(関連目次)→医療事故安全調査委員会
(投稿:by 僻地の産科医)
2008年6月13日発表
○ この「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」は、本年4月に公表した「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案」(第三次試案)の内容を踏まえ、法律案の大綱化をした場合の現段階におけるイメージである。具体的な規定の方法については更に検討を要する。
○ また、別添は、第三次試案の内容について、法律で対応する事項(本大綱案に規定)、政省令で対応する事項、委員会が定める実施要領・規則で対応する事項等にそれぞれ区分して明記したものである。
○ 本制度の実施に当たっては、行財政改革等の観点から組織面、財政面の検討を加えた上で法整備を行う必要がある。
○ 医療死亡事故の原因究明と再発防止を図る仕組みについて、今後とも広く国民的な議論を望むものである。
医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案
Ⅰ 総則
第1 目的
医療安全調査委員会設置法案(仮称。以下「法案」という。)は、医療事故死等の原因を究明するための調査を適確に行わせるため医療安全調査地方委員会を、医療の安全の確保のため講ずべき措置について勧告等を行わせるため医療安全調査中央委員会を設置し、もって医療事故の防止に資することを目的とする。
第2 定義
1 この法案において「医療事故死等」とは、第32の(2)の1の医療事故死等をいう。
2 この法案において「医療事故死亡者等」とは、医療事故死等に係る当該死亡した者又は死産児をいう。
Ⅱ 設置及び所掌事務並びに組織等
第3 設置
1 ○○省に、医療安全調査中央委員会(以下「中央委員会」という。)を置く。
2 地方○○局に、医療安全調査地方委員会(以下「地方委員会」という。)を置く。
注)組織形態については、行財政改革、地方分権改革の検討状況を踏まえ、関係省庁と調整中。
第4 所掌事務
1 中央委員会は、次の事務をつかさどる。
① 医療事故死等の原因を究明するための調査(以下「医療事故調査」という。)の実施要領(第12の2において「実施要領」という。)を定めること。
② 第22の1の報告書の分析及び評価を行った結果に基づき、医療の安全の確保のため講ずべき措置について○○大臣に対し勧告すること。
③ 医療の安全の確保のため講ずべき措置について○○大臣又は関係行政機関の長に対し意見を述べること。
④ 第32の(4)の2によりその権限に属させられた事項を処理すること。
⑤ 所掌事務を行うため必要な調査及び研究を行うこと。
⑥ 所掌事務に関して得られた知識であって、医療の安全の確保に資するものの普及及び啓発に関すること。
⑦ 所掌事務に付随する事務
2 地方委員会は、次の事務をつかさどる。
① 医療事故調査を行うこと。
② 所掌事務を行うため必要な調査及び研究を行うこと。
③ 所掌事務に付随する事務
第5 職権の行使
中央委員会及び地方委員会の委員は、独立してその職権を行う。
第6 組織
1 中央委員会及び地方委員会は、それぞれ、委員○人以内で組織する。
2 中央委員会及び地方委員会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
3 中央委員会及び地方委員会に、専門の事項を調査審議させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。
注)調査チームは、臨時委員、専門委員を中心に構成され、事例毎に置かれる。
第7 委員等の任命
1 委員は、その属すべき中央委員会又は地方委員会の所掌事務の遂行につき公正な判断をすることができ、かつ、医療、法律その他その属すべき中央委員会又は地方委員会が行う事務に関し優れた識見を有する者及び医療を受ける立場にある者のうちから、○○大臣が任命する。
2 臨時委員は、中央委員会又は地方委員会の所掌事務の遂行につき公正な判断をすることができ、かつ、当該特別の事項に関し学識経験を有する者のうちから、○○大臣が任命する。
3 専門委員は、中央委員会又は地方委員会の所掌事務の遂行につき公正な判断をすることができ、かつ、当該専門の事項に関し学識経験を有する者のうちから、○○大臣が任命する。
第8 委員の任期等
1 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 臨時委員は、その者の任命に係る当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
4 専門委員は、その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
5 委員、臨時委員及び専門委員は、非常勤とする。ただし、地方委員会の委員のうち△人以内は、常勤とすることができる。
第9 委員長
1 中央委員会及び地方委員会に、それぞれ、委員長を置き、委員の互選により選任する。
2 委員長は、会務を総理し、それぞれ、中央委員会又は地方委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
第10 議事
1 中央委員会及び地方委員会は、それぞれ、委員長が招集する。
