おはようございます..。*♡ 本日の医療ニュースです。
東北でのアンケートで興味深い結果です。
勤務医は全員「分娩」を負担に思っていること。
開業医さんよりその「負担度」が高いことなど。
私もアンケートにいれるなら「負担」に入れます。
好きではありますが。(専門でもありますが)
みなさまはどこに入れますか?
よくわかりませんけれど、絶滅危惧種から参院選立候補です!がんばれっ!!!
千葉県での若手育成の試みは、インフォームド・コンセントにはじまって
更に医療者と住民との対話の方向へ発展していくかもしれません。
日本の医療にだいじなのは、省庁からの通達や仕組みづくりではないかもしれません。医療は人と人との対話から始まるのではないでしょうか?
(でもって、人が足りません!!)
あとは海外からのニュース。こわすぎです。
日本でもヘルメットで診察しなければならない時代がすぐソコに!?(中国大変!)
避妊強制の国々もこわすぎっ!!泣いちゃうよ。
「分娩」重い負担感 勤務医は全員 産婦人科医調査
河北新報 2007年05月02日水曜日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070502-00000001-khk-l04
医師不足が深刻化する産科医療の現場で、産婦人科医の6割以上は仕事に負担を感じていることが、河北新報社が宮城県内の産婦人科医を対象に実施したアンケートで明らかになった。東北各地で分娩(ぶんべん)を取りやめる病院、診療所が相次いでいるが、分娩を扱う医師ほど負担感が大きくなっている傾向も浮き彫りになった。
調査は2月から4月にかけて、日本産婦人科医会宮城県支部の会員ら153人に郵送方式で実施し、45人から回答を得た。回答者の勤務形態は開業医25人、勤務医20人。男女別では男性37人、女性8人だった。
現在の仕事の実態については、「負担が大きい」が42%で最も多かった。「少しは負担を感じる」(24%)を合わせると、3人に2人は負担感を訴えた。
勤務形態別で見ると、何らかの負担を感じていると答えたのは開業医の60%に対し、勤務医は75%に上った。「負担は感じない」という勤務医は10%で、開業医(24%)の半分以下だった。
現在も分娩を手掛けているのは56%。「以前は扱っていた」という医師(42%)の大半は、ここ10年以内に分娩の扱いをやめていた。
お産の扱いを続けている開業医(52%)と勤務医(60%)のうち、勤務医は仕事に対して「負担が大きい」という割合が75%に達し、「少しは」を含めると全員が負担を感じていた。
開業医も分娩を扱っている場合、「負担が大きい」が54%と半数を超え、お産を受け入れるかどうかで産婦人科医の負担度に差が生じる現状が浮かび上がった。
産婦人科医師の河野氏立候補へ 参院広島選挙区
中国新聞 '07/5/1
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200705010160.html
七月に実施される参院選の広島選挙区(改選数二)に一日、産婦人科医師の河野美代子氏(60)=広島市中区=が無所属で立候補する考えを明らかにした。
広島県庁で記者会見した河野氏は「一人一人の命と憲法を守る政治を心がけたい。一人でも多くの女性議員が増えることを目指し決意した」と表明。護憲の立場や女性の声の国政への反映をアピールして支持を広げていく構えで、政党の支援は受けない方針という。
河野氏は四月の広島市長選で、秋葉忠利市長の選挙運動を中心になって支えた。
参院選広島選挙区には現在、自民党現職で国家公安委員長・防災担当相の溝手顕正氏(64)▽民主党新人で元衆院議員の佐藤公治氏(47)▽共産党新人で党県委員会常任委員の藤本聡志氏(52)―の三人が立候補を表明している。河野氏の参入で、広島選挙区は激戦の様相を帯びてきた。
平川病院1日から診療休止 診療所化など審議へ /青森
陸奥新報 2007/05/01
http://www.mutusinpou.co.jp/news/07050102.html
長らく経営難と医師不足に悩まされてきた平川市の国保平川病院は、1日から常勤医がゼロとなり診療を休止する。外川三千雄市長は病院運営委員会や市議会全員協議会の意見を踏まえ、新たな常勤医の準備ができ次第、無床診療所として再開する方針だ。2日には転換に向けた診療所設置条例案などを審議する臨時会が招集される。
1957年2月の開院以来50年間、旧平賀町と周辺地域の医療を支える役割を担った同病院。しかし民間医院充実や交通網発達の影響か、近年は病床利用率などが低迷して経営状態が悪化、県からは自治体病院機能再編成計画案の中で廃止とする案が示されている。
