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(投稿:by 僻地の産科医)
最近、おじいちゃんDrは侮れないなぁと思うことが多々あります。
もちろん、最新医学に関しては大きな病院でずっと
実地でやってきた方を除けば、
どうしても医学が遅れてしまうのは仕方ないことです。
でも、教養が違うんです。
私たちみたいにあくせく書類仕事、患者さんの処置に追われて
時間も見も心もすり減らして人生を浪費していく生き方に比べて、
昔の先生方(over 75くらい?)は余裕があったのでしょう。
勤勉な方、勤勉でない方、
おじいちゃんDrでもいろいろいらっしゃるとは思いますが。
では、どうぞo(^-^)o ..。*♡
「不満を言うだけでは信頼回復できず」
医科歯科大名誉教授が指摘
ドイツの例を基に「自律的処分制度」の必要性を強調
橋本佳子(m3.com編集長)2008年07月07日
「医師の自律規範を機能させるには、諸外国のように法的根拠を作ることが必要」と語る、東京医科歯科大学名誉教授の岡嶋道夫氏。
「高い医療倫理が求められる現状にあって、他者による処罰を受けているだけ、また他者からの追及に不満を述べているだけでは、医師は国民から真の信頼を得ることはできない」
東京医科歯科大学名誉教授でドイツの医療事情に詳しい、岡嶋道夫氏は7月5日、東京都内で開催された「医療と法律研究協会」のシンポジウム「日本の医療をよりよくするために」で、こう指摘した。最近、様々な場、特に医療事故との関連で「医師の自律的処分制度」の必要性が指摘されるようになっている。
岡嶋氏は、ドイツでは「医師職業規則」をはじめ医師の各種規則を定め、「医師職業裁判所」で審判を行っている現状を紹介。医療行為や医療倫理などで問題がある医師に対しては、日本の民事・刑事に相当する処分のほか、「医師職業裁判所」で、医師も交えた審判により、処分が行われているとした。同裁判所は、一番厳しい処分では、医師資格の剥奪(はくだつ)を行うことから、強いて言えば日本での行政処分に相当する。
「医療過誤を犯罪扱いするのは問題だが、医師の責任を問われても仕方がないものもある。自律規範が機能しない限り、医療事故で刑事や民事裁判になり、医師が痛めつけられても仕方ないと自覚すべきでないだろうか」と岡嶋氏は語り、自律的処分制度の必要性を強調した。
医師会は全員加入、役割は法律で規定
ドイツの医師会は、日本とは異なり、全員加入だ。州と連邦に医師会が設置されているが、日常的な活動は州医師会単位で行われている。医師会は医師の自治組織であるが、その組織のあり方や任務は州医療職法で規定されている。
医師会は、「医師職業規則」のほか、卒後研修規則や救急業務規則など、各種の規則を作成している。「ドイツでは医師職業規則は、医師の憲法とも呼ばれ、医師の義務と倫理を厳格に規定している」(岡嶋氏)。
州医師会は、州から医師を監督する権限を委譲されている。州によって異なるが、各種の規則に反した医師に対して、注意、戒告、罰金の処分を決定する。
さらに、医師会の処分よりも重い処分が必要とされる事件などを扱うのが、「医師職業裁判所」だ。刑事とほぼ同じ手続きで進める。
ドイツの職業裁判所は、医師に限ったものではない。連邦法の規定で、弁護士、公認会計士、税理士、納税代理人、また州法の規定で医師、獣医師、歯科医師、薬剤師に対して存在するという。「職業裁判所は、個々の職能階級の懲戒裁判所で、それを純潔に保ち、職業の品位と相容れず、また職業身分の名声を害する行為を罰するためのものである。処罰は通常、戒告、罰金、さらには職業身分からの排除である」(岡嶋氏)。
職業裁判所は「参審制」で、専門職としての裁判官のほか、各分野に詳しい民間人(医師職業裁判所の場合は、医師)を「名誉裁判官」として任命する。「二審制」を取り、一審は、裁判官3人(専門職裁判官1人、医師の名誉職裁判官2人)、二審は裁判官5人(専門職裁判官3人、医師の名誉職裁判官2人)で審議する。
職業裁判所で審判する対象は医療事故から倫理的まで
「医師職業裁判所」の処分の対象は、医療過誤から倫理的な問題まで幅広い。岡嶋氏は例えば、以下のような事例があると紹介した。
判例1:期限切れの薬の問題(1999年)
ある医師が、救急箱に期限切れの薬を入れていた。診察室にも、期限切れの薬を多量に残しており、またさびた器具を使っていた。その医師は「良心的な職業従事」の義務に違反したと判断され、1500マルクの罰金を科せられた。
判例2:医療過誤(1985年)
サッカー後の膝の挫創で穿刺、敗血症を引き起こして死亡。
民事裁判:医療過誤があったと判断し、損害賠償を認めた。
医師職業裁判:一審では無罪の判決が下されたが、州医師会が控訴したため、戒告と罰金が科せられた。
なお、ドイツでも、医療過誤でも、基本的な能力に欠陥があれば、刑事処分の対象となるという。ただし、失敗程度であれば処分されることはないとされる。また民事処分については、裁判外紛争処理の仕組みである「Arbitration」があり、ここでまず損害賠償の対象になるか否かが検討される。この判断に不満の場合に、次の手段として民事裁判に訴える手順になっている。
まずは諸外国の現状調査が必要
日本では、日本医師会が「医師の職業倫理指針」を定めている。しかし、ドイツの「医師職業規則」と異なり、すべての医師に対して拘束力を持つものではない。
「ドイツをはじめ、すべての医師に対して拘束力を持つ医師職業規則を持っている国は多い。また日本でも弁護士は、弁護士法で自律規範を有し、戒告から除名に至るまでの処分を行っているが、医師にはこのような自律規範、自浄能力を持たない。あたかも医師会が怠慢であるかのような印象を残して議論は壁に突き当たっているのではないか。これは真面目に医療に取り組む医師にとって迷惑な誤解である」と岡嶋氏は指摘。
その上で、岡嶋氏は、「日本でも、医師の自律的処分を行うには、法的なよりどころが必要になる。医師集団の責任者は、法律制定を立法者に求めるべき。そのためにまずは、諸外国の制度を詳しく調べて検討することが必要だろう」と締めくくった。
なお、岡嶋氏は自身のホームページに、各種資料を掲載している。
確認が取れてませんが、弁護士会のように医師会は戦前においては法的根拠を与えられ強制入会=処分権限も持った組織であったものの、戦後はGHQの命令で任意組織へと変更になった、と耳にしたことがあります。
投稿情報: お弟子 | 2008年7 月13日 (日) 16:33
学者だね~
投稿情報: nyamaju | 2008年7 月13日 (日) 18:12