Medical Tribune 2007年4月19日号がきました!
という訳で、ピックアップ。
本物を読みたい方、勤務医であれば医局ゴミ箱へGO!!
内科の先生方がそのまま封開けずに捨ててある可能性があります。ない方、残念。
では。今日は36時間以上挿管後抜管時の咽頭浮腫防止についての話題、
そして婦人科癌についての話題から。
(婦人科の方は、日本語変です。内容もふおお!(特に頸癌の方)
骨盤全摘標準治療だったか。。46例か~みたいな感じですけれど、
まぁ婦人科の方が読めばだいたいはわかるでしょうし(笑)おもしろかったので)
気管内チューブ抜管後の咽頭浮腫の予防にステロイド前投与が有効
(Medical Tribune p51)
気管内挿管による人工呼吸管理を受けた患者の抜管後咽頭浮腫の予防に,抜管12時間前からのステロイド投与が有効であると,フランスのグループがLancetの3月31日号に発表した。気管内チューブ抜管後の咽頭浮腫の発生が,ステロイド投与によって減少するか否かについては議論がある。同グループでは,その検証を目的に多施設研究を行った。
対象は,集中治療室(ICU)で36時間以上人工呼吸器を装着し,計画的抜管を受ける成人患者761例。ステロイド(メチルプレドニゾロン20mg)静注群(380例)と,プラセボ静注群(381例)にランダム化割り付けした。それぞれの投与は,抜管12時間前から4時聞ごとに行った。主要評価項目は,抜管24時間以内の咽頭浮腫発生である。
63例が抜管キャンセルなどの理由で除外され,698例(メチルプレドニゾロン群355例,プラセボ群343例)が解析対象となった。
その結果,メチルプレドニゾロン群の抜管後咽頭浮腫の発生率は3%(355例中11例)で,プラセボ群の22%(343例中76例)と比べ有意に低率だった(P<0.0001)。また,メチルプレドニゾロン群では,再挿管を必要とする割合も有意に低かった(4%対8%,P=0.02)。特に,咽頭浮腫のために再挿管が必要となった患者は,メチルプレドニゾロン群ではきわめて少なかった(P:0.005)。両群で各1例が抜管後に死亡し,メチルプレドニゾロン群では1例に肺の拡張不全が認められた。同グループは「36時間以上気管内挿管されていた成人患者では,計画的抜管12時間前からのメチルプレドニゾロン投与が考慮されるべきである」と結論している。
Francois B ,et al.Lancet2007;369:1083-1089.
卵巣癌再発予防
腹膜ルートの薬剤投与が標準療法に
(Medical Tribune p49)
〔米フロリダ州ハリウッド〕
ジョンズホプキンス大学シドニーキンメル総合癌センター(メリーランド州ボルテイモア)腫瘍学と婦人科学のDeborah Armstrong准教授らは,術後の卵巣癌再発を予防するための腹膜ルートで行うアジュバント療法が標準的治療に昇格したと第12回全米総合癌ネットワーク(NCCN)の臨床ガイドラインと癌治療の質年次集会で報告した。
静脈に比べて4倍の曝露
Armstrong准教授らによると,静脈内ルートによる全身性治療ではなく腹膜ルートでアジュバント療法を行えば,シスプラチンの吸収曲線下面積が拡大するという。
同准教授らは,婦人科腫瘍学グループ(GOG)の研究も引用し,再開腹精査(second-look operation)を受ける女性は陰性結果となるケースが多いと報告。「かつては腹膜ルートによるアジュバント療法は卵巣癌再発予防選択肢としては否定されていた。今回はこの治療術をガイドラインのなかで第一選択治療としてより重要な位置付けを行った」と述べた。
NCCNは全米の20の癌センターから成るコンソーシアムで,ほぼすべての種類の癌の治療ガイドラインを執筆・修正している。
同准教授は「腹膜ルートを使えば静脈内ルートによる全身投与よりも著しく高い薬剤濃度を達成可能である。シスプラチン投与に腹膜ルートを使えば腹部は静脈内ルートに比べて4倍曝露を受ける」と説明した。一方で,同准教授は腹膜ルートの場合,感染の合併症リスクが生じることに注意を促した。
いくつかの研究により,既に腹膜ルートが静脈内ルートに比べて卵巣癌女性の生存率を改善することが示されている。GOG104研究で再開腹手術陰性であったのは,シスプラチンを静注投与した女性158例中57例(36%),腹膜治療を受けた女性139例中66例(47%)であった。
医師が再開腹手術を提案することはしばしばあるが、多くの女性はこれを拒み,再発の治療選択肢が限られているため,最善の結果を期待する以外ない。シテイ・オブ・ホープ癌センター(カリフォルニア州ドゥアーテ)医学教育,内科腫瘍学,治療研究のRobert Morgan副所長は「再開腹手術はどのランダム化比較試験でも生存上有利になることが示されていない」と述べている。
卵巣癌の女性の場合,化学療法の腹腔内投与は通常,腹部への液体の流入を可能とする外科的に埋め込んだカテーテルを通じて行われる。化学療法薬は生理食塩液に溶かし体温まで上昇させてからカテーテルを通して体内に注入されるが,注入した液体を腹腔から排出する必要はない。
子宮頸癌 骨盤内臓器全摘術非適応患者に術前化学療法
〔パリ〕メキシコ国立癌研究所(メキシコシティー)腫瘍部門のCar1os Lopez-Granie1教授は,通常では骨盤内臓器全摘術の適応とならないほど進行している子宮頸癌患者に対して,術前に化学療法を行う治療選択肢について第18回国際抗癌療法学会(ICACT)で報告した。
45.6%の患者で客観的反応
Lopez-Granie1教授は,1998年5月~2006年10月に治療を受けた46例の女性に関して結果を報告した。被験者は全例,再発性または持続性の子宮頸癌で,全身性疾患のエビデンスは見られなかったが,腫瘍の範囲が原因で骨盤内臓器全摘術の適応ではなかった。患者の大部分は扁平上皮癌で,国際産科婦人科連盟(FIGO)の基準で3期であった。
同教授は「再発性子宮頸癌の管理では,骨盤内臓器全摘術が重要な役割を果たしており,依然として骨盤に再発が見られる高度に選択性の高い患者群への適応が続いているため,その影響は変わっていない。そのため,骨盤に疾患が再発した大部分の癌患者は化学療法を受けている。このサルベージ療法(全摘術)の便益を享受できる患者数を増やすため,全身化学療法で再発性子宮頸癌を退縮することができれば,標準的な骨盤内臓器全摘術が可能になるという仮説に基づき,全摘術前化学療法を試みた」と述べた。
シスプラチン静注を3コース投与した後,双合診と骨盤部CTスキャンにより反応を評価した。化学療法の毒性は標準的な世界保健機関(WHO)基準により評価した。いずれの女性も試験開腹術を受け,骨盤内臓器全摘術が行われた。
客観的反応は45.6%の患者で観察された。断端陰性サンプルは2例を除く全例で得られた。化学療法の耐容性は優れていた。平均手術時間は5.5時間,平均入院日数は12.9日間であった。
同教授は「この結果はおおいに励みとなるものであるが,再発疾患管理における術前化学療法の真の役割は第Ⅲ相試験に限って評価できる」と述べた。
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