今日はあまりめぼしいニュースがありません。
医師不足・看護師不足に財源不足。
私自身が「おやっ?」と思ったのは、いままでニュースにもならなかった
医療者への暴行がニュースになってきたこと。
(今までは刺されないとニュースになりませんでした)
それから英国での着床前診断のニュースも興味深いです。
ではどうぞ!
医師不足を考える集会
熊本朝日放送 2007年5月20日
http://www.kab.co.jp/db/asp/KabNewsDetail.asp?hizuke=2007/5/20&group=4&id=2
医師不足が深刻な問題になる中、地域医療が抱える問題について考える集会が益城町で開かれ現役の医師が厳しい医療現場の状況を訴えました。
県内の民間病院などでつくる県民主医療機関連合会が開いたもので、医師や医療関係者などおよそ160人が参加しました。埼玉県の済生会栗橋病院の副院長で外科医の本田宏さんが全国的に医師不足が問題になっている現状を紹介し「高齢化がすすむ中、今、医師の数を増やさなければ将来、医療を受けられなくなる」と訴え、診療報酬の見直しなど医療費抑制を進める国の改革を批判しました。
県内の医師でつくる保険医協会が行った勤務医の労働環境に関するアンケートではおよそ77%が体力的、時間的に厳しい勤務環境だと答え、回答した1325人のうち875人が医師の増員が必要と答えています。
医師、看護師不足「過酷な実態」訴え 盛岡で集会
2007年5月21日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news005.htm
医療現場での医師や看護師の不足を訴える「2007年県ナースウエーブ集会」が20日、盛岡市中ノ橋通の「プラザおでって」で開かれた。集会後、白衣姿の看護師ら約180人が、「看護師を増やせ」などと声高に叫び、大通商店街や岩手公園付近を練り歩いた。
集会では、県立中央病院や岩手医大付属病院の看護師ら4人から、過酷な労働環境により離職者が相次いでいる実態が報告された。集会に参加した盛岡市津志田、看護師山内圭さん(31)は、「医療の現状を一人でも多くの人に知ってほしい」と話していた。
赤十字への寄付低迷 県内、法人は全国最下位続く/秋田
さきがけ新報 2007/05/20
http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20070520c
災害救護や地域福祉など赤十字活動の財源となる「活動資金」の寄付が、県内で低迷している。特に企業など法人協力によって得られる「法人社資」は近年、全国最下位。赤十字活動は、大規模災害を除き、各都道府県単位で財源を確保し、展開されていることから、財源不足は県内の活動に制約を与えかねない。日本赤十字社県支部は本年度、対象企業を拡大するなどし、一層の協力を呼び掛ける。
活動資金の収入は、企業協力で得る法人社資と個人寄付の「一般社費」に大別される。県支部によると、17年度実績で法人は541万9500円(全国47位)、一般は1億4856万1962円(同33位)。いずれも東北では最下位。法人の場合、少なくとも過去5年間、全国最下位が続いている。
県支部では現在、各企業へダイレクトメールを送付し、金融機関などで振り込んでもらう形を取っている。金額は各企業任せ。このため本年度は対象を医療、宗教法人、個人企業にも拡大。昨年度までの約800社から約3000社まで増やしたほか、金額も従来の平均を基に1社当たり2万円以上と具体的に明記し、1000万円の確保を目指す。
看護師離島実習 地元就職へ力/県内勤務が初の50%/沖縄
沖縄タイムス 2007年5月20日(日) 朝刊 23面
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705201300_02.html
今春、県立看護大学を卒業し就職した学生の50%に当たる三十七人が県内で看護師として就職し、昨年に比べて11・6%(九人)増えたことが分かった。同大学の県内での看護師就職率は例年三―四割台で推移しており、過半数を超えたのは初めて。増加要因として大学は、四年前に始まった離島病院実習で「離島勤務希望者が増えた」と指摘。慢性的な看護師不足がいわれる中、今後は在学中に全学生が本格的な離島実習を経験するカリキュラムの導入を検討したい―と意欲を見せている。
県外出身も
今春の卒業生で、離島実習一期生の柴立綾子さん(23)=鹿児島県出身=は、県立宮古病院に就職した。離島勤務を選んだ理由について「実習で住民や病院スタッフから離島医療の課題を聞き、強く印象に残った。自分の資格が離島で生かせたらと思った」と語る。
