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医療訴訟の現状 目次 ぽち→
雪の夜道さまからのおすすめですo(^-^)o ..。*♡
MMJでの連載、前回のものはこちらです!
過去のものもちょっと探してみますが、めぼしいものだけとってあるので、
(収集癖がありますので、家族に積極的に処分されます(涙)。。。)
みつからないかもしれませんけれど(笑)!!!
かなりいい文章ですので、どうぞ!
あと私のおすすめはこちらです。ぜひ見てみてくださいo(^-^)o ..。*♡
任意捜査への積極果敢な対応が鍵
(MMJ July 2007 Vol.3 No.7 p598-599)
弁護士 医療法務弁護士グループ代表 井上清成
医療の危機、そして司法の危機
虎の門病院泌尿器科部長の小松秀樹氏が、「日本医事新報」(4338号、2007年6月16日)の「プラタナス」欄において、「医療版『事故調』の目的」という論稿で、「福島県立大野病院事件は、医療の危機というより司法の危機ととらえる(1ぺ一ジ)」と述べていた。福島県立大野病院事件は今もって公判係属中であるが、そこでの産科医の逮捕・起訴に対し、日本医学会など医療界が医療界の危機に関する抗議・批判の声を一斉にあげたため、警察・検察は大きなショックを受けたらしい。
小松氏の新著『医療の限界』(新潮社)によれば「06年9月13日、但木敬一検事総長は、・検察長官会同で、犯罪に対する厳罰化を訴えました。報道されませんでしたが、『医療過誤・飛行機事故などはこれまで被害者の利益を考えて刑事責任の追及を行ってきたが、国民や社会全体の利益の観点に立って、原因追究や事故防止のためにどういう枠組みがいいのか検討すべき時期にきている』という趣旨の発言もあったと伝えられています。これが本当だとすれば(97ぺ一ジ)」、医療界の一致団結した声が警察'検察を動かし始めたと評価できるであろう。
そして今、裁判の行方が注目されているが、もしも裁判所がその方向を誤れば、さらなる医療界からの抗議・批判にさらされ、まさしく司法の危機を招来しかねない。
警察官の誤った思い込み
小松氏は、前掲「医療版『事故調』の目的」で、「司法は、社会通念、すなわち大衆の情動を基盤.とした倫理規範に判断が引きずられることを是とする」とも言い切っておられた。
そこで、この情景を仮に現場の警察官に引き直してみよう。そうすると、たとえば、診療関連死で医師法21条の異状死の届け出をした場合に、「過失があると思ったからこそ、異状死の届け出をしに采たんじゃないか]と誤解されてしまうことがあるかもしれない。
つまり、自首と同列に見られかねないのである。また、警察での事情聴取の際には、業務上過失致死罪の犯人と思いこまれてしまい、「あなた(医師、看護師などのこと)の言うことは信用できないよ。本当のことを話しなさい、本当のことを!本当のことを話してくれるまで、取り調べはいつまでも続くんだよ。いいんだな!」などと頭こなしに決めつけられてしまうことがあるかもしれない。つまり、事情をよく聴取するのではなく、警察官の思い描いた誤ったストーリーに沿う供述しか聞こうとしないかもしれなし、のである。
医療者が無防備に、「お上はすべてをきちんと話せばわかってくれるはず」と信頼して警察官に対すると、思わぬ非礼な扱いに衝撃を受けかねない。注意を要するところである。
大切なのは「主張」と「弁護人」
警察官は被害者の訴えに突き動かされて情動的な思い込みを犯しかねない。ではいったい、どのように対応すればよし、のであろうか。
まず、知っておきたいことは、司法を動かす重要な要素が、マクロ的にはもちろんだが、個別的事案においても、それは強く明瞭な「主張」(言い分を述べること)だ、ということである。
ただし、誤って思い込んでしまった警察官相手に1対1で主張し続けるのは、疲弊し根負けしてしまいかねないので、取り調べの最初から弁護人をつけてすべての取り調べに同行させるのも効果的であろう。
残念ながら、日本の弁護人には取り調べ立会権は認められていなし、が、常に別室に待機しているだけでも意味がある。医療過誤の業務上過失致死傷被疑事案では、普通は強制捜査ではなく、任意での取り調べが先行するので、この時点で意に沿わない供述調書をつくられてしまわないようにしなければならない。最も大切なポイントである。
「供述書」と「カルテ追加補充記載」
さらに、きちんとぶれずに主張をし続けるためにも、早い段階で医療者目らが「供述書」(供述調書ではなく、自らがつくるもの)を作成し、警察に提出しておくのも1つの要領である。また、「主張」を裏づける最も重要な証拠がカルテであるので、警察捜査の予兆を感じた時点でカルテを早急にチェックし、漏れや曖昧な点があれば、気づいた時点の年月日を記すとともに、「追加補充記載」をすることが肝要であろう。ただ、改ざんするとそれだけで有罪とされかねないので、改ざんと疑われないようにクリアに末尾に追加するのが要領である。
「気兼ね」は禁物
以上、簡単に対応方法を述べた。ただ、早期に弁護人をつけたり、追加補充記載をしたりすることは、かえって怪しまれはしないかなどと「気兼ね」があるかもしれない。しかしながら、刑事責任にかかわる重大事であり、かつ積極果敢に自らの医療行為の正当性のストーリーを主張することの重要性に鑑みれば、気兼ねや躊躇は禁物である、と筆者は思っている。
管理人sama
わざわざ取り上げてくださってありがとうございます。暑いなかお体ご自愛ください。
投稿情報: 雪の夜道 | 2007年7 月30日 (月) 08:53