加えて昨年12月1日時点で4人いた常勤医が激減し、5月からはついにゼロになり、診療休止を余儀なくされた。
常勤医2人(院長、副院長)の診療は27日までに終了。30日の病院は非常勤医と日直の看護師が待機し、事務職員もいたが、休日で来院者もなく院内はひっそりとした空気に包まれた。
本紙取材に対し、院長だった斎藤浩医師は「診療所転換で家族のような職員が散り散りになり、私だけ安穏と院長職に就くわけにはいかない」などと退職の理由を説明し、「休止は残念の一言に尽きる」と述べた。
市直営の病院存続を求める市民団体「平川病院を守る会」は25日、外川市長と議会に対話集会を開くよう要望したが現時点で回答はない。守る会は自治労県本部、市職労とともに1日に総決起集会を開き、病院の直営存続を訴える。
市議会は診療所転換を妥当とする議員が多数で、臨時会は設置条例案可決がほぼ確実とみられる。守る会が27日に市議43人に送付した公開質問状への回答も、30日午後4時までで2人(うち1人は守る会幹部)にとどまる。このため存続派は合同集会で気勢を上げ、市民に強くアピールする構えだ。
「病院の直営存続」を特に重要視する守る会と「職員の公務員としての身分保証」を主眼に掲げていた市職労は、主張はほぼ同様ながら各組織の性質上、市の分限免職案撤回でスタンスに多少ずれが生じた感もあり、集会は共同歩調を再確認する意図もありそうだ。
若手医師育成、住民サポート…千葉・東金病院
2007年5月1日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070501ik04.htm
説明のわかりやすさ5段階で評価
千葉県立東金病院(東金市)は30日、若手医師による患者らへの説明能力を、住民有志に評価してもらうユニークな取り組みを始めた。
医療現場で重要性が増すインフォームドコンセント(医師の十分な説明と患者の同意)の質を高めるため、地域に医師の育成を応援してもらう試みで、住民との交流を通じ、医師の定着も狙っている。
対象は、初期の臨床研修(2年間)を修了した同病院の勤務医。地元のNPO「地域医療を育てる会」(藤本晴枝代表)の呼び掛けで登録した住民が「医師育成サポーター」となり、月1回の若手医師による講演会や討論会の場で、医師の話し方や説明のわかりやすさ、相手の反応への対応など15項目を5段階で評価する。結果をもとに、指導医が専門用語の使い方などを若手に助言する。
30日に同病院で行われた初めての会合には、サポーターの男女ら14人が参加。8年目の医師、阿部浩子さん(33)が「病院の上手な使い方」をテーマに話すと、サポーターは「診療時に医師に質問しにくい」などと指摘した。阿部さんは「診察より緊張したが、患者の本音が分かり、丁寧な説明の必要性を実感した」と話していた。
同病院には3年前に21人の医師がいたが、今年4月には13人に減少するなど医師不足が深刻。平井愛山(あいざん)・病院長は「住民の協力で学習し、育つことで、地域で働こうという医師の意欲につながる」と期待する。
日本医学教育学会長の斎藤宣彦・聖マリアンナ医大名誉教授は「NPOと連携して、医師の評価につなげる試みは例がないと思う。地域医療の構築に市民の協力は不可欠。医師が地域に根付くことにも貢献できる」と話している。
「ER京都」の運営始める 伏見・京都医療センター
京都新聞 2007年5月1日(火)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007050100165&genre=O1&area=K1I
京都市伏見区の国立病院機構京都医療センターは1日、時間外の救急受け入れを円滑にする救急救命室「ER京都」の運営を始めた。宿直医・日直医5人が、患者の重症度にかかわらず、すべての症例の初期診療を行う。京都府内の救急救命センター(3次救急医療施設)で、こうした北米型のERに取り組むのは初めてという。
北米型のER型診療は、すべての救急患者を受け入れ、ER専門医によって、診療科にかかわらず初期治療をし、重篤度に応じ、どの専門医が担当するかの区分判断(トリアージ)や入院の必要性の区分を判断する。日本では、1次から3次まで重症度別に救急病院が指定され、救急隊が程度に応じて病院を選び搬送する仕組みがとられてきた。北米型のER型診療により、実際には重篤な患者が軽症と判断され、病院をたらい回しにされるような事態が防げると期待される。
