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(投稿:by 僻地の産科医)
産科代表が厚労省大臣とお話ときけば、黙っていられません(笑)。
というわけで集めてみました。
私はロハス・メディカルブログがいちばん好きで、
なんでかっていうと、
違和感があれば「違和感がある」といってくれるから。
ブログである気安さ、個人だから。
というところもあるのかもしれませんね。
ではどうぞo(^-^)o ..。*♡
ロハス・メディカルブログ
ビジョン会議3(1) 2008年02月26日
http://lohasmedical.jp/blog/2008/02/post_1091.php
安心と希望のビジョン会議3(?) 2008年02月27日
http://lohasmedical.jp/blog/2008/02/post_1092.php
安心と希望のビジョン会議3(2) 2008年03月08日
http://lohasmedical.jp/blog/2008/03/post_1105.php
次はM3から!
舛添会議◆Vol.3
患者教育・啓発が医療危機の解決策
癌の放射線治療、産科、小児科
救急医療の現状をヒアリング
橋本佳子(m3.com編集長)2008年02月26日
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080226_1.html
舛添要一・厚生労働大臣はこの日は欠席で、西川京子・厚生労働副大臣と松浪健太・厚生労働政務官の二人が出席。
「安心と希望の医療確保ビジョン」の第4回会議が2月25日開催され、癌の放射線治療、産科、小児科、救急医療の4分野の代表者が、それぞれの現状について説明した(現場視察として「第3回」を開催しているので、この日の会議は第4回)。
各者の発言で共通していたのは、
(1)医師不足の一方、患者ニーズの増大などで労働環境は厳しい
(2)医療訴訟や「クレーマー患者」により萎縮医療を招いたり、モチベーション低下の要因になっている
(3)これらの問題解決のためには、患者・国民の教育や啓発が必要である
――という点だ。この日のヒアリング対象を考えれば予想された発言だが、(3)の解決策として「医師数の増加」以上に、患者教育・啓発が強調された点が興味深かった。
この日は、「各分野のヒアリング」が議題。演者として招かれたのは、以下の4人だ(発言順)。
中川啓一・東大病院放射線科准教授、緩和ケア診療部長
桑江千鶴子・都立府中病院産婦人科部長
花田直樹・花田こどもクリニック(愛知県岡山市)院長
山本保博・日本医学大学救急医学主任教授
夜間の1次救急体制の整備が新たな需要を生む
前述の(1)から(3)を象徴するのが、岡崎市の小児医療の事例だ。中核となる岡崎市民病院は、人口34万人の医療圏で唯一の3次救急医療を担う病院だが、軽症患者が年々増加し、本来の3次救急医療に支障が出てきた。そこで、開業医が中心となり、以下のように1次救急医療の受け入れ体制の整備を始めた。
2003年7月: 「小児救急医療体制整備に係る意見交換会」を開催
(保健所・岡崎市民病院・岡崎市医師会が参加)
2004年6月1日: 岡崎市医師会公衆衛生センター夜間急病診療所に、午後8~11時の時間帯に小児科医(開業医14人と愛知県下3大学の小児科からの派遣医師で担当)を365日体制で配置。
2004年7月: 岡崎市小児救急医療対策協議会を設置
その結果、夜間急病診療所の小児科受診者数は、2003年度に年間3742人だったが、その後は7000人前後にまで急増した。
一方、岡崎市民病院の救急外来における、夜間急病診療所の診察時間(午後8~11時)の小児科受診者数は、2003年度は1979人だったが、その後は1555人まで減少した。一定の成果を上げたものの、十分ではない。夜間急病診療所の小児科受診者数は3000人強増えたが、市民病院の受診者は500人程度しか減っていないからだ。「夜間急病診療所での小児科医による診療実施が、“患者の掘り起こし”につながった」(花田氏)。
そこで2004年7月に対策協議会を設置、市民への啓発を始めた。「子どもの急病!」というガイドブックの発行、「おかざき小児救急フォーラム」の開催、岡崎市広報番組特集「小児救急を考える」の放映、「出前講座」(保育園や幼稚園、子育てサークルなどに出向き、ガイドブックのPRやかかりつけを持つことの重要性を説く)などを現在行っている。「出前講座」の実施回数は、直近までで計41回に上った。こうした取り組みにより、軽症患者の受診は徐々に減っているという。花田氏は、「全国的に見れば、小学生まで、地域によっては中学生まで医療費の自己負担を無料化する動きがある。無料化すれば、安易な受診を招く。小児医療のインフラが整っていない状態で、こうした無料化を進めるのは問題」と話し、自己負担無料化を見直す必要性も指摘した。
年間50回以上も救急車を呼ぶ“リピーター”も
患者の教育・啓発が必要なのは、他の分野でも共通している。救急医療では、全国で年間520万件強の救急車の出動があるが、実際に患者を搬送するのは470万~480万件にとどまる。この差は、救急車を呼んでも取りやめたり、いたずらなどによるという。「その上、年間50回以上も救急車を呼ぶ“リピーター”が、10%程度を占める。その中には、独居の高齢者で寂しさから呼ぶケースも多い」と山本氏は述べた。
