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(投稿:by 僻地の産科医)
日々の医療、お疲れさまです。
私も疲れています(笑)。というか、みんな疲れていますよね。
ここ二年くらいでしょうか。
「勤務産科医っていうのは生残り競争に入ってきたな」
と感じています。
↓ こちらもおススメo(^-^)o..。*♡
それでも働かなくてはならないか
http://www.jfpa.or.jp/02-kikanshi1/osan03.html
岩手県立二戸病院産婦人科長 秋元義弘
「勤務医」と限定するのは、
べつに開業の先生が楽だって意味ではありません。
でも開業するのは、ある意味わりきりがあると思います。
「産科」に限定したり、
「筋腫」手術だってしなくなるし、
むずかしい手術とか、病態は診なくなる。
「自分ひとり」になることがわかってて、
レベルが落ちる症例しか扱えないのも分かってて、
それでもある程度、「地域医療のために」開業するわけです^^。
しかも産科の場合は、24時間365日診療所に張付きになります。
それもわかってて、開業しています。
「婦人科」に特化する先生もいる。
そういう先生にとっては、日常業務は
「癌検診」とか「子宮筋腫・卵巣嚢腫」の大きさ測りだったりする。
実際問題、これは「勤務医」の時にもできるし、手術もできなくなる。
(器具とかスタッフとか、麻酔があるなら特化している意味ないから)
「自分じゃないとできない」業務じゃない。
あんまり面白くもないけれど、当直業務がかなり減って、
負担的にはずいぶん楽。
でも一緒の同僚は少ないし(何人も雇ってても病院側は仕方ない)
なんだかちょっと寂しい気がしてしまうのも事実。
で。
それに対して、「勤務医」であり続けるのを選択するのって、
なにか意義とか、意味とかをもって「勤務医」であると思うんですよね。
「抗癌剤治療」ができるとか、「手術」ができるとか、
結構、ある程度の危険な分娩まで診れるとか。
でもそんなのは、仲間がいてできること。
「勤務医」である魅力というのは、
「背後の仲間の産婦人科医の集団がいるから」
「みんなで力をあわせるから」こそできる魅力だったんです。
人数が減ってきてしまい、二人とか、三人とかで守っていくなら、
手術だって減らさないといけない、たくさんのお産は診れない。
危ない分娩を抱えるわけにはいかない。
今までなら、地域の開業医さんで吸収してくれるはずだった分娩が
病院に流れ出してきて、「リスクの低めな」分娩があふれてきて、
「当直」は増えるし、「救急外来駆込み率」は増えるし、
その分、普通の婦人科手術で満杯にしておくわけにもいかないし、
もういっぱいいっぱいだし、癌患者手術さんもみんな都市中心病院に送って本当のところはあっちもいっぱいいっぱいで、
ハイリスクはすぐに開業医さんからパスされてくるし、
「産科」を辞めたら、そこらへんの検診医とそんなにかわらない。
医局からはもう、送ってくれる人なんていない。
患者さんを抱えれば抱えるほどに大変になっていく。。。
それから、「病院勤務医」であることによって、
他科との温度差を非常に感じるようになりました。
いままでとかって
「医局から応援・後任を送ってもらえるかどうか」
ってわりと部長の器量しだいというような感じだったんです。
今でもあります。
で、人を送ってもらえないっていうのは、
「なんだか、実力が足りないんじゃないの~」
「評価が低いんじゃないの~?」
って雰囲気がやっぱり病院内にはあるんです。
でも、
産婦人科医局には、もうまったく人を送れる余力はありません。
人を送ってくれるとしたら、
「どこかを取り潰して」「どこかから撤退して」
「教授がそういう英断をして」以外の選択肢がありません。
そういう危機感が他の科には、まだないんですよね。
「なんかさ、人足りないとかいってるけど、全然努力が足りないんじゃないの?」
そのセリフは、どちらかというと病院長そのものに打返してあげたい
気分になってしまうんですけれど、それでも「病院」の気分はそんな風
なんですよね、やっぱり。。。
なんだか、
産科勤務医そのものも生残りをかけてやっている感じが
するようになってきました。
辛抱できない人、体力が持たない人、つらい人、価値観を無くした人、まけた人、そんな人からどんどん脱落していく感じ。
仕事できる人のほうが辞めていく感じもあります。
鈍感な人とか、仕事量をコントロールできる人
(自分の仕事を他に押し付けられる人)が、比較的のこりやすい。
その雰囲気ってひしひし、もうここ二年くらいあったけれど。
なんだか「硫黄島みたいだ。。。」といったら、Yosyan先生には
「南方戦線に主力を引き抜かれて、終戦間際にソ連がなだれ込んできたら、
スカスカで何もできずに消滅した満州の関東軍みたいです。」
といわれました。その通りかも。ソ連がきたらあっという間ですね。
ちょっと前の日産婦にいくときに、「どっかの市町村が、網もって産科医を捕まえに来ているかもしれないから、気をつけてね ..。*♡」って冗談で言っていました。今は違います。
私が、網をもって捕まえにいきたい(;;)。産科医、拉致しにいきたい。
自分自身の生き残りのために。
こんな給料低いけど、レベルの高い患者さん送ってきますよ?誰か一緒に働きませんか?教授には「人は送らない」って宣言されているんです。代務もくれないそうです。誰か、拉致してきていいですか?(若い学会参加者が狙い目だと思うんです)
