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全国から妊婦救急の厳しさが続々と報告されています。
奈良に続き、札幌、新潟、千葉、仙台、神奈川。。。
これはまだ産科崩壊の序章に過ぎません。
今度は大阪から。
ついに19病院に断られた末、
自宅分娩したという事態にまで、
産科医療は追込まれているようです。
この事態について、医師会では再三、
地域の産科が、次々と閉鎖に追い込まれています。
それにより、将来50万人の「お産難民」が発生する可能性があります。
とのお報せを出してきましたが、
この事態について、みなさま、一度よく考えてみてください。
http://www.jaog.or.jp/News/2007/31Jan2007.pdf
http://www.med.or.jp/etc/iken/index.html
医療崩壊はすでにはじまっています。
医療が崩壊するとき、一番脆弱なところから崩れます。
患者さん側ならば、
『適切な医療アクセスを怠る患者さん』から
医療側からでは
『労働時間ではないとされるボランティアの当直』から。
夜間救急も、夜間分娩もすべて、医師の夜間勤務は自由意志であり、
労災の対象にもならないことがほとんどです。
昨日は中原先生の記事がでていましたけれど、日本の医療の現状です。
システムが壊れる時は、脆弱な部分から壊れるのが基本です。
では、記事をどうぞ。
妊婦救急受け入れ、大阪の19病院が「満床」理由に拒否
2007年9月7日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070907i307.htm?from=main3
大阪市で昨年7月、市消防局に救急搬送を依頼した30代の妊婦が「満床」などを理由に19病院で受け入れを断られ、病院が見つからないまま自宅で出産していたことがわかった。
市消防局によると、昨年7月24日午後8時ごろ、臨月を迎えた大阪市内の女性が腹痛を訴え、自宅から119番通報。救急車は自宅近くで女性を収容したが、かかりつけの産科医がいなかったため、救急隊員が大阪府救急医療情報システムのパソコン端末で病院を探すなどして、車内から電話で病院に受け入れを要請した。
しかし、各病院から「ベッドの空きがない」などの理由で断られ続けた。その間、救急車は自宅近くに止まったままで、女性はいったん戻った自宅で陣痛が激しくなり、出産した。救急隊員が介助したという。その後、20番目の病院が受け入れることになり、救急要請から約2時間15分後、搬送された。母子ともに健康に問題はなかったという。
ついに、明らかな崩壊の報道ですね。
「ちゃんと受診していないと、いざというときでも、病院でも助けてくれない」が、
「だからちゃんと受診する必要がある」ではなく、
なぜか「「満床」理由に拒否する病院が悪い」と読める書き方なところが…。
ま、いつも通りですけどね。
というか、救急要請から2時間で分娩、って、
そこまで産婦人科にも救急車にも連絡しないのって、普通におかしいでしょう。
(初産婦なら、よほど陣痛を我慢してたんだろうなあ…半日も。という感じだし
経産婦なら、受診の意味は分かっている「はず」だし
まあ、イレギュラーはいくらでもありますがね)
>日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が陳情書を舛添要一厚生労働相に提出
だそうですよ。下は時事ドットコム記事のURLです。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007090700728
投稿情報: 桜井純一郎 | 2007年9 月 7日 (金) 20:18
この出産、新聞的には「本来の出産形態、偶然にも実現」なんて見出しにならないのでしょうか?医師なしで出産できて喜びそうなものなのに・・。
救急隊員のみなさん、母子共に健康でよかったですねぇ。運がついてますね。
投稿情報: 絶滅危惧腫@のうげ | 2007年9 月 7日 (金) 21:44
ここまで、「たらいまわし」やら「搬送拒否」やらと称する記事に、
「かかりつけ医がいない」というキーワードが出てくるんだから、
もういい加減、言いたいことをもったいぶらずに言えと言いたくなります。。。
マスコミは何を恐れているのでしょうか。
投稿情報: y-gami | 2007年9 月 7日 (金) 22:50
今回のエントリー、強烈なニュースではないでしょうか。先生のメッセージとともにウチでも取り上げました。無断引用をご容赦ください。
投稿情報: mosriteowner | 2007年9 月 8日 (土) 05:47
既定路線
「搬送拒否」の実態調査
↓
産科救急での受け入れ不能の実態が明らかに
↓
体制整備ではなくバッシングに終始
↓
産科医逃散を促進
↓
さらなる崩壊
投稿情報: bamboo | 2007年9 月16日 (日) 14:47