2 中央委員会及び地方委員会は、委員及び議事に関係のある臨時委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決することができない。
3 中央委員会及び地方委員会の議事は、委員及び議事に関係のある臨時委員で会議に出席したものの過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
第11 事務局
1 中央委員会及び地方委員会の事務を処理させるため、中央委員会及び地方委員会に、それぞれ、事務局を置く。
2 事務局の内部組織は、○○省令で定める。
Ⅲ 医療事故調査及び勧告等
第12 医療事故調査の趣旨及び実施要領
1 医療事故調査は、医療事故死等に関する事実を認定し、これについて必要な分析を行い、当該医療事故死等の原因を究明し、もって医療事故の防止を図ることを旨として行われるものとする。委員会は、医療関係者の責任追及が目的ではなく、医療関係者の責任については、委員会の専門的判断を尊重する仕組みとする。
2 第12~第22のほか、医療事故調査は、実施要領に基づいて行うものとする。
第13 委員等の職務従事の制限
1 地方委員会は、委員、臨時委員又は専門委員が医療事故死等の原因に関係があるおそれのある者であると認めるとき又は医療事故死等の原因に関係があるおそれのある者と密接な関係を有すると認めるときは、当該委員、臨時委員又は専門委員を当該医療事故調査に従事させてはならない。
2 1の委員、臨時委員又は専門委員は、当該医療事故調査に関する地方委員会の会議に出席することができない。
注)中央委員会の委員の職務従事の制限については、更に検討する。
第14 地方委員会への通知
○○大臣は、第32の(2)又は(3)により医療事故死等について届出があったときは、直ちに当該医療事故死等を届け出た管理者の管理する病院、診療所又は助産所の所在地を管轄する地方○○局に置かれた地方委員会にその旨を通知しなければならない。
第15 遺族からの医療事故調査の求め等
1 医療に係る事故に起因して死亡又は死産したと疑う当該死亡した者又は死産児の遺族は、○○大臣に対し、地方委員会に医療事故調査を行わせることを求めることができる。
2 ○○大臣は、遺族から1の求めがあったときは、直ちに当該求めに係る死亡又は死産が発生した地を管轄する地方○○局に置かれた地方委員会にその旨を通知しなければならない。
注)遺族からの調査の求めの手続は、病院等の管理者が代行することができる。
(施行規則)
第16 医療事故調査の開始
1 地方委員会は、第14の通知を受けたときは、当該通知に係る医療事故死等について、直ちに医療事故調査を開始しなければならない。
2 地方委員会は、第15の2の通知に係る死亡又は死産について、医療事故死等でないと認められるとき、同一の死亡又は死産について第22の1の報告書が作成されているときその他の場合を除いて、直ちに医療事故調査を開始しなければならない。
3 地方委員会は、第15の2の通知に係る死亡又は死産について調査を開始しない場合には、直ちにその旨及び理由を遺族に通知しなければならない。
第17 医療事故調査に係る報告の徴収等
1 地方委員会は、医療事故調査を行うため必要があると認めるときは、次の処分をすることができる。
① 医師、歯科医師、薬剤師、助産師、看護師その他の医療事故死等について医療を提供した者その他の関係者(以下②及び③並びに3において「関係者」という。)に報告を求めること。
② 医療事故死等が発生した病院、診療所、助産所その他の必要と認める場所に立ち入って、構造設備若しくは医薬品、診療録、助産録、帳簿書類その他の医療事故死等に関係のある物件(以下「関係物件」という。)を検査し、又は関係者に質問すること。
③ 関係者に出頭を求めて質問すること。
④ 関係物件の所有者、所持者若しくは保管者に対し当該関係物件の提出を求め、又は提出された関係物件を留め置くこと。
⑤ 関係物件の所有者、所持者若しくは保管者に対し当該関係物件の保全を命じ、又はその移動を禁止すること。
⑥ 医療事故死等の現場に、公務により立ち入る者及び地方委員会が支障がないと認める者以外の者が立ち入ることを禁止すること。
2 地方委員会は、必要があると認めるときは、委員、臨時委員、専門委員又は事務局の職員に1の①~⑥の処分をさせることができる。
3 2により1の②の処分をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 1又は2の処分の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第18 死体の解剖及び保存
1 地方委員会は、医療事故調査を行うため必要があると認めるときは、医療事故死亡者等の死体又は死胎を、原則として遺族の承諾を得て解剖することができる。
2 1の解剖は、刑事訴訟法による検証又は鑑定のための解剖を妨げるものではない。
3 1により医療事故死亡者等の死体又は死胎を解剖する場合においては、死体解剖保存法第19条にかかわらず、原則として遺族の承諾を得て、その死体又は死胎の一部を標本として保存することができる。
第19 医療事故調査等の委託
1 地方委員会は、医療事故調査を行うため必要があると認めるときは、調査又は研究の実施に関する事務の一部を、独立行政法人、国立大学法人、地方独立行政法人その他の民間の団体又は学識経験を有する者に委託することができる。