京都医療センターでは、当直のER医師が搬送などが重ならなければ全員で初期対応に当たる。トリアージを行い、必要があれば救急外科や循環器科などの専門医師に引き継ぐ。
石倉宏恭・救急救命部長は「内科医が当直で外科症例の受け入れを断ってたらい回しになる例や、診断をせずに電話照会段階で断るなど、京都の夜間の救急態勢は立ち遅れている。ERに取り組くむことで問題提起をしたい」と話している。ER京都では、小児科疾患は現在受け入れ困難なほか、救急処置が必要な人が優先としている。
開業医『総合科』創設へ 高齢化、勤務医不足に対応
東京新聞 2007年5月2日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007050202013144.html
厚生労働省は一日、家庭医のように高齢者などの初期診療に当たる開業医を対象に「総合科」(仮称)を創設する方針を固めた。
一定の知識と技術を備えれば、総合科の表示を掲げることができるようにする。七十五歳以上が加入する後期高齢者医療制度がスタートする来年度の導入を目指しており、今後の診療報酬改定で大きな検討課題になりそうだ。
高齢者の在宅医療への転換を進める厚労省は診療所を地域医療の窓口と定め、質の高い医師を養成。「熱がある」「関節が痛む」などの症状がある人はまず「総合科」で診療を受け、必要なら専門医がいる病院を紹介してもらう。病院は入院治療や専門外来に特化。勤務医の負担を軽減させ、過剰勤務で病院を辞めるケースも多いとされる勤務医の偏在や不足を改善させる狙い。
現在、診療科目は麻酔科以外は内科、小児科など自由に掲示できる。しかし、総合科については、医師免許の取り消し・停止処分の権限を持つ医道審議会と厚労相の承認を必要とする方向で、診療科掲示に関する検討会を開き、認定条件などを決める。あわせて現在約三十ある自由掲示の診療科目を減らす方向で見直す。
厚労省は、総合科の条件として、内科を中心に複数の疾患を診ることができるほか、認知症などの高齢者に介護サービス計画をつくるケアマネジャーと連携、終末期医療にも対応することなどを想定する。
現在、新卒医師を対象に実施されている在宅を中心とした地域医療の研修も充実させる。学会や日本医師会などと協力し臓器別の専門医でなく、へき地的な場所での実践を含めた総合的な診療を行えるよう養成システムを構築する。
現在、歯科を除く一般診療所は全国で約九万九千カ所。みとりや往診などに対応する在宅療養支援診療所は現在約一万カ所の届け出があり、総合科は在宅医療を進める要としたい考えだ。
京都府内の3次救急医療施設は京都市内に3カ所。府によると、2005年の救急搬送人員は約11万人で、年々増加している。
県内、来春採用の看護師確保が早くも激化 秋大は例年の3倍以上/秋田
さきがけon Web 2007/05/01
http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20070501j
県内の医療機関で、来春採用の看護師確保に向けた動きが早くも活発化している。昨年4月の診療報酬改定で、看護師1人が受け持つ患者が少ないほど報酬が高くなる仕組みに変わったため。秋田大医学部付属病院は例年の3倍以上の100人程度を採用する予定で、既に4月から看護師養成学校に求人案内を送付している。今春は病院間の競争から看護学生の内定辞退が相次ぐなど、例年以上に学生確保に苦労した病院も出ている。
昨年4月の診療報酬改定で、看護師1人当たりの入院患者数として15人、13人、10人の区分に加え、新たに7人の区分が設けられた。看護師を手厚く配置した病院の診療報酬が高くなり、全国の病院で看護師確保が激化した。
秋田大医学部付属病院の現在の区分は「10対1」だが、当初から19、20年度の2カ年計画で「7対1」の実現を目指してきたという。18年度の採用実績は例年並みの30人だったが、19年度はほぼ倍の65人まで跳ね上がった。20年度は退職者や産休、育休取得者補充分も考慮した結果、100人規模の採用予定となった。
JA秋田厚生連によると、例年、全9病院の看護師募集は計約100人。今春採用の応募者は、病院間の激しい争奪戦のあおりも受けて例年の3割減。内定辞退も例年より目立ったという。
秋田社会保険事務局によると、県内の医療機関で「7対1」の基準に達しているのは4月1日現在、県成人病医療センター(秋田市)と市立秋田総合病院(同)だけとなっている。
県がへき地勤務医師1人を採用/福島県
福島放送 2007年05月01日
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=200705011
