間に関しては、「試用期間中、もしくは期間満了の際に、引き続き職員として就業させるのが不適当と認められるものについては、解雇することもあり得る」と記しておく。また、患者から評判が悪くなくとも、休暇の取得や勤務日時について身勝手な要望を繰り返し、経営者を悩ます問題職員は多い。就業規則は、こうした職員への対応も踏まえた内容にしておきたい(下表)。
職員のミスは必ず記録に
解雇の根拠となる具体的な記録を残しておくことも重要だ。当の職員が行政機関や労働者団体などに駆け込んだ場合でも、解雇の正当性を示す証拠があれば対応しやすい。
例を挙げよう。先とは別の内科診療所のケースで、同じように患者からのクレームが多い看護師がいた。そのため院長は自己都合退職を促したがうまくいかず、最終的に解雇を告げた。しかし、看護師は県の労働局に「解雇理由が納得できない」として訴えたのである。
まず、県の担当者から、解雇の理由について照会があった。院長は、「患者から苦情が多かったのが理由です。しかし、その内容を詳しく伝えることで患者とトラブルを起こされても困るので、細かくは話していません」と説明した。
さらに、「苦情は具体的にどれだけあったのですか。証拠や記録はありますか」などと尋ねてきた担当者に対し、院長は「○月に○回、○月に○回ありました」と答え、具体的な内容を詳細に伝えた。即答できたのは、トラブル報告書を毎回作成し、記録に残していたからだった。回数の多さやその内容から、担当者は妥当な解雇だと納得し、それ以降、連絡はなかった。
他にはこんな例もある。パートで鍼灸師を雇っていたが、高齢になり技術が明らかに落ちてきて、針の抜き忘れなどのクレームが目に付くようになった。そのため、労基法に従って解雇予告を行ったのだが、鍼灸師が個人で加入していた労働組合から突然連絡が入り、診療所に交渉に現れた。最初は慰謝料や休業補償など総額で200万円を要求された。しかし、トラブル報告書をベースに、技術の衰えが目立ち、サービスのレベルが低下していることなどを示すと、徐々に要求額が減り、最終的には20万円の和解金で決着した。労基法に従って解雇予告を行っていたので、本来は払う必要はないのだが、院長は丸く収める経費と割り切って支払った。
クレーム報告書や始末書などで職員のミスをきちんと記録しておくことは、職員に辞めてもらう際のトラブルを防ぐ“保険”になる。普段から準備を怠らないようにしておきたい。
【まとめ】
・ 技術や能力だけを理由にした退職の勧奨は避ける
職員のプライドを傷つけないよう注意しながら、自分が職場に望まれている人材ではないと相手がはっきりと感じられるような説明を
・ 試用期間の満了時の解雇もある旨を就業規則に明記
就業規則などで解雇の可能性があることを事前に説明しておけば、本採用に至らなかったとしても相手が納得しやすく、トラブル防止につながる
・ 職員のミスを記録する書類を準備しておく
トラブル報告書や始末書などの記録類は、退職を促す上で、交渉を有利に進めるための材料として重要となる
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