また中川氏は、がん登録制度や検診を推進する観点から、教育・啓発の重要性を指摘した。「日本は3人に1人が癌に罹患する。科学的な対策を講じるためにはがん登録制度の充実が必要。また例えば、子宮頸癌の場合、死亡率は年々減っているが、進行期別の5年生存率は変化していない。早期発見率が高まったことが全体の死亡率が低下した一番の要因」(中川氏)。
独立行政法人国立病院機構理事長の矢崎義雄氏は、「医療は公共財。限りある資源をどう使うかは、政策と国民のコンセンサスの両方で決めていく必要がある」と指摘した。こうした発言を受けて、厚生労働副大臣の西川京子氏は、「国民と医療者が一緒に向き合って、どういう医療体制を作っていくかを議論していくことが必要」と締めくくった。ミクロ的には、個々人の受診行動に対する啓発が必要であると同時に、マクロ的にはどの程度財源を投入し、いかなる医療提供体制を作るかというコンセンサスを得ることが求められている。
こちらはキャリアブレインですo(^-^)o ..。*♡
勤務医の疲弊、患者にも原因
キャリアブレイン 2008年2月27日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/14724.html
「雨が降ったからという理由で救急車を呼ばないでほしい」「患者の暴言で仕事への誇りがズタズタにされる」――。厚生労働省の審議会で、産科・小児科・救急の医師が共通して挙げたのは勤務医の疲弊で、その原因の1つに「クレーマー患者」や「暴力患者」などの存在を挙げた。西川京子厚生労働副大臣は「医療の分野では国民の意識が育っていない。すべて受け入れる側が悪いというのではなく、一緒に医療を構築するという方向性を持たないと不毛の議論になっていく」と感想を述べた。厚労省は2月25日、「安心と希望の医療確保ビジョン」会議を開き、産科・小児科・救急の現場で先進的な取り組みをしている医師から意見を聴いた。この会議は、長期的な視点に立って日本の医療の問題点を考えようと、舛添要一厚生労働大臣が中心となって1月7日に設置された。
4回目を迎えたこの日のテーマは、医師不足が深刻な産科・小児科・救急医療などの現状把握。各分野の医師が現在の問題点や今後の課題などについて意見を述べた。
東京都立府中病院・産婦人科部長の桑江千鶴子氏(東京医科歯科大産婦人科臨床教授)は「産婦人科臨床現場の3つの問題」として、
(1)劣悪な労働環境と待遇
(2)医療事故と訴訟への恐怖
(3)医療者への暴言・暴力(モンスターペイシャント)の存在
――を挙げた。
桑江氏は「大野病院事件で産婦人科の医師が逮捕されて以来、ビクビクする状況で萎縮医療になっている」と述べ、過酷な労働環境に追い討ちをかける訴訟リスクや患者の暴力などが医師のモチベーションを下げていると指摘した。
「優しい気持ちでなんとかしてあげたいと思っても仕事に対する誇りをズタズタにされ、若い医師は疲弊している」
桑江氏はこのように述べ、早急に解決することが難しい大きな問題であるとした。
続いて、愛知県岡崎市の花田こどもクリニック院長の花田直樹氏は「現在の小児医療の問題点」として、
(1)不当な報酬の低さとフリーアクセスによる患者数の多さ
(2)小児科勤務医の減少
(3)乳幼児医療無料化に伴う救急外来のコンビニ化
(4)訴訟リスクとクレーマーの存在――を挙げた。
花田氏は「コンビニ感覚で救急車が利用されるが、コンビニ診療さえ難しい状況だ。しかし、司法判断は救急外来にも最高級の医療レベルを要求している。無理して対応しても刑事事件の対象になり得ることを医師は学習している」と述べ、産婦人科の医師が逮捕された福島県立大野病院事件の影響で入局する医師が減少し、現場では「無理に救急を受け入れない」という萎縮医療が生じているとした。
花田氏はまた、医師らに言いがかりを付ける「クレーマー患者」の存在が萎縮医療に拍車を掛けているとした。
「過熱する医療事故の報道で、不信に満ちた攻撃的な言動が目立ち、現場のやる気をさらに萎えさせている。今までは医師の使命感でカバーしてきたが、現状では医療安全上も自分の健康上も無理がある」
■ 救急患者の増加と国民の意識
疲弊した勤務医をさらに追い詰める「クレーマー患者」と訴訟リスク。その背景には救急患者の増加がある。
日本医科大学付属病院・高度救命救急センター部長の山本保博氏は、救急患者が増えている一方で救急医療機関が減少していることを指摘。「救急医療の現状、課題」として、
(1)救急医療施設の負担の増大(救急患者の増加など)
(2)資源の圧倒的な不足(救急医不足など)
(3)救急医の士気の低下
――を挙げた。
山本氏は救急車の出動件数(2005年)のうち搬送されていない約9%について、「救急車が到着しても現場に患者がいない」と指摘。その主な理由として、▽119番した後の辞退、▽いたずら、▽酔っぱらい――を挙げた。その上で、119番通報した患者を重症度や緊急度などによって分類する「トリアージ」の必要性に触れた。