今日、お友達から二本のニュースを教えてもらいました。もう、こんな時代です。
お互いつらいですけれど、
(本当のところブログなんてやっている場合じゃないけれど)
管理人さま、がんばっていきましょう。無理のない範囲で。
(産科の存在そのものが、無理になりつつありますね)英断だと思います。
飯田市立病院が、里帰り出産受け入れ来春から中止
信濃毎日新聞 2007年11月5日(月)
http://www.shinmai.co.jp/news/20071105/KT071104ATI090002000022.htm
医療圏全体で、 産科医13人程度→6-7人。。。
厳しいものがありますね。
飯田下伊那医療圏の産婦人科医療
ある産婦人科医のひとりごと
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2007/11/post_d6f6.html
産科医不足 深刻な状況に
NHK 2007年 11月5日
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/11/05/k20071105000008.html
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/11/05/d20071105000008.html
医療法で一般的な医療サービスがすべて受けられる圏域として定められている「二次医療圏」のうち、11%にあたる40の医療圏でお産を扱う医療機関が1施設以下と、産科医の不足が全国で深刻になっていることがわかりました。
「二次医療圏」は、医療法で一般的な医療サービスがすべて受けられる圏域として定められ、全国に355あります。厚生労働省は、それぞれの二次医療圏で産科医療の態勢が整っているかどうか確かめるため、ことし3月の時点でお産を扱っている医療機関の数や医師、助産師の数を調べました。その結果、全体の11%にあたる24の道と県のあわせて40の医療圏でお産を扱う医療機関が1施設以下と、産科医の不足が全国で深刻になっていることがわかりました。このうち、▽千葉県の茂原市や勝浦市など11市町村からなる「夷隅長生医療圏」と、▽山梨県の市川三郷町や身延町など6つの町からなる「峡南医療圏」では、お産を扱う医療機関が1つもありませんでした。厚生労働省は「妊娠した女性が自宅から離れた場所での出産を強いられないよう、必要な支援をしていきたい」と話しています。
先生、お疲れさまです〜 医局から人を送らないとすると、辞めたら、残るスタッフはどうなるって考えてしまいますよね。 でも、どんな職業でも体力、気力には限界があると思います。仲間がいるから、なんとかモチベーションをもってやってこられたとしても… 先生、確か、医療秘書をつけたりすることで、勤務医の仕事の軽減をという提案がありましたよね。 そういうことは、先生方にとって少しでもプラスになりえますか? もしなりえるなら、先生方が少しでもお身体を休めることができるのに… 当直も多く疲れても休むこともできない、先生方が、いつ倒れるかわからない状況は、人間扱いされていないのと同じです。
今、日本では、いかに楽をして働こうとか、お金を稼ごうとかしか考えていない人が多すぎます。 真面目に働けば働く人ほど、損をするような生きにくい時代です。 先生方は、まさにそうだと言えます。 せめて先生方に、お身体を休められる時間だけでも、とれるような事柄に、私も、関心を向けていくつもりです。たくさんの人が、関心をもつことで、先生方の環境がよくなるようにと思っています。
投稿情報: E | 2007年11 月 5日 (月) 23:49
…将来推計してみると、まもなく、ほぼ全ての診療科で病院勤務医が減少に転じます。
総数では現在がほぼプラトーの最後の時期です。
産婦人科の勤務医の先生方が現在味わっている思いを、他の診療科の先生方もまもなく味わいます。
今後どうしていくべきか、産婦人科以外の先生方も真剣に考える必要があります。
投稿情報: rijin | 2007年11 月 6日 (火) 02:25
先生、病んでますよ
そろそろ引き際じゃないですか?
投稿情報: 元産婦人科医 | 2007年11 月 6日 (火) 09:32
ん~。
ま、耐えられないとなったら、
辞めるしかないでしょうねo(^-^)o..。*♡
日常なんて耐えられないことばかりだけど(笑)。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2007年11 月 6日 (火) 12:37
開業医並みに特化し、やっていけるレベルまで戦線縮小して、やっとこさっとこ産科勤務医を続けています。(なんで開業しないか?経営の才能がないのは分かり切っているから)
たまには婦人科手術も入れたいけれど、なぜか入れたときばっかり、緊急帝王切開とか入るんですよね。1週間で帝王切開3件、子宮全摘1件、深夜のお産ありで全部執刀医だと、やっぱり一人じゃきついです。
でもせんせい、ここは心を鬼にして、ハイリスクを引き受けるなら低リスク患者は放り出さないと、体が持たないですよ。送る方としては腹が立つけど、基幹病院を維持するためには仕方がないもの。
投稿情報: 山口(産婦人科) | 2007年11 月 7日 (水) 14:12