県は1日、へき地医療支援医師制度に基づき、南会津地方に勤務する医師1人を新たに採用した。
鹿児島、沖縄両県の離島の診療所などでの勤務経験を持つ、いわき市出身の蛭田芳文さん(49)=専門・内科=で、南会津保健福祉事務所に席を置く。
南会津地方の診療所や病院で医師が退職した場合などに代診する。
当面は県立南会津病院で診察に当たる。
蛭田さんは、へき地勤務の医師を募集する県のホームページを見て応募した。
前田徹 市場化した「医は仁術」 /中国の医療事情
産経新聞 2007/05/01
http://www.sankei.co.jp/kokusai/china/070501/chn070501002.htm
上海から車で1時間ほど西へ走ったところにある江蘇省太倉で、日本的な家庭保健(各家庭に健康や医療に関する基礎的な知識を普及させる仕組み)を中国に広めようと活躍している看護師さんに出会った。
国際協力機構(JICA)が中国で実施している政府開発援助(ODA)の一つ、「中西部地域リプロダクティブヘルス・家庭保健サービス強化プロジェクト」に従事する小村陽子さんだ。
小村さんは海外協力隊員としてアフリカやトルコでも活躍した経験があり、今度の肩書はプロジェクト首席顧問。仕事はいわゆる一人っ子政策を進めてきた国家人口計画生育委員会と協力して地方農村に駐在する看護師さんらのための研修センターを設置し、基礎的な医療知識を農村部に広めようというものだ。
そんな小村さんの話を聞いて心底驚いたのは、中国が実は大変な医療危機に直面しており、抜本的な解決法が当分、見あたらないことだった。
小村さんによると、中国の農村は改革開放前までは人口の90%が人民公社を単位とする合作医療制度によってカバーされ、基本的な診療を受けられるようになっていた。だが、人民公社の消滅でほぼ全員無保険になったうえ、国公立病院が市場経済の導入で所得水準の低い農村部から撤退し、医師に診てもらえない状態にあるという。
つまり広大な農村地帯の大半がいわゆる無医村になってしまった。本来、人口抑制のため全土に張り巡らした人口計画生育委員会が日本の援助で家庭保健制度を広める場になろうとしているのは、この無医村状態を改善するのが目的というわけだ。
中国中央テレビ(CCTV)2が今年2月初旬、春節(旧正月)特集番組として放映した「生命之愛(命の愛)」の中で雲南省の貧農の妻が産後の障害から死の床に伏しながらも病院に行こうとしない状況が描かれていたが、もちろん高額な医療費を払うことができないためだ。
小村さんの話では、「看病難、看病貴(診療を受けるのは難しく、受けられても高すぎる)」は地方の隅々に蔓延(まんえん)しており、明らかに内臓がんの症状を示しながら病院に行こうともしない農民が一般的なのだそうだ。
しかも医療破綻(はたん)は都市部でも起きている。中小の病院は整備が遅れ、患者は大病院を選択せざるを得ない。だから大病院は常に超満員で、しっかりした医師に診てもらおうとすれば、ダフ屋のような仲介にまず50元(750円)以上払わなくてはならない。さらに改革開放後、薬価が大幅値上がりし、上海では1人が1回の診察ごとに支払う平均医療費は500元(7500円)以上という計算まである。
上海市民1人あたりの可処分所得は全国一だが、それでも月1600元(2万4000円)程度だ。大変な高額医療といえる。国民の7割が医療保険制度の対象からはずれた低所得層ということを考えれば、「風邪になってもまず我慢、大病になればすでに手遅れ」という状況が起きつつある。
今年2月、上海市浦東にある総合病院の救急センターに運ばれた患者の家族と若い医師が口論を始め、医師が殴られるという事件があった。医師殴打は実は中国各地で起きており、深センの病院では看護師がヘルメットをかぶって臨床現場に行くという笑うに笑えない話まである。
小村さんはこうした荒廃した医療現場を家庭保健制度の導入で和らげることができればと考えているが、「それにしても外貨準備高世界一(1兆ドル超)の国でどうしてこうなるのか…」という思いは残るそうだ。
農村の避妊 国の命運 人口(4)(アジア)
asahi.com 2007年05月01日
http://www.asahi.com/international/weekly-asia/TKY200705010078.html
「多子多福」の伝統が根強いアジアの農村。中国やパキスタンでは、人口抑制策の主戦場となっている。政府直轄の組織が避妊の重要性を説き、避妊具を配り、不妊手術を勧める。国家が進める「家族計画」の成否は、国の行く末を左右する。
■パキスタン・女性に「知識」と「意識」を
