4月28日に「産科医療」の事故・裁判・質・システムを考えるシンポジウム
という会が大阪であったようです。
メンバーは有名な方が多く、なんちゃって救急医先生の報告を見て頂けるといいのですが
シンポジウム聴講記
日々是よろずER診療 2007.04.29
http://blog.m3.com/case-report-by-ERP/20070429/1
まとめてみました!(かなり暴論ですが)
○司会者の勝村氏 自然分娩だからよい。
●出元明美氏の講演 「事故は防げる」と力強く宣言していた。
●吉野克則氏の講演 「医療者側は)事故があったら、どうしてそこに何かあると思えないんですかね」
●高崎氏(夫、義父) 義父からの話。大淀病院は面子にこだわっておられるように見えたこと。
面子のあまり転送にこだわったのかと思ったこと。
実母の手紙も公表された。大淀病院への不信。
国循への感謝の気持ちが述べられた。
(シンポジウムを通して医療への感謝の念が表明されたのはここだけであった)
●鳥集氏(とりだまり:本名)「医師を罰するべきではないのか?」というタイトル
結語としては、中立校正の組織による事故を再検証する必要性を訴えた。
○高松赤十字病院 妊婦死亡事件の被害者である夫が登壇。
改ざんと死亡の因果関係については、なんら論理的な説明はなかった。
で、えっと、問題はこの中の大淀事件あたりのところでの出来事だったようです。
以下は、参加された方によるテープ起こしです。
日々のたわごと・期間限定特別ブログ
内容案内と総合目次
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=545812
堀病院事件その1~ご遺族様はマスコミ様
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=549789
1:パネルディスカッションの最初の方
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=548906
2:パネルディスカッション最初の方・その2
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=549224
3:パネルディスカッション・その3
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=549505
4:発端から核心の手前まで
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=545843
5:核心部分、そのいち。
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=547628
6:核心部分からその続き
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=547861
7:医師侮辱発言と産婦人科医超人必須説?
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=547914
8:ネットについて……その3になりますか。
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=548055
9:会場からの質問・その1(勝村氏より)
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=548554
10:会場からの質問・その2(打出氏・石川氏・出元氏より)
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=548578
11:会場からの質問・その3(鳥集氏・岡本氏前半)
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=548673
12:会場からの質問・その4(岡本氏後半)からラストへ
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=548726
えっと、↑結構危険です。
産婦人科の先生は、とばし読みもしくは読まないことをおすすめします。
精神衛生上、日々のやる気が損なわれる危険性があります。
というわけで、翌日だったかしらん。記事になりました。まず最初、読売。それから毎日と
続きましたけど、それはただ単にネットへのニュース発表の順だけだったかもしれません。
奈良・妊婦死亡の診療情報がネット流出 2007年4月29日 読売新聞
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070429p101.htm
産科医療シンポ:被害者の視点忘れずに…大阪で開催 毎日新聞 2007年4月28日
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070429k0000m040052000c.html
産科医療事故被害者シンポ:昨夏の妊婦転送死亡の両親、心情を手記に/奈良 毎日新聞 2007年4月29日
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/nara/news/20070429ddlk29040353000c.html
死亡妊婦カルテ、医師専用ネットに流出 nikkansports.com
http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20070430-191811.html
まぁこのあたりかな。
それで、みんながすわっ!といろいろ検証したわけです。
診療情報流出に関する問題
元検弁護士のつぶやき 2007年04月30日
http://www.yabelab.net/blog/2007/04/30-203425.php
が法律家もいらっしゃって結構詳しいので、ここのコメントを紹介しましょう。
No.4 ちゃあさんのコメント
遺族側が、情報を公開した範囲は
>しかし、遺族側は「報道陣に公開したのは、出産のために入院した
>昨年8月7~8日の『看護記録』だけ。カルテなど公開してない。
>さらされた情報には、遺族も知らない通院中のカルテの内容が含まれ、
>病院関係者しか知り得ない情報だ」としている。
No.6 guri さんのコメント
m3と外部blogからカルテの出所に関する部分を集めました。
主治医か大学からの派遣当直医かについては、私も不思議に感じたので、
昨日担当の某新聞記者に逆に聞いたところ、大学からの派遣医だと思いますと
いう答えでした。また、カルテのコピーも持っているから確かだとのことでした。
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カルテのコピーは病院側から報道陣にあらかじめ配布されたらしい。
報道サイドは看護記録の経過をもとにストーリーを作っているが、
カルテの内容については専門的で、technical termもあり、十分に把握していない。
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実はこの経過の文章のうち、95パーセントはカルテに書いてある事なのです。
彼らはコピーを持っていながら、医師の記載欄や看護記録のtechnical termが
理解できないから、あんな記事になったのでしょう。この文章はカルテの
コピーを見ながらまとめました。コピーはもう返却しました。
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カルテのコピーは、遺族が配布したのか、かなり出回っているようです。私はそれを見せてもらいました。
この記述を信用すると
・カルテは病院から報道に配られた
・遺族が配布した
の二通りが書かれていますが、どちらにしてもカルテそのものが広く出回っていた事は間違いないようです。
また投稿者氏はblogに転載したDr.Iさんに自分は大淀病院の医師ではなく、近県の医師と伝えています。すると投稿者氏はだれからカルテのコピーを見せてもらったのでしょう?担当記者氏ですかね?