同大学は二〇〇二年度から卒業生を輩出。うち県内で看護師として就職した学生は同年度36・9%に当たる二十四人だった。その後〇三年度三十六人(同48%)、〇四年度三十二人(同41・6%)、〇五年度二十八人(同38・4%)で推移した。
同大学の前進路対策委員長、大湾明美准教授は「かつて入学者の約二―三割を占める県外出身は、ほとんど県外就職を選んだ」と振り返る。
しかし離島実習の開始後から学生の意識が変化。結果、今春は卒論を担当した学生三人全員が離島で就職するなど、県内就職者が大幅に増えた。大湾准教授は「前向きな就職は、看護職の定着にもつながるのではないか」と喜ぶ。
全員対象に
同大学は、看護師不足など県が抱える課題について学外との共同研究などを進めようと今年四月から新たに地域交流室を設置。県内で就職した卒業生をはじめとする保健・看護実践現場の支援に本格的に乗り出す。
野口美和子学長は「現在、全学生が本格的な離島実習を経験できるようなカリキュラムを検討している。そのために宿泊費用など学生の実習活動を支援する予算的な裏づけが必要」と理解を求めた。
全国で県立沖縄看護大学と同規模の大学は八校。今春、地元で看護師として就職した学生は多い順に愛知五十九人(72・8%)、石川四十八人(66・7%)、長野四十四人(51・2%)、新潟三十五人(42・1%)、三重三十五人(37・6%)、岐阜二十九人(36・7%)、宮崎二十八人(31・1%)、大分二十四人(33・8%)だった。
Uターン看護師確保へルート模索/青森
東奥日報 2007年5月20日(日)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20070520143254.asp
新卒者の県外流出が続き、ますます深刻化する看護師不足を少しでも解消するため、県は看護師のUターンルートづくりを模索している。昨年度から、首都圏の総合病院を訪問し、Uターンを望む県出身看護師の情報を収集している。県は「指導体制のしっかりした県外の総合病院で勤務した看護師が本県に戻れば、本県の医療水準向上につながる」と、貴重な人材の新しい流れに期待するが、一部で「まずUターン受け入れの医療機関の環境整備が必要」との指摘もある。
県幹部は今年一月と四月、聖マリアンナ医科大病院(神奈川県)を訪問し、本県出身の看護師の情報などを収集。看護師の県人会を結成して、Uターン情報などを交換する場を設ける方向となった。「あらゆるツテをたどって、看護師Uターンのルートをつくりたい」と語る県医療薬務課。聖マリアンナ病院人事課も「当院の教育システムを受けた看護師が地域に戻って活躍するのは素晴らしいこと」と語る。
昨年の診療報酬改定で、看護師を多く配置した病院に診療報酬が多く支払われるようになったため、看護師獲得合戦が激化。首都圏からの求人攻勢も激しさを増している。首都圏の有名病院が県内の看護師養成学校を回って、優秀な人材の確保に乗りだしている。新卒看護師の県外流出が続いている。県医療薬務課は「一度、都会に出て腕を磨きたいという看護師はいる」と現実を受け止めながら、“県外流出組”を引き戻そうとする作戦に出ている。
五月十一日、国保旭中央病院(千葉県、九百五十六床)の院長らが県立保健大(青森市)を訪問。指導的立場に立てる新卒看護師の採用に意欲を示しながら、海外研修、奨学金、指導体制の充実ぶりなど、至れり尽くせりの病院の待遇をアピールした。
これに対し、県幹部は、医師約二百五十人、看護師約七百三十人が勤務する旭中央病院との連携に興味を示した。旭中央病院の小川きみ代看護部長も「相互の交流を進めれば、日本全体の医療の質が上がる」と期待する。
こういうの、ようやくニュースになるようになってきたんですね。
病院事務員に暴行、自衛隊員を逮捕
TBS 2007年05月20日(日)
http://news.tbs.co.jp/part_news/part_news3566524.html
栃木県の病院で受け付けの男性事務員に胸ぐらをつかむなどの暴行を加えたとして、37歳の陸上自衛隊員の男が逮捕されました。暴行の疑いで逮捕されたのは、陸上自衛隊相馬原駐屯地所属の三等陸曹、池上雅博容疑者(37)です。
池上容疑者は19日昼ごろ、首の治療に訪れた栃木県足利市内の病院で、窓口で受け付けをしていた男性事務員(45)に対し、胸ぐらをつかむなどの暴行を加えた疑いが持たれています。
調べによりますと、池上容疑者は保険証を持っておらず、男性事務員が診察費の実費での負担を求めたところ、「なめんじゃねえ、表に出ろ」などとどなり、暴行を加えたということです。池上容疑者は容疑を認めていて、当時、酒に酔っていたということです。
着床前診断、英では発病リスク8割の遺伝子でも認可へ