「中絶はできません。ちゃんと産みなさい」。パキスタン北西辺境州のトピ。麦とサトウキビ畑が広がる人口6万人の町にある唯一の女性専用診療所で、保健師のタスリムさん(40)は妊娠2カ月の女性(30)にこんこんと諭した。
女性は電気工事士の夫(40)との間に10歳、7歳、5歳の3人の子どもがいる。数年前からタスリムさんの指導で子宮内避妊具を使ってきたが、違和感から3カ月前に外してしまった。タスリムさんは代わりにピルを渡したが、女性は飲んでいなかった。「こんなにすぐ妊娠するとは思っていなかった」。夫の月収は4000ルピー(約8000円)しかなく、中絶を決めた。
しかし、法律は母胎に命の危険がある場合を除いて中絶手術を禁じる。困惑顔の女性に、タスリムさんは「あれほど注意したはずなのに」と声をかけ、栄養補助食品を手渡した。「避妊の正確な知識がまだまだ知られていない」。タスリムさんはため息をついた。
推定人口1億5600万人のパキスタン。増加率は年1.86%で、40年後には倍増するとの推計もある。政府が進める人口抑制策の中核を担うのが「レディー・ヘルス・ワーカー」と呼ばれる女性保健師。全国で約10万人で、女性の相談に乗り、希望者には避妊具を提供する。
男子が労働力として期待され、「子どもは神が授けてくれる」というイスラムの教えもあって、70年代までは子どもが10人以上という家庭はざらだった。
保守的な農村地帯で性の話題はタブー。親族以外の男性に顔を見せてはならない慣習から、外出する女性もめったにいない。そんな町で、タスリムさんは14年前から、時には電気検針員を装って家々を巡り、育児疲れした女性たちに避妊具の使用を説得してきた。今では月に200人以上の女性が相談に訪れる。
トピの隣町マルダンの診療所でも昨年から子宮内避妊具を配り始めた。相談者は月20人前後に増えた。「夫の言いなりだった女性の意識が変わってきた」と、女性保健師のファルハットさん(35)。NGO「グリーンスター」のリアズ・カジムさんは「男性にコンドームの使用を促しても反発を買う。女性の説得の方が効果的」と話す。
人口福祉省によると、避妊している既婚女性は全国で36%(05年)。20年前の4倍だ。一方、女性が産む子どもの数は平均4人(同)で2人減った。政府は2020年までに2.1人に引き下げたい意向だ。
■中国・達成率焦り、強制中絶も
「一人っ子政策」の実施から約30年で、中国の女性が生む子供の数は平均5.8人から1.8人まで下がった。出産抑制の「主力部隊」は、国家人口計画出産委員会が約4万カ所に張り巡らしたサービスセンターだ。職員52万人やボランティアが避妊の指導から、場所によっては中絶・不妊手術まで無料で面倒をみる。今や女性の避妊率は9割に達する。
しかし、行き過ぎた行為が批判されるケースも残る。中国第2の9248万人を抱える山東省にある臨沂市。05年2月、目標達成率が低くて焦っていた計画出産当局者が、複数の女性に対して中絶を強制する事件が起きた。
人権民主運動情報センター(香港)など複数の人権団体によると、2人目の出産予定日の2日前の女性(26)を無理やり病院へ運び込み、注射を打って胎児を死産させて引きずり出した。こうした事例が20以上あったという。
地元農民の訴えを受けた同省在住の「盲目の人権活動家」陳光誠氏(35)が05年夏、米誌タイムなど外国メディアに強制中絶の実態を告発。弁護団によると、陳氏は弁護士や米国大使館員に会うために訪れた北京で、公安当局に捕らえられ、交通秩序攪乱(かくらん)罪などで逮捕された。妻も自宅で軟禁されている。
中国国内で事件は封じ込められ、海外の報道にもインターネットからアクセスできない。しかし強制中絶の存在を否定してきた計画出産委員会幹部は事件に激怒し、調査団を現地へ派遣。違法行為があったこと自体は認めた。
数の抑制だけでなく、優生思想の色彩も強い一人っ子政策は、宗教問題もからんで、常に国際的な批判を浴びてきた。
とりわけ米国との関係では微妙だ。中絶に反対する共和党のブッシュ政権は01年の発足当時、「中絶の実施・支援をする団体へは米政府の資金を支給しない」と宣言。一人っ子政策に資金が使われているなどとして、国連人口基金への支払いも中止したままだ。
「計画出産に対する国際社会の客観的な評価を得て、幅広い理解と支持を取り付ける」。1月に発表された中国の国家人口発展戦略研究報告は強調する。13億人を抱える中国の人口政策は、農村の隅々で避妊を説く地道な活動と、国際社会での世論工作という両方の顔を持っている。
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