2 1により事務の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、当該委託事務に関して知り得た秘密を漏らしてはなら
ない。
3 1により事務の委託を受けた者又はその役員若しくは職員であって当該委託事務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第20 関係行政機関等の協力
地方委員会は、医療事故調査を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長その他の関係者に対し、資料又は情報の提供その他の必要な協力を求めることができる。
第21 意見の聴取
地方委員会は、医療事故調査を終える前に、当該医療事故死等の原因に関係があると認められる者及び当該医療事故死亡者等の遺族に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第22 報告書等
1 地方委員会は、医療事故調査を終えたときは、当該医療事故死亡者等に関する次の事項を記載した報告書を作成し、これを○○大臣及び中央委員会に提出するとともに、当該医療事故死等について○○大臣に届け出た病院、診療所又は助産所の管理者及び当該医療事故死亡者等の遺族に交付し、かつ、公表しなければならない。
① 医療事故調査の経過
② 臨床の経過
③ 死体又は死胎の解剖の結果
④ 死亡又は死産の原因
⑤ 臨床の経過の医学的な分析及び評価
⑥ その他必要な事項
2 1の報告書には、少数意見を付記するものとする。
3 第21により聴取した病院、診療所又は助産所の管理者又は遺族の意見が1の報告書の内容と相違する場合には、当該報告書には、当該意見の概要を添付するものとする。
4 地方委員会は、医療事故調査を終える前においても、医療事故調査を開始した日から6月以内に医療事故調査を終えることが困難であると見込まれることその他の事由により必要があると認めるときは、医療事故調査の経過について、○○大臣及び中央委員会に報告するとともに、当該医療事故死等について○○大臣に届け出た病院、診療所又は助産所の管理者及び当該医療事故死亡者等の遺族に通知し、かつ、公表するものとする。
第23 勧告
1 中央委員会は、地方委員会から第22の1の報告書の提出を受けた場合において、当該報告書の内容の分析及び評価を行った結果に基づき、必要があると認めるときは、医療の安全を確保するため講ずべき措置について○○大臣に勧告することができる。
2 ○○大臣は、1の勧告に基づき講じた措置について中央委員会に報告しなければならない。
第24 意見の陳述
中央委員会は、必要があると認めるときは、医療の安全を確保するため講ずべき措置について○○大臣又は関係行政機関の長に意見を述べることができる。
Ⅳ 雑則
第25 警察への通知
第14又は第15の2の通知を受けた地方委員会は、当該医療事故死等について、次の場合に該当すると思料するときは、直ちに当該医療事故死等が発生した病院、診療所又は助産所の所在地を管轄する警視総監又は道府県警察本部長にその旨を通知しなければならない。
① 故意による死亡又は死産の疑いがある場合
② 標準的な医療から著しく逸脱した医療に起因する死亡又は死産の疑いがある場合
注)②に該当するか否かについては、病院、診療所等の規模や設備、地理的環境、医師等の専門性の程度、緊急性の有無、医療機関全体の安全管理体制の適否(システムエラー)の観点等を勘案して、医療の専門家を中心とした地方委員会が個別具体的に判断することとする。
③ 当該医療事故死等に係る事実を隠ぺいする目的で関係物件を隠滅し、偽造し、又は変造した疑いがある場合、類似の医療事故を過失により繰り返し発生させた疑いがある場合その他これに準ずべき重大な非行の疑いがある場合
注)「類似の医療事故を過失により繰り返し発生させた」とは、いわゆるリピーター医師のことであり、例えば、過失による医療事故死等を繰り返し発生させた場合をいう。
第26 権限の委任
この法案の○○大臣の権限は、地方○○局長に委任することができる。
第27 政令への委任
この法案に定めるもののほか、中央委員会又は地方委員会に関し必要な事項は、政令で定める。
第28 不利益取扱いの禁止
何人も、第17の1又は2の処分に応ずる行為をしたことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いを受けない。
Ⅴ 罰則
第29
第19の2に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第30
次の①~⑤のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
① 第17の1の①又は第17の2の報告の求めに対し虚偽の報告をした者
② 第17の1の②又は第17の2の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は第
17の1の②又は第17の2の質問に対し虚偽の陳述をした者
③ 第17の1の③又は第17の2の質問に対し虚偽の陳述をした者
④ 第17の1の④又は第17の2の処分に違反して関係物件を提出しない者
⑤ 第17の1の⑤又は第17の2の処分に違反して関係物件を保全せず、又は移
