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(投稿:by 僻地の産科医)
数字でみる世界の医療
救急病棟に一日入院したときの医療費33万円
カナダのスキーリゾート
(MMJ 2007 Vol.3 No.5 p420-421 )
カナダの国土面積は日本の27倍(約1000万平方キ□メートル)ですが、人口は3200万人で日本の約4分の1。太平洋側から大西洋のニューファンドランド島まで6つのタイムゾーンがあり、そのうち西の玄関□バンクーバーへは成田空港から約8時間30分。さらにカナディアン・□ツキーの有名なスキー場、バンフやレーク・ルイーズに行くには、航空機に1時間30分乗り、まず石油産業の田丁カルガリーに行き、そこからトランス・カナダ八イウエーを東へ車、で3時間ほど走ることになります。
八イウエーの最高速度は時速90km。ところが、バンフーレーク・ルイーズ問は時速60kmです。これは時おり高速道路に侵入するエルク、バイソン、ベアーなど野生動物との衝突事故を防ぐための措置です。
利用者も環境保護に参加
バンフ国立公園の入園料(1日)、大人9ドル、子供4.5ドル、シニア7.75ドルです。6日間のステイならば各6倍した金額を高速道路上の料金所で支払し、ます。この収入は国立公園の維持管理に活用されます。料金所をバイパスして、料金を支払わない人がいるため、時おり抜き打ち的に駐車場でパーミットチェックが行われます。ここで見つかると相当の罰金が科せられます。公園内には充実したビジターセンターがあり、なだれ情報や熊対策情報が捉供されるほか、カラフルで情報量の多いパンフレットなどが無料で入手できます。
カナダのNational Park Actは、2000年に改定されたばかりで、“Protection of the ecosystem being the first priority”を謳うなど、積極的に環境保護に取り組んでいます。Project Planetに参加してしているリゾートホテルも多く、滞在中3日に1回のシーツ交換も自分でするよう求められます。その際に使われるリクエストカードは、リサイクルペーパーで、日本語を含め5つの言語でゲストに対して、水と洗剤の使用を減らす環境保護活動への参加を呼びかけてします。
パウダースキーが楽しめるヘリスキーの料金は、1日3本の滑走で639ドル、5本の滑走で759ドルですが、3日のパッケージにすると、10%割引され、5人のグループならば、1機を1日4,500ドルでチャーターすることもできます。パウダースノー用のファットスキーのレンタル料金は1日75ドルです。
病院の機能分担が明確
米国とカナダは一体としてみられがちですが、両国の医療体制はかなり異なります。
カナダは英国政府が管理する保険医療システムNHS(National HealthSystem)と同じシステムを採用しており、Primay Care(1次医療機関)から大学病院やがんセンタークラスのTertiery Hosoital(3次医療機関)まで制度的に1次、2次、3次と機能分化した医療供給体制がとられています。例えば、レーク・ルイーズではこぢんまりしたクリニックで1人の家庭医(G.P)がプライマリケア(1次医療機関)を担当しています。スキーでの骨折や入院が必要なケースでは、120km離れたバンフミネラルスプリング病院(2次医療機関)に搬送されます。
医療機関ことに機能が明確に分けられている国では、病院間搬送システムのソフトと八一ドがしっかり構築されています。バンフの病院でも、患者搬送のルールや料金ともにしっかりしたルールに沿って行われています。
救急搬送の料金は、カナダで税を支払っている市民とそれ以外の場合に100ドルの差があります。なお日本人旅行者が救急車を利用する場合、基本料金445ドルに走行距離1kmにつき3.60ドルが加算されます。バンフの中心部からの搬送ならば445ドルですが、郊外にあるホットスプリングからは481ドル、120km離れたレーク・ルイーススキー場からは888ドル、300km離れたコロンビア氷原からは1,670ドルになります。カルガリーの大学病院や小児医療センターに転送される重症患者の搬送費用は、250kmで1,300ドルになります。救急車搬送が中心ですが、一刻を争う重症外傷や心筋梗塞のケースではヘリ搬送が行われ、料金は割高になります。また救急車を待たせると、1時間当たり144ドルのチャージがかかり、救急車が来たものの軽症で搬送されなかった.場合は一律129ドルが請求されます。
患者をどこの病院に送るのかを判断する情報処理システムSARCC(Southern Alberta Referral & Coordination Center)が、1997年より稼働しています。その電話番号は「1-800-661-1700」に統一されていて、医師や病院からのリクエストに対応しています。日本人の初診料は369ドルバンフの人口は約8干人ですが、観光シーズンには最大4万人に膨れ上がります。そこで唯一の病院、バンフミネラルスプリング病院の救急車出動回数は、2003年1,522回、2004年1,307回、2005年1,496回でした。
スキー客が多し、だけにそれに対応するためのEmergency Deparementは、
①上肢クリニック
②ギプスクリニック
③関節クリニック
④整形外科クリニック
⑤形成外科クリニック
⑥内視鏡クリニックなどに分かれています。
外采患者数は2003年13,810人、2004年15,096人、2005年14,529人です。検査室で行った検査件数は、2003年が82,505件、2004年が87,895件、2005年が94,763件。院内で行う検査のセット料金は88ドル、院外での検査は176ドルです。
X線撮影検査の件数は、2003年11,690件、2004年10,970件、2005年11,370件。料金は1枚につき110ドル、フィルムのコピーは30ドル、紙コピーは3ドルです。心電図は110ドル、外来での小縫恰が220ドル、静脈麻酔治療は245ドルです。心臓カテーテルができないため血栓溶解剤を投与したときの料金が3,176ドルです。手術室は2つあり、手術件数は2003年1,728例、2004年1,788例、2005年1,791例で、そのほとんどが整形外科症例です。帝王切開や虫垂切除術、ヘルニア手術なども行われてし、ます。出産数は2003年111例、2004年117例、2005年118例です。
日本人がかかる場合の基本初診料は、369ドルで、それ以外にドクターフィーがかかります。ドクターフィーは救急外采での診断・治療では15分を1単位とし、重症加算、夜間や休日加算などがあります。急性期病棟に入院した場合の入院費は1日3,300ドルです。
(金額のドルはカナダドル。1カナダドルは約100円)
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