No.11 一般人さんのコメント
他サイトでの情報を含め、現時点で理解している内容です。
遺族側の主張は次の3点
1.公開したのは看護記録だけでありカルテは公開していない。
2.遺族も知らない通院中のカルテの内容が含まれる。
3.会話内容などその場にいた者しか知りえない情報が含まれる。
1項については、看護記録はカルテの一部であり不可分。また毎日新聞社の初報、
続報をみると看護記録からだけでは推測し得ない
内容が含まれ、遺族側の主張には疑問が残る。
3項については、遺族側の夫自身がマスコミに対し、
「医師は1時間半の間、寝ていたと言った」と会話内容を漏らしており、
同じく疑問が残る。
2項については、ほとんど論議されていない。
No.21 勤務医です。さんのコメント
2.遺族も知らない通院中のカルテの内容が含まれる。
という部分ですが、m3comはフォローしていたつもりですが、
通院中の記録の記載は 記憶にありません。
そんな話が出ていたのでしょうか。
近県の産婦人科医の先生の書き方ですと、
カルテのコピーを見せてもらったのに加えて、
当時の他院の状況に関して、なぜ断らざるを得なかったのか が書かれており、この点は
知り合いからの伝聞による推測が加わった可能性はあると思うのですが、
通院中の記載は一切なかったように思います。
そうした記載が どこかにあったんでしょうか??? ご存知の方 いますか?
No.23 Level3 さんのコメント
>通院中の記録の記載は 記憶にありません。
>そんな話が出ていたのでしょうか。
外来通院中の情報のことだと思います。最終月経のことだとか。配布されたカルテに書かれていない5%の情報というものを指しているのでしょう。
しかし,カルテのコピーはマスコミに配布されている(はず)なのに,看護記録だけしか配布していないと主張しているようです...
ここのところはどうなんでしょうか?テレビの画面に出ていた「子癇」の文字はまさか看護記録ではないでしょう。
あたかも「誰かがカルテを勝手にまき散らした」といわんばかりの論調です。いつもながら彼らの言い分だけを確認もせずに垂れ流すマスコミにもかなり問題がありますね。
(注:http://www.mbs.jp/voice/special/200611/02_5477.shtml の事かな?
