(関連目次)→女性産科医の労働条件 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
東洋経済オンラインの記事なんですけれど、
ふむふむそうだよな~とおもいながら読みました。
昨日はこどもの日で、こんな記事もありましたねo(^-^)o ..。*♡
子ども人口比“世界最低”13% 1725万人
医師の一分 2008/05/05
http://kurie.at.webry.info/200805/article_10.html
「女医対策」っていつもみんなが言うようになって来ましたけれど
やっぱり日本社会のありようすべての問題だ
といつもおもうんです(>▽<)!!
「仕事と育児の両立阻む日本経済の病巣とは」
リチャード・カッツ
東洋経済オンライン 2008年4月10日
(1)http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/fb2cfc985a2a6f1c0179cddf46a198b7/
(2)http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/fb2cfc985a2a6f1c0179cddf46a198b7/page/2/
働く女性を増やすと同時に出生率を高める――。この一見不可能と思える政策を、日本は本当に実現できるのだろうか。安倍内閣は、可能だと主張している。いや、消費税を据え置きか、若干の引き上げだけで2011年までに財政のプライマリーバランスを達成するには、この目標の達成が不可欠なのである。
05~15年の間に15歳から64歳の労働力人口は毎年9%ずつ減っていくと予想されている。労働力の減少を補うために、もっと多くの女性と高齢者が労働力として加わる必要がある。労働力が増えないと、経済成長も税収増も期待できない。04年度の社会保障計画は高い出生率が前提となっている。出生率を高くしないと、増加する年金受給者を支えるだけの労働者が不足するからだ。もっとも、04年度の計画は、先日発表された人口動態予想によって早々と役に立たないものになってしまった。この計画は、特殊出生率は05年に1・31で底を打ち、20年までに1・39にまで回復するという前提に基づいて策定された。しかし、新たな調査では、05年の特殊出生率は1・26と低下、さらに20年までに1・22まで低下すると予想されている。年金制度を維持するためには、遠からず年金の給付削減、あるいは保険料と税金の引き上げを行わなければなくなるだろう。
問題は、現在のような状況の下で、はたしていま以上に多くの女性が仕事に就き、さらに多くの子供を産むようになるかである。ただし、その両方を同時に実現することは不可能だ。以前よりも労働参加率が高くなっている年齢層は、25~34歳である。1980年にはこの世代の女性の49%が職に就いていたが、現在は68%に上昇した。しかし、その反面、女性の結婚年齢が遅くなり、出産する子供の数も減ってしまった。世論調査では大半の女性が育児と仕事の両立を望んでいるのに、3歳以下の子供を持っている女性の80%は専業主婦になっている。
育児が一段落した後で、女性が仕事を再開したいと思っても、給与水準が低い職かパートの仕事くらいしかない。それ以前の問題として、そもそも労働条件が女性にとって魅力的とはいえない。日本の男性と女性の賃金格差は先進国の中で最大である。86年に国会は雇用における性差別を違法とした。だが、企業は法律の抜け穴を発見したため、成果は必ずしも上がっていない。つまり、正規雇用の男女の賃金格差は縮小に向かっているものの、多くの企業では女性の正規雇用に消極的なのだ。女性の40%は正規の従業員よりも安い賃金で、週34時間未満しか働いていないのが実情だ。
子育て無策で女性支持率が低下し始めた安倍首相
女性の労働参加を阻害している要因がもう一つある。それは、教育水準とキャリアにおけるギャップの拡大である。50年代には女性の50%以下が高卒で、大卒はわずか2%にすぎなかった。現在、18歳の女性の3分の1が大学に進学している。こうした女性はやりがいのある仕事に就きたがっている。しかし、彼女たちにとって結婚は希望の終わりを意味している。男性は職場で過ごす時間が長い。30歳から39歳の男性の週平均労働時間は50時間である。うち半分は週60時間以上も働いている。このため、多くの場合、育児を妻に任せきっている。また女性は年老いた親の面倒をみる責任も負わされている。
川本裕子早稲田大学大学院教授によれば、日本政府による育児支援政策はOECD加盟国の中で最低である。仕事を持っている女性が子育てできるような政策をとれば、効果はあるかもしれない。考えられる政策には、育児休暇、育児手当、保育施設の拡充、高齢者のケアがある。しかし、日本政府の主な目的が歳出削減にあり、企業が雇用コストを削減しているときに、そうした政策が講じられるとは思えない。
安倍内閣は必要な政策について議論するどころか、むしろ、“被害者を責めている”ように見える。柳沢伯夫厚生労働相は女性を“子供を産む機械”であると言い、安倍首相も子供を産むことは“すばらしい仕事”であると言っている。しかし、女性の出産と仕事に対する選択は、自分がしたいことを選んでいるのではない。環境に強いられて、やむなく選んでいるのだ。アメリカの政治学者レオナード・ショッパは、世論調査で日本の既婚女性は子供2人を産みたがっていると答えているが、実際にそれは不可能であると指摘している。
日本の女性で“結婚生活に満足している”のはわずか46%にすぎないという。これはイギリスやアメリカ、スウェーデンよりも約20ポイントも低い数字である。安倍政権の発足当初は男性よりも女性の間で人気が高かった。しかし、今や支持率は男女のいずれでも低下している。女性が仕事と育児を両立できるような条件をつくりださないと、安倍首相は財政目標の達成よりももっと差し迫った問題に直面するかもしれない。すなわち、7月の参議院選挙後も政権の座にとどまるのは難しくなるということだ。
リチャード・カッツ
The Oriental Economist Report 編集長。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ等にも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語で[email protected]まで
コメント