動した者
第31
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第30の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して第30の罰金刑を科する。
Ⅵ 関係法律の改正
第32 医療法の一部改正
(1)病院等の管理者の医療事故に関する説明義務
病院、診療所又は助産所の管理者は、医療事故が発生したときは、その経過及び原因について患者又はその家族への適切な説明が行われるようにしなければならない。
(2)病院等の管理者の医療事故死等に関する届出義務等
1 病院若しくは診療所に勤務する医師が死体若しくは妊娠4月以上の死産児を検案し、又は病院若しくは診療所に勤務する歯科医師が死亡について診断して、(4)の1の基準に照らして、次の死亡又は死産(以下「医療事故死等」という。)に該当すると認めたときは、その旨を当該病院又は診療所の管理者に報告しなければならない。
① 行った医療の内容に誤りがあるものに起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産
② 行った医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、その死亡又は死産を予期しなかったもの
2 病院、診療所又は助産所に勤務する助産師は、妊娠4月以上の死産児の検案をして、(4)の1の基準に照らして、医療事故死等に該当すると認めたときは、その旨を当該病院、診療所又は助産所の管理者に報告しなければならない。
3 1又は2の報告は、医療事故死等に該当すると認めたときから24時間以内に行わなければならない。
4 1又は2の報告を受けた病院、診療所又は助産所の管理者は、必要に応じて速やかに診断又は検案をした医師、歯科医師又は助産師その他の関係者と協議し、(4)の1の基準に照らして、医療事故死等と認めたときは、直ちに、○○省令で定める事項を○○大臣に届け出なければならない。
5 病院、診療所又は助産所の管理者は、1又は2の報告を受けた旨、4の協議の経過(協議をしなかったときは、その理由)及び医療事故死等に該当すると認めた理由又は認めなかった理由に関する記録を作成し、当該報告をした日又は協議をした日のいずれか遅い日から起算して5年間、これを保存しなければならない。
(3)病院等に勤務する医師が当該病院等の管理者であるときの医療事故死等に関する届出義務等
1 病院、診療所又は助産所に勤務する医師、歯科医師又は助産師が当該病院、診療所又は助産所の管理者であるときは、(4)の1の基準に照らして、医療事故死等に該当すると認めたときは、24時間以内に、○○省令で定める事項を○○大臣に届け出なければならない。
2 病院、診療所若しくは助産所に勤務する医師、歯科医師若しくは助産師以外の医師、歯科医師若しくは助産師又は公衆若しくは特定多数人のため往診のみによって診療に従事する医師若しくは歯科医師若しくは出張のみによって業務に従事する助産師は、(4)の1の基準に照らして、医療事故死等に該当すると認めたときは、24時間以内に、○○省令で定める事項を○○大臣に届け出なければならない。
3 1又は2の医師、歯科医師又は助産師は、医療事故死等に該当すると認めた理由又は認めなかった理由に関する記録を作成し、届出をした日から起算して5年間、これを保存しなければならない。
注)診療所等の管理者の届出に当たって、管理者からの相談に答えられるよう、医療安全調査委員会における相談体制のみではなく、医師専門職団体等による相談体制の整備についても検討する。
(4)医療事故死等に該当するかどうかの基準
1 ○○大臣は、(2)の1、2及び4並びに(3)の1及び2の報告及び届出を適切にさせるため、医療事故死等に該当するかどうかの基準を定め、これを公表するものとする。
2 ○○大臣は、1の基準を定め、又はこれを改定しようとするときは、医学医術に関する学術団体及び医療安全調査中央委員会の意見を聴かなければならない。
(5)医療事故死等の届出義務違反に対する体制整備命令等
1 ○○大臣は、病院、診療所若しくは助産所に勤務する医師、歯科医師若しくは助産師が(2)の1若しくは2に違反して報告を怠り、若しくは虚偽の報告をしたとき又は病院、診療所若しくは助産所の管理者若しくは病院、診療所若しくは助産所に勤務する医師、歯科医師若しくは助産師以外の医師、歯科医師若しくは助産師若しくは公衆若しくは特定多数人のため往診のみによって診療に従事する医師若しくは歯科医師若しくは出張のみによって業務に従事する助産師が(2)の4若しくは(3)の1若しくは2に違反して届出を怠り、若しくは虚偽の届出をしたとき若しくは(2)の5若しくは(3)の3に違反して記録を作成せず、若しくは保存せず、若しくはこれらに記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をしたときは、直ちに、その届出を行わせ、又は届出の内容を是正させることを命ずるとともに、(2)の1若しくは2の報告、(2)の4若しくは(3)の1若しくは2の届出又は(2)の5若しくは(3)の3の記録を適切にするために必要な体制の整備を命ずることができる。
