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コメント

鶴亀松五郎

僻地の産科医先生、掲載ありがとうございました。
なな先生のコメントはキーポイントだけ訳しましたが、ガイドラインの6章を本文も訳してみましたしてみました。
ガイドラインの1番目の刑事免責に関する記述には、厚生省の試案や患者団体、マスコミの論調と比較するとあまりの違いに情けなくなりました。

医療安全委員会をきちんと機能させるために、世界標準としての2005年にできたWHOの医療安全システムのガイドラインがあります

WHOガイドラインの第6章には、医療安全システムの調査委員会がきちんと成立するために必要なキーポイントも掲載されています。。
また、具体的な根拠も本文中に詳しく述べられています。

WHO - Draft guidelines for adverse event reporting and learning systems
http://www.who.int/patientsafety/events/05/Reporting_Guidelines.pdf

1.Non-punitive Reporters are free from fear of retaliation against themselves
or punishment of others as a result of reporting.
刑事罰を行わないー医療事故(診療関連死)の報告者は、報告をしたことにより刑罰から免責されなければならない。
(本文)
No Punitive-医療安全の報告報告システムをうまく機能させるための最も重要な特質は、刑事罰からの免責でなければならない。医療事故の報告者も、それに関係した人も、いずれも報告したことにより罰することはできない。大衆は個人をとがめがちで、悪者を罰しようとする強い圧力があるので、公的なシステムとして、これを実現させるのは最も難しいが。罰することで一時的には感情を満たすことができるかもしれないが、このアプローチは失敗に帰する。人々は隠すことのできるエラーを報告することはできない。報告者を刑罰から守ることが国家の重要な役割である。これを維持するための最も良い方法は報告者が第三者にわからないように秘匿することである。

2.Confidential The identities of the patient, reporter, and institution are
never revealed.
秘匿-診療関連死の患者名、報告者(医療従事者)名、医療機関名は決して第三者に明かされてはならない。
(本文)
Confidential(秘匿)-患者も報告者(医療従事者)も決して第三者に明らかにされてはならない。医療機関レベルでも、特定の情報が裁判に使われないように秘匿しなければならない。公的であれ、私的なシステムであれ、歴史的に秘匿の不履行は問題とはならなかったが、発覚することは自発的な報告システムを妨げる重要な要因である。

3.Independent The reporting system is independent of any authority
with power to punish the reporter or the organization.

独立性-報告システム(医療安全委員会)は、報告者や医療機関を罰する権限を持つ当局から独立していなければならない。
(本文)
Independent(独立性)-報告システムは報告の結果で、報告者や組織を罰することのできる当局から独立していなければならない。政府のなかで報告部門と懲戒部門との間に防火壁を作るのは難しいことではあるが、それが報告システムを維持するために不可欠のことである。

4.Expert analysis Reports are evaluated by experts who understand the
clinical circumstances and are trained to recognize underlying
systems causes.

専門家の分析-診療関連死の報告は診療関連死が起きた状況を理解でき、かつ問題となっているシステムを把握できるようにきちんと訓練を受けた専門家によって評価されなければならない。
(本文)
Expert analysis(専門家の分析)-報告は、それが起こった臨床的状況を理解でき、それをおこしたシステムをきちんと把握できる専門家によって評価されなければならない。
データを集めるだけで分析しなければ価値がないのは明らかである。政府が運営する報告システムで最も失敗しやすいのは、報告を要求するけれども分析に必要な資料が提供されないことである。大量の報告書が箱のなかか、コンピューターのなかに記録されているだけである。専門家の意見が、どの報告書でも必要とされる重要な必須の資料である。

5.Credible
(本文)
Credible(信用)-独立性とその分野の専門家の結びつきは勧告が受け入れられ、実行されるには必須である。

6. Timely Reports are analysed promptly and recommendations
are rapidly disseminated to those who need to know, especially
when serious hazards are identified.

時宜を得た報告は、特に重大な状況であると判った時は、即座に分析され、いち早く情報を必要とする人々(医療従事者)に広く周知されねばならない。
(本文)
Timely(時宜を得る)-報告は遅れることなく分析されねばならず、その情報を必要とされる人々(医療従事者)に即座に周知されねばならない。重大な状況であるときは、迅速に通知しなければならない。たとえば、薬による重大な問題が生じたときには、医薬安全機構は定期的な刊行物を通して即座に警告を発しなければならない。

7.Systems-oriented Recommendations focus on changes in systems, processes, or products, rather than being targeted at individual performance.

システムそのものの問題-診療関連死の当事者である医療従事者の個人の能力に目を向けるのではなく、システム、過程、結果の変化に焦点を当てることが望ましい。
(本文)
System oriented-勧告は(医療従事者)個人の能力に向けられるよりもシステムや過程や診療の結果に向けられなければならない。これが、いずれの報告システムから発する勧告の本質により強化される第一の原理である。
それは外見上はひどい個人のエラーに見えても、実はシステムの不備によるものでありシステムの不備が改善されなければ、エラーは別の人によって別の時に再発するであろうという原則に基づいている。

8. 7.Responsive The agency that receives reports is capable of disseminating
recommendations. Participating organizations commit to implementing recommendations whenever possible.

反応-報告を受けた部局は、勧告を周知させることができる。関係する機関は可能な限りいつでも、勧告を実行に移さねばならない。
(本文)
Responsive-勧告が広範なシステムの変化になるためには、報告を受ける組織が効果的な勧告を作成し、周知させるだけの能力を持たねばならない。そして勧告を受けた組織は勧告を履行する確約をしなければならない。

上記のWHOのガイドラインを基準として、WHO加盟国は医療安全委員会相当の組織を運営しています。
現在の厚生省の試案を読む限り、7項目のキーポイント全てがごっそり抜け落ちているのです。(WHOのガイドラインの第7章には、国としてしなければいけないことが述べられています)

1. 医療従事者への刑事罰が可能
2. 医療安全委員会において診療関連死の情報がメンバー以外(例えば裁判所とか検察とか)にも知らされて裁判の資料にもなる
3. 医療行政や医師を管轄する厚生省の中に医療安全委員会が置かれるため独立性がない、
4. 診療関連死の分析は専門家以外のメンバー(一般市民や患者家族代表)も加わった委員会でなされる
5. 分析に時間がかかる、
6. システムの問題ではなく医療従事者個人や個々の医療機関の責任に帰される
7. 勧告を実行するにあたっての財源や人的資源の保証がない、

など、一体全体、なにを根拠に、なにを目的に、なにをモデルにした医療安全委員会試案なのか、全く意味と価値のない内容です。

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