毎日放送「産婦人科医療のジレンマ」 2006/11/02)
No.36 元ライダーさんのコメント
>No.2 Dr. I さん
>>実はこの経過の文章のうち、95パーセントはカルテに書いてある事なのです。
私は
残りの5%は情報の5%ではなくて、文章の5%と思っていました。
筆者の補足説明とか見解とかも文章に書かれていますよね。
想像でしかありませんが。
>入院前の記録など
>>これに関しては、おそらく外来カルテの記述を元にして書いたのだと思われます。
外来通院中の要点は産科でなくても入院カルテに記載しますよね。
「いつからどんな症状があったか」とか。
産科でも最終月経等が入院カルテに書かれていても不思議ではないと思います。
これも想像ですが。
No.41 PINE さんのコメント
掲示板に書き込まれた情報が、遺族らに明らかになる前に(遺族らの承諾なしに)、町の職員によってもたらされたものである場合、その町の職員は、町の個人情報保護条例や地方公務員法に違反する可能性がありますし、町としては個人情報の管理に問題があったということになるでしょう。
掲示板に書き込まれた情報が、遺族らに公開された情報に基づく場合は、個人情報保護条例違反や医師等の守秘義務違反の問題は生じないでしょう。
一人歩きした情報については、その内容を引用して、掲示板やブログで議論することについては、もう個人情報保護や守秘義務の問題は生じません。
No.45 Med_Law さんのコメント
>ただ、一人歩きした情報をもとに、あらたに遺族らの名誉を毀損する書き込みや、遺族らのプライバシーを新たに侵害する書き込みは、それ自体が遺族らに対する新たな不法行為となる可能性があります。
同様に,医療機関に対して,『6時間放置した』であるとか,『重症患者を放置して寝ていた』などというのは,病院,医療者に対しての重大な名誉毀損や,病院経営を脅かす風説の流布に相当するものでしょう
カルテの情報を入手しながら”信ずべき相当の理由が認められる”はずもないので,マスゴミ側にはアリバイは成立しません
No.48 勤務医です。 さんのコメント
一連の経過で 患者さんが亡くなった病院からは 何も情報は漏れ出れいないと思います。出所はすべて遺族側なのではないかと思うのですが、違うのでしょうか。
というように続いていくのですが、(もちろん詳細をお読みくださいね!)
さてさてどうも話を総合していくと、数日のうちに刑事捜査が入りカルテは押収、
病院にはなかった。そのうえ、あれこれ総合していくと、どうもご家族がカルテを一部分しかもっていなかったとは考えにくい傍証があるのでは、ということになってきています。
で、ここで、Yosyan先生の出番です。
新小児科医のつぶやき 2007-05-03
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070503
どうも、マスコミはカルテをもっていた可能性が高いです。
少なくとも、ネットへ流出したのとほぼ同程度のカルテです。
読売新聞 大阪朝刊社会39頁 2006. 10. 31
http://www.honey.ne.jp/~yosyan/image/Nara_yomiuri.pdf
(一部とします)
高崎さんは予定日を過ぎていたため8月7日朝に入院。陣痛促進剤を投与され、夕方から陣痛が始まったが、深夜に異変が生じた。 午前0時に頭痛、0時10分に嘔吐(おうと)、0時14分に意識消失、1時37分にけいれん、2時に瞳孔拡大、4時30分に呼吸困難と進んだ。
家族によると、転送先の国立循環器病センター(国循)では「右脳混合型基底核出血」というタイプの出血と診断されたという。
■高崎実香さんの経過(診療記録から)
8/7~8
9:20 町立大淀病院に入院。妊娠41週
9:40 陣痛促進剤の内服開始
(昼の血圧測定121/81)
14:55 陣痛促進剤の内服6回目で終了
(夜の血圧測定131/66)
17:20 嘔吐あり、2分ごとに陣痛
21:46 「痛い、痛い」
22:00 嘔吐あり
23:00 「もうイヤ、家に帰りたい」
0:00 頭痛。「こめかみが痛い」。血圧155/84
0:10 胃液を嘔吐
0:14 突然の意識消失。血圧147/73、尿失禁
内科医も呼ぶが「失神でしょう」
1:37 強直性けいれん、いびき。水銀血圧計で
は200/100。主治医は子癇を疑い、けいれ
んを抑えるマグネゾールの投与を開始
1:50 県立医大に「子癇の患者がいる」と転院
要請。内科医がCT撮影を提案するが、
主治医は「動かさないほうがいい」
2:00 瞳孔拡大。血圧148/75
(この間、搬送先を探すが見つからず)
(血圧は上が154~186)
4:30 呼吸困難で気管挿管。国循に搬送決定
4:50 救急車で搬送開始。主治医が付き添う
6:00 国循に到着。脳の手術後、帝王切開で出産
8/16 意識不明のまま死亡
写真=高崎実香さんのカルテ(家族提供)。上から5行目に「意識消失」、2枚目に「強直性ケイレン?」「eclampsia(子癇)?」と書かれている
とかある。eclampsiaと書かれているのならば看護記録の可能性は低い。
ので、遺族はマスコミに看護記録だけを渡したかどうかはわからない、ということになる。
(ま、写真と現物をみれば一発でしょうけれど)
それから病院関係者が流した訳ではない場合は守秘義務も個人情報保護法も関係ないみたいです。というわけで、まとめでした。あとは皆さま、頑張って読んでくださいね..。*♡
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