産科医療のひずみ ぽち→
厚労相の「産科医減は分娩件数減」発言に現場は?
Japan Medicine 2007.3.26
http://www.japan-medicine.com/shiten/shiten1.html
「産科医の減少は、分娩件数の減少と比例し、分娩件数当たりにすれば産科医数は特に減っていない。産科医療は病院のネットワーク化で効率化すれば十分に対応できるはず」
今年2月7日の衆議院予算委員会での柳澤伯夫厚生労働相の発言に医師は一斉に反発した。産婦人科医1人当たりの出生数は、1990年が95人、2004年が98人と横ばい傾向にあるが、分娩施設数の大幅な減少など産科医療提供体制を考慮していない。産科医の減少は、単に分娩件数の減少に呼応したもので、今後、病院のネットワーク化と医療の効率化で対応することで十分に可能との認識を示したからだ。
福島県立大野病院で04年12月、帝王切開手術ミスで女性(当時29)を死亡させたとして同病院の産婦人科医が業務上過失致死と医師法違反の疑いで逮捕された事件以来、産科医療の危機を浮き彫りにした特集記事が連日紙面をにぎわす。
厚生労働省も手をこまねいて見ているだけではない。現場からの窮状に対し、医師確保対策の費用として、今年度の補正予算と07年度予算合わせて計100億円を計上する大幅な増額が認められた。医療資源の集約化・重点化を進めたり、無過失補償制度や死因究明制度の創設に力を注ぐ。ただ、予算でいくら手厚くして対策を講じようとも即効性がなく決め手がないのが実情だ。08年度の診療報酬改定で産科医療に対する手厚い配分が求められる。
産科医療をめぐっては、訴訟リスクがほかの診療科より高かったり、過酷な勤務などによって、産科医療のひずみが表面化している。体力的・精神的に限界を感じ、見切りをつけて医療現場から離れていく医師は多い。
◎ 給料5520万円は「高い」か「安い」か
昨年、三重県の市立尾鷲総合病院の産科医(55)が市側との契約更新の交渉で決裂した。医師側の条件は5520万円に休日分の上乗せだったが、予算オーバーのため、市側は4800万円を提示した。結局、契約交渉が不成立となった。
05年7月、同病院に医師を送っていた三重大が、付属病院の医師不足を理由に派遣を中止したことを受け、市は独自に探した津市の男性開業医と1年の雇用契約を結んだ。医師は24時間無休で病院に常駐し、夜昼問わずの出産に備えていた。
この産科医は地元紙に対し「150人を超える赤ん坊を問題なく出産させてきたし、休みも年末の2日間だけだった。そんな中での4800万円への減額提示は、医師として許せなかった」と振り返る。
この産科医が提示した5520万円は高いか低いか。一般人だったらその額を聞いて、高いという人の割合は多いだろう。しかし、知り合いの医師に聞いたところ、誰もが口をそろえて「安い」と答えが返ってきた。産科医療体制を産科医1人で担う実態について、金額の問題ではなく、1人では安全・安心な医療が十分に提供できないという。逆に、地域の産科医療を1人で提供することがいかに無謀で危険性が高いと説明を受けた。
厚労省は、産科医不足解消のため、産科の医師を集中し診療機能を充実させる「集約化・重点化」を進める。だが、課題も残る。「産科医療を提供する病院まで2時間かけて通う」「年間降水量が多い地域だと、大雨が降れば道路は通行止めになる」など、集約化されることで患者側に負担がかかる。一方、「公立や民間など経営母体の異なる同規模病院が同じ医療圏で小児医療体制を提供している場合、どちらの病院に医療資源を集中させるか調整が難しい」など病院側の利害関係にも発展して、「集約化・重点化」は一朝一夕にいかない。
◎ 思惑を超えた集約化・重点化を
産科医療崩壊の危機に直面している医療現場は、医師不足、高い訴訟リスク、過酷な労働環境などさまざまな要因が複雑に絡み合って表面化したものだ。この絡み合った状況をほどくには、患者側、病院側、行政側のそれぞれが抱える事情、思惑を超えて、対応しない限り、産科医療の実態は変わることはないだろう。
【参考ブログ】
【産科・小児科 休止一覧 2 】 日本全国 今後の崩壊予定
勤務医 開業つれづれ日記
http://ameblo.jp/med/entry-10026652049.html
産科医療崩壊の危機について
ある産婦人科医のひとりごと 2007/03/20
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2007/03/post_d6f6_9.html
保険医協会 「医療も命も削られる」PDF形式
http://hodanren.doc-net.or.jp/kenkou/isi-fusoku.pdf
こちらも参考に!
北海道には180の市町村があるそうですが産科医不足が深刻で、お産ができる市町村は三十七しかないそうです。「産科」に関しては、安上がり政策のせいではないでしょうけれど、僻地医療ということであれば、そのとおりだと思います。
希望のもてる北海道へ――共産党議席ふやす四つの意味
札幌演説会 志位委員長の訴え(要旨)
2007年3月8日(木) 「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-03-08/2007030804_03_0.html
産科崩壊が一面に! 2007.03.27 コメント欄より引用
元気に明るく生きて行ける社会のために、医者のホンネを綴りたい
http://blog.m3.com/DrTakechan/20070327/2
日本全体が緊急事態に陥ってきたことが、まだわからない人間が多すぎます。
マスコミ内部にはまだ偏見を持った上層部が数多く巣食っていると思われます。
厚労省は、国民にとって存在意義が果たしてあるのか?、というレベルです。
安倍政権は、もはや体制維持だけが課題であり、国民のための政治にはほど遠い状態です。
ここで野党が団結してがんばらねばどうするのか、という思いです。同時に、国民もいいかげん真実を見極めてほしいと思います。この安倍政権が、やらずぶったくりサギ病院のようなものだ、と理解して、早く転院することを勧めたいです。
written by Doctor Takechan / 2007.03.27
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