「アンダートリアージ(過小評価)をどう考えるかという問題がある。『ちょっと胸がつかえる感じがする』という患者のうち1万人に1人ぐらいは心筋梗塞の場合がある。このような患者を自宅に戻してしまった場合の問題がある。しかし、これからはトリアージをしていかなければ、“たらい回し”はどんどん増える」
この日、舛添厚労相が欠席したため、西川京子副大臣が次のように感想を述べた。
「安全で安心な食物にコストがかかるという意識は国民の間に育ってきたが、医療の分野では国民の意識が育っていない。今日はマスコミの方もいるようだが、すべて受け入れる側が悪いという指摘の仕方ではなく、一緒に医療を構築するという方向性を持たないと不毛の議論になっていく。今、これを厚生労働省が一番先にやっていかなければならない」
産科補償制度、「助かるのは一部」
キャリアブレイン 2008年2月28日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/14750.html
「この制度ができても産科医療は楽にならないだろう」――。厚生労働省が2008年度中に新設する「産科医療の無過失補償制度」に産科医が疑問を唱えた。医療事故で子どもを亡くした遺族らが「補償される範囲が狭すぎる」と批判しているだけでなく、現場の医師も「この制度で助かるのは、ほんの一部だろう」と指摘している。患者と産科医の双方にとって望ましい制度になるまで、道のりはまだ遠いようだ。
【関連記事】 産科の補償制度、骨格まとまる
産科医療の無過失補償制度は、出産時の医療事故で子どもが脳性麻痺(まひ)になった場合、医師らの過失を裁判で立証しなくても補償される制度で、産科の訴訟リスクを減らして産科医不足の解消につなげるのが狙い。しかし、現在の仕組みのままでは医事紛争の減少や産科医不足の解消に有効ではないという声が少なくない。 日本の医療を長期的な視点で話し合う厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン」会議(2月25日開催)で、国立病院機構理事長の矢崎義雄氏が産科医に質問した。
「現在、産科医療の負担を減らす制度が検討されているが、実際に負担が減ると感じているか。この制度が(産科医不足の解消に)有効で、産科医療が活性化されるだろうか」
これに対して、東京都立府中病院・産婦人科部長の桑江千鶴子氏は、
▽補償金額が低いこと
▽補償される範囲が限定されていること――を理由に否定した。
「この制度に向けて多くの先生方が努力していることは承知しているので大変申し上げにくいが、『この制度ができても産科医療は楽にならないだろう』というのが現場の感覚だ。補償額が2,500万円から3,000万円程度と聞いているが、この金額でどれだけ救済できるのか難しい」
桑江氏はこのように述べ、約1億6,000万円の賠償金の支払いを命じた判決があることを指摘した。また、補償の範囲が出生体重や在胎週数などで限定されていることを問題視した。
「医療事故による脳性麻痺の発生率は低い。本当に深刻な脳性麻痺は、事故もなく正常に産まれたが3か月たっても首がすわらないようなケースで、これが救済の対象にならないのが心配。超早産も蚊帳の外に置かれる。この制度で助かるのは、ほんの一部だろう」
■ 厚労省の関連組織が運営
産科医療の無過失補償制度は、自民党の政務調査会が06年11月29日にまとめた枠組みに基づき、厚労省が財団法人・日本医療機能評価機構(坪井栄孝理事長)に委託して検討を進め、今年1月に最終的な報告書がまとまった。
報告書によると、補償の対象は出産時の医療事故で何らかの障がいが残ったすべての乳幼児ではなく脳性麻痺児に限定されている。しかも、「出生時2,000グラム以上で、かつ在胎週数33週以上で脳性麻痺となった場合」のうち、重症度が「身体障害者等級の1級および2級」となっている。さらに、先天性の脳性麻痺などは医療事故ではないため補償されない。
このため、制度創設に向けて昨年2月から12回にわたって開かれた「産科医療補償制度運営準備委員会」では、陣痛促進剤の事故で長女を亡くした委員が補償の範囲などに繰り返し反対していた。
しかし、補償金の財源不足などを理由に「まず制度をつくるべき」「走りながら考えればいい」との意見も多く、やや強引な取りまとめをしたという経緯がある。
委員会のメンバーは21人で、委員長に近藤純五郎氏(近藤社会保障法律事務所)、委員長代理を河北博文氏(日本医療機能評価機構理事)が担当した。残る19人の構成は、病院団体(2人)、日本医師会(2人)、法律家(3人)、民間保険会社(2人)、関連学会(3人)、大学教授(2人)、評論家などで、患者団体の代表は1人だった。
会議の運営事務は厚労省の関係組織である日本医療機能評価機構が担当した。同機構が無過失補償制度の運営を担当する予定になっている。
制度の枠組みを決める審議の過程を振り返ると、患者と産科医の双方にとって望ましい制度を目指したものか疑問が残る。「厚労省の天下り組織が潤うだけ」と皮肉る声もあり、新制度の行方が注目される。
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