産経新聞 2007/05/21
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/kosodate/070521/ksd070521000.htm
英国で、乳がん発症の可能性がある遺伝子異常があるかどうかを受精卵診断(着床前診断)し、異常がない受精卵だけを子宮に戻し、妊娠させる試みが許可される見通しになり、「生命の選別につながるのではないか」と論争になっている。
英紙タイムズなどによると、ロンドン大病院の医師が2夫婦の受精卵について遺伝子診断を行うことを先月末、政府機関に申請した。問題の遺伝子は「BRCA1」。この遺伝子に異常がある場合、大人になって乳がんになるリスクが60~80%高まり、卵巣がんは40%、男性の場合、前立腺がん発症のリスクがある。
診断を希望している22歳の女性は母、祖母、曾祖母を乳がんで亡くした。同紙の取材に対して「自分ががんに直面しなければならず、娘にもそれを受け継がせるかもしれないことを恐れてきた。(この)技術はその恐怖を回避する機会を与えてくれる」と話している。
ただ、着床前診断は生命倫理的に問題があることから、90~100%の発症リスクがある重篤な遺伝子疾病に限られていた。「今後、知能や外見など両親が希望する子供をデザインすることにもつながりかねない」という批判の声があがっている。
政府機関は昨年5月、すでに原則的にこの診断を認めるという判断を示しており、今回の個別の申請について3~4カ月後に結論が出る見通しで、許可される可能性が高いという。
日本には英国のような国の審査機関はない。専門医の団体である日本産科婦人科学会が会の決まりでデュシェンヌ型筋ジストロフィーなど「重篤な遺伝性疾患」に限り認めていたのを昨年、習慣性流産にまで広げることを決めた。
不妊治療で体外受精が広く行われるようになるとともに着床前診断をどの範囲まで認めるかは世界的な問題になっている。米国では不妊治療の一環として行われている。
はしか流行 感染症対策の迷走が露呈した
2007年5月21日1 5月21日付・読売社説
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070520ig90.htm
はしか(麻疹=ましん)の流行に打つ手がないとは、先進国では異例の事態だろう。
全国で、10代、20代の若者を中心にはしかが広がっている。感染を防ぐため、休校する高校や大学も増えている。小児医療機関などからの国立感染症研究所への報告によると、患者は600人を超えている。全医療機関ではなく一部の特定病院からの定点報告なので、実際の患者は、これよりはるかに多い。
患者は都市部に多い。ここ数年では最多の発生で、例年、患者数がピークとなる初夏にかけて、事態はさらに深刻化する恐れもあるという。
予防対策はワクチン接種しかない。過去にはしかにかかった人以外は、医療機関で検査して、結果によっては、接種を受けるようにしたい。東京都のように、10代を対象に、接種費用の一部助成を緊急対策に盛り込んだ自治体もある。
はしかは、ウイルスが原因だ。重い肺炎などを併発することも多い。脳炎を発症して死亡する例さえある。本来は子供に多いが、若者でも、重症化することがあり、あなどれない。10日前後の潜伏期間があり、感染者は発病までに、セキなどで周囲に感染を広げる。感染力も強い。患者が発生した学校の休校措置は、当然だろう。
東京学芸大学のように、教育実習をする学生に、はしかの予防接種を義務づけた大学もある。感染症は、予防と早期の封じ込めが肝要だ。 米国など欧米先進国では、患者は毎年数十人どまりだ。小学校入学の条件に予防接種を課すなど、強力な対策を取っている。これに対して、日本は、予防接種による副作用禍が過去に社会問題となりワクチン利用に及び腰だ。
2001年には、国内の患者数が定点報告で約3万人、推計で計30万人近くに達する大流行もあった。米国は、日本人旅行者が悪質なはしかウイルスを持ち込むのではないかと恐れ、「日本ははしかの輸出国」と批判した。この事態に、小児科医師たちが呼びかけを強め、1歳時のワクチン接種は増えた。だが、1回接種では、十分免疫ができなかったり、後に免疫が弱まったりする。欧米では、2回接種が普通だ。日本も昨春から、1歳時と小学校入学前の2回、公費接種の制度が始まっている。
今の若者は1回接種が圧倒的に多いことが、流行を繰り返す原因にもなる。2回接種を徹底する必要がある。ワクチンへの消極対応は、おたふくかぜなどの感染症でも見られる。はしか流行の教訓に学び、対策を見直したい。
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