2 ○○大臣は、1の命令をすべきか否かを調査する必要があると認めるときは、当該事案に関係する者から報告を徴し、(2)の5若しくは(3)の3の記録、診療録、助産録、帳簿書類その他の物件(以下この条において「関係物件」という。)の所有者に対し、当該関係物件の提出を命じ、又は当該職員をして当該病院、診療所、助産所その他の場所に立ち入り、関係物件を検査させることができる。
3 2によって立入検査をする当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。また、2の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 ○○大臣が1又は2の権限を行うときは、当該病院、診療所又は助産所の業務を監督する都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長と密接な連携の下に行うものとする。
(6)病院等におけるシステムエラーに対する改善計画等
都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、病院、診療所又は助産所における医療の安全を確保するための措置の内容が著しく適当でないと認めるときは、当該病院、診療所又は助産所の管理者に対し、措置すべき事項及び期限を示し、当該病院、診療所若しくは助産所における医療の安全を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又は当該病院、診療所若しくは助産所の医療の安全を確保するために必要な措置を採ることを命ずることができる。
(7)○○大臣から都道府県知事等への情報提供
○○大臣は、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長に対し、(6)及び医療法第4章第3節(監督)の事務の適正な遂行に資すると認める第22の1の報告書に関する情報その他必要な情報を提供するものとする。
(8)都道府県知事等から○○大臣への通知
都道府県知事、保健所を設置する市の市長及び特別区の区長は、○○省令の定めるところにより、病院、診療所及び助産所に関し、○○省令で定める事項を○○大臣に通知しなければならない。
注)都道府県知事等は、医療監視等において医療事故死等の届出義務違反を確認したときは、○○大臣に通知しなければならないこととする。
(9)罰則
1 (5)の1又は(6)の命令又は処分に違反した者は、これを6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 (2)の5に違反した者及び(5)の2の報告若しくは提出を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は当該職員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを20万円以下の罰金に処する。
第33 医師法第21条の改正
第21条医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に、その旨を検案をした地の所轄警察署長に届け出なければならない。ただし、当該死体又は死産児について第32の(2)の1の報告又は第32の(3)の1若しくは2の届出を24時間以内にしたときは、この限りでない。
注) 現行の医師法第21条
第21条医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。
第34 保健師助産師看護師法第41条の改正
第41条助産師は、妊娠4月以上の死産児を検案して異常があると認めたときは、24時間以内に、その旨を検案をした地の所轄警察署長に届け出なければならない。ただし、当該死産児について第32の(2)の2の報告又は第32の(3)の1若しくは2の届出を24時間以内にしたときは、この限りでない。
注) 現行の保健師助産師看護師法第41条
第41条助産師は、妊娠4月以上の死産児を検案して異常があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署にその旨を届け出なければならない。
第35 介護保険法の改正
介護老人保健施設について第32を準用する。
Ⅶ 施行期日等
第36 施行期日
この法案は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の①及び②は、それぞれに定める日から施行する。
① 第38 公布の日
② Ⅰ、Ⅱ(中央委員会に係る部分に限る。)、第27 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日
第37 検討
政府は、この法案の施行後5年を目途として、この法案の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
第38 準備行為
○○大臣は、中央委員会及び地方委員会がこの法案の施行の時において業務を円滑に開始するため、この法案の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、医療事故調査の試行的な実施その他の必要な準備行為をすることができる。
第39 遺族からの医療事故調査の求め等に関する経過措置
第15の1並びに第32の(2)及び(3)は、施行日以後の死亡又は死産から適用する。
コメント